すまいる
女子神楽同好会「舞姫社中」/河本菜々映さん・中可南子さん
大好きな石見神楽が舞える喜び
さおに見立てた棒を大きく振り、おどけたしぐさで魚釣りに興じる恵比須様。テンポの速い笛や太鼓の囃子に合わせ、稽古場狭しと動く舞い手を指導担当の男性がじっと見守っています。見事タイを釣り上げて20分に及ぶ演目が終わると、「ほぼ完璧。恵比須が本当に笑ってるように見えるよ」と高評価。恵比須の面を外した河本菜々映さんが、息を切らせながらほっとした表情を浮かべました。
石見神楽の盛んな浜田市に育った河本さんは、神社の奉納神楽を夜通し鑑賞するほどの神楽好き。舞い手も奏楽もすべて女性の神楽同好会「舞姫社中」が2021年4月に発足することを知ると、すぐにメンバーに名乗りを上げました。
これまで見るだけだった石見神楽をいざ舞ってみると、手足の運びや細かな表現は予想以上に難しく、重さ10キロを超す衣装を初めて身につけた時は「普段の2倍のエネルギーが必要。体力をつけなくちゃ」とこぼしたほど。仕事と両立する大変さもありますが、地元神楽社中が指導に駆けつけてくれたり、知人に「頑張ってるね」と声をかけられたりすることに「人との関わりが広がるのも魅力的。地元をすごく楽しんでいます」と話します。
恵比須役の練習をする河本さん
河本さんとともに「恵比須」の演目で舞い手を務める中可南子さんは、子どもの頃から石見神楽に取り組む生粋の“神楽女子”。その経験を生かして、口上のある役に挑みます。石見神楽は動きが激しく舞い手はほぼ男性が占めているだけに、社会人になっても舞姫社中で舞えることの喜びはひとしお。活動には自然と熱が入り、自分の出番を終えても稽古場の後ろで同じ振りを繰り返し練習しています。
「神楽好きの女性仲間ができてうれしい。石見神楽が好きすぎて、島根から離れられません」という中さん。石見神楽と古里への愛着があふれています。
衣装を着けて練習する中さん
他のメンバーも大蛇の蛇胴の扱いや奏楽を学ぶ姿は真剣そのもの。目指すのは、2022年3月に予定している初公演です。「私も心動かされたように、見る人を笑顔にする石見神楽を舞いたい」と河本さんは意気込みます。
奏楽の指導を受ける舞姫社中のメンバー
蛇胴を扱うコツをマンツーマンで学ぶ
かわもと・ななえ(中央左)
1996年生まれ、浜田市出身・在住。関西の大学に進学し、就職を経て2019年夏にUターン。各地の神社を訪ねては、奉納神楽を鑑賞しながら地域の人と交流するのが楽しみ。舞姫社中では演目「恵比須」の主人公を担当。
なか・かなこ(中央右)
1999年生まれ、江津市出身・在住。小学4年生から子供神楽に加わり、中学・高校・大学を通してクラブ活動は石見神楽。舞姫社中では演目「恵比須」の舞い手を担当。夢は石見神楽を世界遺産にすること。
舞姫社中
浜田市の石央文化ホールを事務局として2021年4月に発足。22人のメンバーは地元を中心に、隣県からの参加者も。浜田石見神楽社中連絡協議会に加盟する11社中が指導や衣装の貸出などのバックアップを行っている。
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