島根PR情報誌「シマネスク」(2022年3月発行)
すまいる
イチゴ農家/池田佳奈さん
イチゴ農家を土台に広げる交流の輪
高設栽培のイチゴ畑があるビニールハウスで、早朝から汗を流す池田佳奈さん。甘い香りを漂わせる真っ赤なイチゴの熟し具合を見定めては、一粒ずつ丁寧に摘み取っていきます。おいしいイチゴを出荷するため収穫作業は日が高くなるまでに終わらせる必要があり、最盛期は時間との勝負。作業をスピードアップさせながらも、イチゴをかごへ並べる手つきは、まるで大切な宝物を扱うようです。
池田さんが農業を始めたのは2018年、生まれ育った大阪から夫の古里である安来市に移住したのがきっかけでした。ゆったり子育てしようと農地に囲まれた古民家を購入し、仕事探しを始めると「たまたま産業体験に行った所がイチゴ農家だったんです」。安来は山陰随一のイチゴ産地で就農支援が充実していたこともあり、未経験ながら農業の世界に飛び込みました。
苗の育て方や出荷時期の調整方法、経営などのノウハウは先輩農家に“弟子入り”して習得。夏から秋は約1万株の苗の葉を適度に取り除く作業が続くなど、「収穫期以外も手間がかかることを知った」と話します。里帰りで家を空けたときはハウスが暑すぎないか、横風が当たっていないかと心配ですぐに戻ってきたといい、丹精込めて育てるイチゴは「わが子のよう」と愛情を注ぎます。
収穫したイチゴ
初めての収穫を迎えたときは大きな喜びを感じた一方で、熟しきったイチゴは傷みやすいため出荷できませんでした。「捨てるのはもったいないし、完熟のおいしさをいろんな人に知ってほしい」と納屋を自ら改装して、翌年カフェ「苺やkirito」をオープンさせました。
苺やkiritoの外観
イチゴ模様いっぱいのカフェの店内
彩りや香り、味の濃淡を考え、数種類のイチゴを組み合わせてスイーツを作るのはイチゴ農家ならでは。店内では手作り雑貨を販売したり、ワークショップを開いたりと、交流拠点にもなっています。
池田さんが育てたイチゴのスイーツ
「大阪では飲食店を経営し、いろんな人と出会って刺激を受けていたんです。今は刺激を自分でつくっちゃおうと思って」と池田さん。人の輪を広げながらも、「農繁期はカフェはお休み。あくまで農業が主なんです」と島根の大地にしっかりと根を張っています。
いけだ・かな
1982年生まれ、大阪府出身。大阪市内で飲食店を経営していたが、長女の誕生後に夜間保育を利用しながら都会で子育てすることの難しさを感じて、2018年に家族で安来市に移住。安来市の産業体験でイチゴ農家を訪れたことから興味を持ち、就農した。現在は11アールのイチゴ畑とカフェを切り盛りしながら、イチゴや地元食材の加工品製造に向け準備中。夫と長女、長男の4人暮らし。
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