しまね散歩:津和野編/ステキな出会いを探します
昔ながらの町並みと受け継がれる好学の気風こそ財産。
殿町通りを歩く津和野高校生
小さな盆地に江戸から昭和初期のたたずまいが残る山陰の小京都、津和野。SLやまぐち号がやってくるJR津和野駅から城下町へ歩き出すと、街角に「鯉の米屋」という大きなのれんを発見。吉永米店に入ってみることにします。
中庭の池には色とりどりの錦鯉が泳ぎ、ふくよかな姿は思わず見入ってしまうほど。店内には交流スペースや観光パンフレットもあり、まるで小さな道の駅のようです。店主の吉永光男さんは町おこしの仕掛け人の顔も持ち、屋外で映像とお酒を楽しむイベントなどを企画。「お金で買えない楽しみを、自分たちでつくっている」と話します。
津和野には独特のお茶があると聞き、米屋さんを後にして上領茶舗(かみりょうちゃほ)へ。マメ科のカワラケツメイを煎じた「ざら茶」を製造販売する老舗です。
切り盛りしているのは、祖父母の跡継ぎとして3年前に大阪から“孫ターン”したリコッタ上領瑠美(かみりょうるみ)さん夫婦。「店内で製造、ブレンドする小さな店だから、できることがある」といい、フランス人の夫と始めたのは、顧客一人一人に合わせたオーダーメイドのお茶やブレンドティーの販売です。秋の新作は、ざら茶にリンゴとシナモンを加えたもの。香ばしさの中にほんのりフルーティーな甘みがあり、和やかな気持ちになります。
香りの余韻に浸りながら鯉の泳ぐ水路や文豪・森鴎外らを輩出した藩校養老館を眺めて散策していると、高校生が集うお店がありました。学割でジェラートが食べられる和菓子店・三松堂は、津和野高校生の憩いの場です。
「英語や国際理解に興味があって、島根に留学※しました」と話してくれたのは、1年生の盛颯羽(もりそわ)さん。高校の敷地内にある町営英語塾「HAN−KOH」で個別指導を受けたり、海外で起きている人権問題を学んだりしているそうです。2年生の井東藍さんは、部活動で体験した野菜の栽培と販売から、商売の仕組みや売れたときの喜びを実感したそう。「HAN−KOHでも経営について学んだので、経済や経営を学べる大学が目標になりました」と話します。
高校入学に合わせて町へ移住した2年生の池田理葵(いけだりき)さんは、昨年夏から8カ月間フィンランド留学を経験。「もともと興味はあったけど、留学経験のある先輩が背中を押してくれた」と話す彼もまた、誰かの背中を押すのかもしれません。
高校生と別れて太皷谷稲成神社の参道を歩いていると、土産物店のご主人が顔見知りの生徒に声をかけ、帰宅を見送っていました。「授業で町の調査に来た子でね。よく調べてレポートにしてくれたんだよ」
温かなまなざしに、好学心を尊ぶ町の気風を感じました。
※しまね留学…県外から島根県の高校へ入学し、充実した3年間の高校生活を送る制度
新型コロナウイルス感染防止に配慮して撮影しています。
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