ビニール被覆は俺たちにまかせろ(出雲ぶどう部会青年部組織化分科会)
高齢のぶどう農家にとって冬場のビニールの張り替えは辛い作業です。ビニール被覆作業の請負は従来からも行われており、若手の農家が個々に仲間を集め対応していました。しかし最近は作業員の不足等により要望に応えられず、栽培面積の減少に繋がる一因となっています。
そこで組織化分科会では新たに「出雲ぶどう部会ビニール被覆受託組織」を立ち上げ、
(1)作業受注、作業員の手配、賃金の精算等は全て組織で実施
(2)青年部以外の若手への呼びかけによる作業員の増加
(3)委託農家と作業員の間に「マッチング担当」を置き、日程調整や作業チームの編成等を実施
(4)会計担当を設け、集金や賃金支払いなどは口座を通して精算
などの対策を行いました。その結果、作業員は従来の約2倍の42名に、また受注量も約1.5倍の37件に増えました。
発注農家からは「これまでは頼んでも相手が忙しいときには来てもらえないこともあったが、今回は希望する日にすぐ来てもらえてとても助かった」と好評でした。また作業受託者からは「今までは『作業賃支払いをもう少し待ってくれ』などと言われ仲間に賃金を分配するのに困る事があったが、今回は会計に任せておけるので楽だった」との意見が寄せられました。
発注した農家からは「土作り作業や防除作業も引き受けてくれたらありがたい」などの声が聞かれています。組織化分科会では今後これらの声にも対応できないか検討していきます。
【被覆作業1】
【被覆作業2】
ビニール被覆作業は風のない早朝に行います。暖冬とはいえ撮影当日はとても寒かったです。
多伎いちじくの出荷成績が大幅に向上(ネコブセンチュウ対策に効果)
今年度の多伎いちじく部会の出荷成績は、栽培面積が16.4haから1haあまり減少したにも関わらず、出荷量144t(前年比126.8%)、販売額8,253万円(同121.0%)と計画を上回る好成績を上げました。
好成績の要因としては、生育初期から天候に恵まれたことに加え、ネコブセンチュウ対策を行ったことが大きな要因だったと思われます。
多伎いちじくのネコブセンチュウ発生ほ場では樹勢低下を招いており、昨年5月出雲市とJAが行う「出雲農業未来の懸け橋事業」を活用し対象農薬の半額助成を受け、栽培農家の約半数にあたる40戸が対象農薬を散布しました。
H31/H30の出荷量の伸び率は全体では127%でしたが、散布した農家の伸び率は139%、散布しなかった農家は112%と大きな差が出ました。
今回の振興大会ではこの結果を説明し、来年産は全組合員が対象農薬を施用するよう指導を行いました。
来年1月中旬に行われる地区別座談会においても全組合員に指導を行い、部会ぐるみで樹勢回復に取り組むように推進する予定です。
【センチュウにより衰弱した樹1】
【センチュウにより衰弱した樹2】
【農薬施用により樹勢回復した樹】
稲WCS品質向上研修会を開催しました
JAしまね出雲WCS協議会は耕種農家・畜産農家を構成員とした2015年に設立された協議会で、稲WCSの安定供給や品質向上を目的とした活動を行っています。毎年、品質向上を目的とした研修会を実施しており、本年も12月6日畜産技術センターにおいて、約30名の参加のもと研修会が開催されました。
研修会では、本年産の稲WCSロールを開封して、サイレージ発酵状況を参加者各自で確認したほか、今年は初めての取り組みとして、そのWCSを実際牛に給与し、嗜好性も確認しました。
次いで普及部から、畜産技術センターの協力を得て事前にWCSを分析した結果を報告しました。その結果、本年本格的に栽培を開始した、晩生品種「つきすずか」が良質な発酵をしていることなどが報告されました。さらに、普及部から品質向上のポイントや、効率的な収穫機械紹介など行いました。
JAしまね出雲WCS協議会の栽培面積は毎年100ha前後で、島根県でも一番の面積ですが、まだ畜産農家の要望に応えられていない状況です。協議会では、畜産農家の要望になるべく応えられるよう、単収のUPと、雑草混入防止や、適期収穫に向けた活動を行っていくこととしています。
