≪報告基準≫
2006年4月1日改正
31 性器クラミジア感染症
(1)定義
Chlamydia trachomatis による性感染症である。
(2)臨床的特徴
男性では、尿道から感染して急性尿道炎を起こすが、症状は淋菌感染症よりも軽い。さら
に、前立腺炎、精巣上体炎を起こすこともある。女性では、まず子宮頚管炎を起こし、その
後、感染が子宮内膜、卵管へと波及し、子宮内膜炎、卵管炎、骨盤内炎症性疾患、肝周囲炎
を起こす(しかし男女とも、症状が軽く自覚のないことも多い)。
また、子宮外妊娠、不妊、流早産の誘因ともなる。妊婦が感染している場合には、主とし
て産道感染により、新生児に封入体結膜炎を生じさせることがある。また、1〜2か月の潜
伏期を経て、新生児、乳児の肺炎を引き起こすことがある。淋菌との混合感染も多く、淋菌
感染症の治癒後も尿道炎が続く場合には、クラミジア感染症が疑われる。
(3)届出基準
ア 患者(確定例)
指定届出機関の管理者は、当該指定届出機関の医師が、(2)の臨床的特徴を有する者を
診察した結果、症状や所見から性器クラミジア感染症が疑われ、かつ、(4)の表の左欄に
掲げる検査方法により、性器クラミジア感染症患者と診断した場合には、法第14条第2項
の規定による届出を月単位で、翌月の初日に届け出なければならない。
この場合において、検査材料は、同欄に掲げる検査方法の区分ごとに、それぞれ同表の右
欄に定めるもののいずれかを用いること。
スクリーニングによる病原体・抗原・遺伝子に関する検査陽性例は報告対象に含まれるが、
抗体陽性のみの場合は除外する。
イ 感染症死亡者の死体
指定届出機関の管理者は、当該指定届出機関の医師が、(2)の臨床的特徴を有する死体
を検案した結果、症状や所見から、性器クラミジア感染症が疑われ、かつ、(4)の表の左
欄に掲げる検査方法により、性器クラミジア感染症により死亡したと判断した場合には、法
第14条第2項の規定による届出を月単位で、翌月の初日に届け出なければならない。
この場合において、検査材料は、同欄に掲げる検査方法の区分ごとに、それぞれ同表の右
欄に定めるもののいずれかを用いること。
(4)届出のために必要な検査所見
検査方法 | 検査材料 |
分離・同定による病原体の検出 | 尿道、性器から採取した材料 |
蛍光抗体法又は酵素抗体法による病原体の抗原の検出 |
PCR法による病原体の遺伝子の検出 |
抗体の検出(ペア血清による抗体陽転又は抗体価の有意の上昇、又は単一血清で抗体価の高値) | 血清 |