島根PR情報誌「シマネスク」(2022年7月発行)
しまね散歩:浜田・朝日町編/ステキな出会いを探します
老舗と新顔
商店街にうまれる活気
地球堂模型
全国有数の港町として知られる浜田市。旧浜田藩の古い町割りを残す市街地の東側、約800メートルにわたって直線道路が延びるエリアに、朝日町の商店街があります。
土曜日の昼下がり、地球堂模型を訪れると、小学生や30、40代の男性客たちが和気あいあいとプラモデルを作っていました。キャラクターの模型を作る女の子の姿も見えます。
店主の南條達也さんは、10年前に大阪からUターンし、祖父母が営んでいた模型店の後を継いだのだそう。「朝日町に楽しい場所を残したかった」。今では少なくなった模型専門店に懸ける思いを語ります。
店内には車や機動戦士ガンダムのプラモデルとともに、専用塗料や工具が所狭しと並びます。工具の使い方を教える対面式サービスが人気で、山陽方面からもたくさんの人が訪ねて来ます。
工作室では、100円ショップで買った生活用具を改造してジオラマの建物にした作品も生まれました。プラモ愛好者のアイデアが花開く空間です。
地球堂模型から歩くこと3分、ボードゲームハウスを発見。400種類のゲームを取りそろえる「さんちゃご」は夜11時まで営業しています。仕事帰りの30、40代が初対面にもかかわらずその場で輪をつくり、にぎやかに駆け引きを楽しみます。
「南條さんと一緒に、遊びで朝日町を元気にしたい」と店長の野地恵介さん。店舗の2階にはミニ四駆愛好者のためのレース場もあります。
朝日町商店街の歴史は明治時代後半、浜田に陸軍歩兵連隊が置かれたことに始まります。田園が広がる一帯に、連隊への差し入れ品などを扱う商店が建ち並んだことで、一直線に延びる町並みが形成されたといいます。
江木蒲鉾(かまぼこ)店が創業したのもこのころ。魚のすり身に唐辛子を練り込み、パン粉を付けて揚げた、浜田のソウルフード「赤天」の老舗です。
店内をのぞくと、専務の江木功平さんが来店客に丁寧にお礼をしていました。昨年の春にUターンし、現在は4代目の父親の下で修行中。「赤くて辛い、ありそうでない、この練り物を、県外でも広く知ってもらいたい」と力強く話します。
地球堂模型の南條さんに「珍しい店がある」と言われて訪ねたのがイサミヤ邦楽器店。知る人ぞ知る和楽器の専門店です。
店に近づくと中から「カン、カン」という音が。2代目の田中耕太郎さんが三味線の皮を引っ張るため、「木栓」を打つ音です。和楽器の修理を手掛ける業者が減り、県内では唯一の専門店。学校や一般の演奏グループから、広く依頼を受けています。田中さんは「『いい音色になったよ』と言われるのが何よりうれしい。和楽器の響きを大切にする人がいる限り、この仕事を続けたい」と話します。
城下町に明治以来の歴史と街並みを残してきた朝日町。新しい店も老舗も一体となって、町に活気をうみ出しています。
新型コロナウイルス感染防止に配慮して撮影しています。
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