島根PR情報誌「シマネスク」(2022年7月発行)
すまいる
スポーツサイクル専門店店長・陰山玄交さん
仲間との縁・大切に駆ける自転車愛
眼下に宍道湖を見下ろす出雲市の山あい。険しい雑木林の中を、マウンテンバイク(MTB)を愛する仲間たちが限界までスピードを上げて駆け抜けます。
コースは、出雲市でスポーツサイクル専門店を営む陰山玄交さんが仲間たちと自力で切り開きました。今ではMTBに興味を持った地元の中学生も練習しに来ます。「自転車が結ぶ縁でたくさんの人と出会い、一緒にレース出場を目指す過程が楽しいんですよ」。自然林の根っこがむき出しになった起伏の激しい山道に声を弾ませる中学生を見つめながら、陰山さんは話します。
陰山さんがMTBを始めたのは高校時代。大学を卒業後、県外の会社に勤めていましたが、専門店開業の夢をかなえるため、古里の出雲市にUターンしました。店を営業するかたわら、子どもたちの指導も行い、後に高校生プロとなる全日本自転車競技選手権ダウンヒルのチャンピオンも、この山から誕生しました。
中国地方全域からお客が訪れる店内には、アメリカやイタリアから輸入したMTBとロードバイクがずらり。自由な雰囲気が漂い、カウンターで自転車談義に花を咲かせる常連客や、レース出場を目指す中学生がお店のMTBを借りて、友達と練習に出掛ける姿もあります。
スポーツサイクルが並んだ店内
訪れる客の中には、30年もののスポーツサイクルの修理を持ち込む人も。その理由は自転車店には珍しい、整備ヤードの大きな旋盤(せんばん)機械にあります。お客が求める自転車の性能を引き出すために、陰山さんはそれぞれに合った部品を一から作っているのです。
客の要望を受けて自転車を整備する陰山玄交さん
丁寧に点検される部品
「愛車を大切にする人に応えるのが専門店の使命」と、ひっきりなしに舞い込む修理や問い合わせに丁寧に応じる陰山さん。自転車愛好家の中には「いろいろな店を回ったが、最後にここにたどり着いた」と話す人も少なくありません。
「島根には、宍道湖や国立公園の三瓶山があります。自転車にまたがって魅力的な風景を見つけてもらえるとうれしい」と、今日も仲間と自転車で島根を駆け巡ります。
かげやま・みちとも(右から2人目)
1976年、島根県出雲市生まれ。高知県の大学を卒業後、県外の会社に勤務。2010年にスポーツサイクル専門店「TECH. cycle build(テックサイクルビルド)」を開業。2019年に社会人ロードレースチーム「カミアーレ出雲」を結成し、全国大会の島根代表チームのメカニックも務める。自らMTB競技を続け、2021FDAパノラマ杯ダウンヒル40歳以上の部で優勝。
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