しまね散歩:松江・美保関編/ステキな出会いを探します
小さな港町に受け継がれるストーリー
青石畳通り
江戸時代に北前船交易で栄えた港町、松江市美保関町。早起きして夜明け前の散歩に出かけると、真っ暗な海から煌々(こうこう)と明かりのともる港に漁船が帰港しました。着岸するや、すぐさま魚の仕分けが始まります。魚種ごとにトロ箱に入れて氷を詰めて運搬…と漁師たちはあうんの呼吸。その隙間を縫って、旅館の目利きたちが魚を買い付けていきました。
気づくと空は白み始め、ようやく日の出です。朝食をとってから散策に出直すと、海上安全の神・えびす様を祭る美保神社へ向かう地元の女性を見かけました。拝殿や摂社、末社に一つ一つ手を合わせるのが日課の様子。そののち神職の方たちが拝殿に上がると、朝御饌祭(あさみけさい)という神事が始まりました。静まる境内に響く笛と太鼓の音、巫女(みこ)の舞う姿に、朝が一層すがすがしく感じられます。
神社を出ると、土産物店から香ばしい焼きイカの香り。屋台を再開したばかりという石倉美由紀さんは「ほかの屋台はお休みで、門前がさみしくて。うちぐらいは頑張らなくちゃ」。話しながら、お勧めの青石畳(あおいしだたみ)通りに案内してくれました。
青石畳通りはかつての本通りにあたり、回船問屋や旅館がひしめいた往時の面影が残っています。その名の通り、青みがかった凝灰岩が敷き詰められていて、遠方から運ばれた石もあるそう。観光ガイドも務める酒店の店主・福田公一さんが「福井県からのお客さんが、古里の笏谷(しゃくだに)石を見つけてびっくりしていましたよ」とエピソードを披露してくれました。
空腹を感じてきたところで、海鮮丼の文字を見つけて福間館へ。丼に載ったシイラにカツオ、ウスバハギ、みそ汁のヤガラも、港で今朝捕れたもの。福間館の福間治さんは、「魚種が多いから次はどんな魚に出合えるか。それが喜び」。その醍醐(だいご)味を、しっかり味わいました。
腹ごなしに歩いていると、ザクロの木が立つ古民家がありました。家を管理する旅館「美保館」の定秀陽介さんによると、「ここに住んでいたおばあちゃんがお嫁に来たときに植えたもの」。木を大切に受け継ごうとゲストハウスに改装し、宿名を「石榴(ざくろ)」と名づけました。改装には地元大学の建築科の学生が参加し、2階のリノベーションを担当したそう。「学生がたくさん案を出し、実際に大工仕事もしてくれたんです」と定秀さん。小さな町にまつわるストーリーは尽きそうにありません。
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