すまいる
西ノ島町のプログラマー・小山瑛司さん
アプリ開発からグッズ製作まで小さな挑戦にあふれる日々。
火山活動の外輪山からなる島々が、円形に並ぶ隠岐島前(どうぜん)。海底に沈んだカルデラは穏やかな内海となり、島を結ぶ内航船が白い航跡を描いて行き交っています。
その内海のほぼ中央に位置する西ノ島町美田(みた)地区で、小山瑛司さんは家族4人で暮らしています。航海安全の神を祭る焼火(たくひ)神社の参詣口にあたる集落は昔ながらのたたずまいが残り、「移住者の私たちにも分け隔てなく、居心地がいい」と小山さん。幼いわが子が近所の子たちに手を引かれて遊びの輪に加わるのも、すっかり見慣れた光景です。
妻・亜理沙さんの転職をきっかけに島へのIターンを決めた小山さんは、ソフトウエア開発をしていた経験を生かし、プログラマーとして独立しました。移住直後は知人もおらず仕事は手探り状態。「ただ、この地域にはあまりいない職種なので、いずれどうにかなると焦りはなかった」といい、妻の出勤を見送ってから仕事や家事、育児をする日々を満喫しました。
現在は「隠岐デジタルラボ」を設立し、地元企業のホームページ制作や町の情報検索システムの開発、学校のICT(情報通信技術)支援などに取り組んでいます。仕事の幅が広がるきっかけとなったのは、スタッフとして働いている観光協会の会長から「運航会社の違うフェリーと内航船の乗り継ぎを、簡単に調べられるようにならないか」と相談されたこと。検索アプリをつくって無料公開したところ、腕を認められて仕事の依頼が徐々に増えました。
受託業務だけでなく、プログラミング教室の開催や3Dプリンターを使ったご当地キャラの土産物開発にも着手。「興味あることは何でも、小さく始められるから挑戦のハードルが低い。地域の人も力を貸してくれます」と小山さん。ユニークなものにはカプセルトイの機械を利用した“おやつ自販機”も。「親子連れが不便だろうと思って、近くにお店がない施設に設置させてもらいました。もう自分が何屋さんだか分かりませんね」と笑います。
音楽好きの夫婦は小山さんがサックス、亜理沙さんがフルートを担当して地域のイベントやバンドにも積極的に参加。「誘われたら、参加してみるのが島暮らしを楽しむモットー」といい、交流の輪を広げています。
3Dプリンターを操作する小山瑛司さん
小山さんが3Dプリンターで製作したご当地キャラグッズ
家から数分の海は格好の遊び場
地元のイベントにサックス奏者として参加
こやま・えいじ
1985年生まれ、東京都出身。妻が隠岐島前高校(海士町)の教員に採用された2015年に、隣町の西ノ島町へ千葉県からIターン。現在は妻と子ども2人の4人暮らし。仕事場に充てた洋室にテントを張って秘密基地のようなパソコンルームにしたり、気分転換に公立図書館や焼火神社で仕事をしたりするなど、時間や場所が自由な働き方を楽しんでいる。
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