普及部としても、適期刈り取り時期の見極めや、サンプリングによる水分測定など稲作担当と畜産担当がサポートを行い、稲WCSの安定供給に向けて活動していくこととしています。
【出来を確認する参加者】
【牛の嗜好性を確認】
【WCS分析結果の報告】
女性の力で出雲ぶどう産地の強化を
本年産のぶどう生産は、春先からの天候不順、台風の接近等の不安定な栽培環境でしたが、適切な栽培管理により、単価、販売額ともに良好な成績となりました。
一方、出荷量は1,000トンを切り、デラウェアについては需要が高まる5月、6月の品物が不足したことにより、市場関係者からは量の確保と早期出荷を強く依頼されているところです。
総会では、所得向上と市場の要請・期待に応えるため、来年産に向けての生産計画を、今からしっかりと立てていこうと確認されました。
また、JAしまね出雲ぶどう部会では、「どげでも守ろう出雲ぶどう」を合い言葉に活性化プランが作成され、プロジェクトチームにより実践されていますが、このうち「販売戦略」PJでは、女性部が中心的な役割を担い、一畑電車イベント、島根ワイナリーとのコラボ、PRチラシの配布、フェイスブックを活用したPR等の新しい取り組みは高く評価され、着実に成果をあげており、継続して実践していくこととなりました。
総会終了後には、農業技術センターから「産地の維持と当面の栽培管理」について説明があり、産学官で連携している出雲農林高校2年生が「デラ産地を守り抜く」と題し、産地への期待と提案が意見発表として熱く語られ、来年産に向けての意識高揚の場となりました。
出雲普及部では、活性化プランの実現、優良系品種の改植による、果実の高品質化と収量の確保等の対策に、一体となって取り組んでいきます。
【総会の様子】
来期に向け、部会員が一致団結~JAしまね出雲ぶどう部会~
島根デラウェアの主産地である、JAしまね出雲ぶどう部会は、11月12日、大社文化プレイスうらら館にて本年産のぶどう出荷反省会を開催し、部会員、関係者約230名が出席しました。
今年度の県全体の出荷実績は、デラウェアの税別単価1,300円(対前年比108%)が達成され、シャインマスカットについても、出荷量、販売額ともに前年を上回り、特に販売額は3億円を超えました。出雲地区本部管内においても、デラウェア、シャインマスカットともに、単価は前年、前々年を上回る状況になりました。
デラウェアが単価の面で躍進できた要因の1つに、部会の女性部、青年部が中心に取り組む、ぶどうプロジェクトの販売戦略チームが早期出荷に向けた対策などの情報をタイムリーに部会員へFAXで伝達したことが挙げられます。
一方、産地全体の出荷量は、市場が求める1,000tを割り込む状況になり、市場関係者からは、デラウェアについて小売りからの引き合いが強い6月の商品の供給を強く要請されました。
出雲農業普及部としては、ぶどうプロジェクトが円滑に進むよう、優良系デラウェアをはじめとした改植を進めていくとともに、苗の育成や管理について講習会を実施するとともに、継続して関係機関と連携しながら、部会のスローガンの達成やぶどう産地の活性化を支援していきます。
【部会長あいさつ】
【活性化プランの状況報告】
お問い合わせ先
東部農林水産振興センター
島根県東部農林水産振興センター 〒690-0011 島根県松江市東津田町1741-1 TEL: 0852-32-5638/FAX: 0852-32-5643 e-mail: tobu-noshin@pref.shimane.lg.jp **************************************** 安来農業部(島根県安来市穂日島町303) 松江家畜衛生部(島根県松江市東出雲町錦浜474-2) 出雲家畜衛生部(島根県出雲市神西沖町918-4) 雲南事務所(島根県雲南市木次町里方531-1) 出雲事務所(島根県出雲市大津町1139)