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島根PR情報誌「シマネスク」(2022年12月発行)

北斎

《冨嶽三十六景》など、
数々の傑作を残した浮世絵師・葛飾北斎。
そのコレクションが、
島根県立美術館にあります。
北斎自身の作品をはじめ、
弟子の作品や関連資料など、
あわせて約2500点を所蔵。
その中には、世界的に珍しい作品や
保存状態のよい名品も含まれています。
質、量ともに、
世界に誇る北斎コレクションです。


島根県立美術館の北斎展示室の写真
島根県立美術館の北斎展示室

至高のコレクション島根にあり[永田コレクション]

作品1


島根県立美術館(松江市)の北斎コレクション、その中心となるのは津和野町出身の北斎研究者・永田生慈氏から2017年に寄贈された「永田コレクション」です。

小学生の時に古本屋で出会った北斎の絵手本がきっかけで、高校時代から作品収集を始めた永田氏。「錦絵」や、「版本」の挿絵、「肉筆画」など、90歳まで絵師として生きた北斎の、あらゆる作品や関係資料を集めました。

そのコレクションは、永田氏の遺志により、島根県立美術館と同県立石見美術館(益田市)だけで公開されるため、島根でしか見ることができません。


冨嶽三十六景・山下白雨の写真
《冨嶽三十六景・山下白雨》
天保初期(1830~34年)ごろ/大判錦絵/25.3×36.6センチ(永田コレクション)


黒富士の名でも呼ばれる《冨嶽三十六景・山下白雨(さんかはくう)》。「白雨」とは夏の夕立のこと。絵の右側にある富士山の山頂付近は雲ひとつない快晴ですが、山腹は黒雲に覆われ切り裂くように稲妻が走っています。永田コレクションが有する本作は、希少な初期の摺(す)りと考えられます。


北斎漫画の写真
『北斎漫画』
文化11年(1814年)半紙本(永田コレクション)


人のさまざまな姿や動植物を描く手本となる図柄を収め、海外でホクサイ・スケッチと呼ばれ人気がある『北斎漫画』も、初摺りの逸品です。


鍾馗図の写真
《鍾馗図》
寛政5~6年(1793~94年)/絹本着色/53.6×26.7センチ(永田コレクション)


世界で1点、または数点しかない貴重な作品も少なくありません。北斎が初期(20?35歳ごろ)に描いた肉筆画《鍾馗図(しょうきず)》は、当時の画号「春朗(しゅんろう)」の署名が入った肉筆画の本画(完成品)として現存唯一のものです。

また、北斎が亡くなったことを知らせるため、娘の葛飾応為(おうい)が北斎の弟子に宛てた手紙『北岑宛北斎死亡通知(ほくしんあてほくさいしぼうつうち)』など、第一級の史料も収められています。


北岑宛北斎死亡通知の写真
葛飾応為『北岑宛北斎死亡通知(府川家資料)』
嘉永2年(1849年)/紙本墨書/14.9×22.0センチ(永田コレクション)


島根県立美術館の北斎コレクション

北斎コレクションのロゴ


永田生慈氏旧蔵の「永田コレクション」(約2400点)、松江市出身の実業家・新庄二郎氏(1901~1996年)旧蔵の「新庄コレクション」のうち北斎関連の作品(約60点)の二つの個人コレクションに、島根県が収集した約50点を合わせた作品群。


永田生慈(ながたせいじ)(1951~2018年)

永田生慈さんの写真


津和野町出身の浮世絵研究者。浮世絵専門の太田記念美術館(東京)の副館長兼学芸部長を務め、北斎に関する数多くの著書を執筆。

2016年にフランスの芸術文化勲章オフィシエを受章。


葛飾北斎(1760?1849年)

北斎の肖像画の写真
歌川国芳が描いた北斎像


現在の東京都墨田区で生まれたとされ、19歳で浮世絵師・勝川春章に弟子入り。さまざまな流派に学びながら、森羅万象を描くことに情熱を注いだ。「北斎」のほか、「春朗」「宗理(そうり)」「画狂老人卍(がきょうろうじんまんじ)」など30回以上も画号を変えたほか、生涯で90回も引っ越しをしたなどの逸話も。代表作の『北斎漫画』や《冨嶽三十六景》は西欧でも注目され、ゴッホやドガなど、19世紀後半の画家にも影響を与えた。


作品2


冨嶽三十六景・凱風快晴の写真
《冨嶽三十六景・凱風快晴(がいふうかいせい)》
天保初期(1830~34年)ごろ/大判錦絵/25.0×36.8センチ(新庄コレクション)
現存する赤富士の中でも屈指の名品で、大阪万博(1970年)の記念展に世界中の名画と共に展示されました。


冨嶽三十六景・江都駿河町三井見世略図の写真
《冨嶽三十六景・江都駿河町三井見世略図(えどするがちょうみついみせりゃくず)》
天保初期(1830~34年)ごろ/大判錦絵/26.0×38.8センチ(永田コレクション)


百物語お岩さんの写真
《百物語お岩さん》
天保2~3年(1831~32年)ごろ/中判錦絵/24.8×18.2センチ(永田コレクション)


赤壁の曹操図の写真
《赤壁(せきへき)の曹操図(そうそうず)》
弘化4年(1847年)/絹本着色/115.4×34.4センチ(永田コレクション)


島根県立美術館で楽しむ北斎ワールド

作品3


北斎展示室

北斎コレクション専用の展示室では、1カ月ごとに展示内容を替え、錦絵や摺物、版本、肉筆画など約40点を常時公開しています。国内で北斎の作品をいつでも鑑賞できる美術館は、極めてまれです。


北斎展示室の写真


北斎ガチャ

美術館ロビーと展望テラスにある二次元バーコードを読み取ると、現れるのは北斎ワールド。20種類の北斎名作フォトフレームから、何が出るかはお楽しみ。松江の風景や友だちとの記念写真を、北斎ワールドで飾ってみてください。


北斎名作フォトフレームの画像


北斎グッズ

《冨嶽三十六景》や『北斎漫画』の絵をあしらったマスキングテープやポストカードなど、オリジナル商品が多彩。1階のミュージアムショップで販売しています。


オリジナル商品の写真


永田コレクションの全貌公開〈一章〉/北斎−「春朗期」・「宗理期」編

2023年2月3日~3月26日

永田コレクションの全容を紹介する大型企画展を、2029年度まで5回にわたって開催予定。

23年2月に始まる1回目(一章)は、現存作品が少ない20~45歳ごろの「春朗期」「宗理期」に焦点を当てた、初の大規模展覧会です。作品や関連資料など約350点を公開し、若き北斎の画業を紹介します。


婦女風俗図の写真
若かりし「春朗期」の希少な肉筆画《婦女風俗図(ふじょふうぞくず)》
寛政4~6年(1792~94年)ごろ/二幅/紙本着色
右幅107.0×52.8センチ、左幅107.1×52.6センチ(永田コレクション)


●お問い合わせ

島根県立美術館
松江市袖師町1-5(TEL:0852・55・4700)
開館時間/
【10月から2月】午前10時~午後6時半(入場は午後6時まで)
【3月から9月】午前10時~日没後30分(入場は日没時刻まで)
休館日/毎週火曜日・年末年始(12月28日~1月1日)



お問い合わせ先

広聴広報課

島根県政策企画局広聴広報課
〒690-8501
島根県松江市殿町1番地   
【電話】0852-22-5771
【FAX】0852-22-6025
【Eメール】kouhou@pref.shimane.lg.jp