冬の胃腸炎の主役!ノロウイルス
冬はウイルスによる胃腸炎のシーズンで、下痢やおう吐などの症状の胃腸炎が多くなります。
胃腸炎を起こすウイルスにはいろいろな種類がありますが、その中でも多くの原因となっている
のがノロウイルスです。
ノロウイルスは、カキなどを生で食べたときに食中毒として胃腸炎になる場合と、感染した人
の便や吐物から他の人へ感染して胃腸炎になる場合の2つのパターンがあります。
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ノロウイルスとインフルエンザウイルスの電子顕微鏡写真 |
●ノロウイルスってどんなもの?
ノロウイルスは大きさが約30nm(ナノメートル)で、ウイルスの中では小さなウイルスです。
大きさが約100nmのインフルエンザウイルスと比べてみてください。
以前、小型球形ウイルス(SRSV)と呼ばれていたウイルスの多くはこのノロウイルスです。
SRSVはノロウイルスの他にサポウイルスなどが含まれています。
現在、ノロウイルスは遺伝子のタイプにより、GIとGIIの2つの群に大きく分けられていて、
さらに何種類もの型に細かく分かれます。
●どこから感染する?
ノロウイルスは人の腸の中で増殖します。増殖したウイルスは、便や吐物といっしょに体の中から
出てきます。下水道などを通り海に流れ込んだウイルスは、カキなどの2枚貝の中に蓄積されます。
もし、ノロウイルスに汚染されたカキなどを生で食べてしまった場合、食中毒として発症することに
なります。
下痢をした便やおう吐物をきちんと処理しなかったらどうなるでしょう。
ノロウイルスはほんの少しの量でも感染してしまうため、トイレに
行った後に手をきちんと洗っていないと、ドアノブやタオルに付いたウイルスによって、他の人が感
染してしまうかもしれません。
また、乾燥した便やおう吐物の飛沫が、空気中に舞い上がって大勢の人に感染することもあります。
●症状は?
人の腸内で大量に増殖します。そのため、吐き気やおう吐を始め、下痢・腹痛などの胃腸炎症状をお
こします。この他に発熱や、頭痛や上気道炎などの軽い風邪に似た症状をおこす人もいます。
通常の場合これらの胃腸炎症状は1〜3日で治まり、後遺症はありません。しかし、
体力の弱い幼児や高齢者などの場合、ひどい下痢により脱水症状をおこすことがあり、
入院が必要になることがあります。感染すると全ての人が発症するわけではなく、症状の無い人もいます。
症状が治まった後も、ノロウイルスが2〜3週間ぐらい便の中に含まれます。自分が治ったからといって
油断をしていると、他の人にウイルスを感染させてしまいます。手洗いをしっかりとして、感染を広げないよう十分注意しましょう。
●感染を予防するにはどうすればいいの?
食中毒のサイクルを絶つ!!
・カキはできるだけ加熱して食べましょう ⇒ ノロウイルスは85℃以上1分で死んでしまいます。
・他の食品にウイルスを移さない ⇒ まな板や包丁、調理する人の手にノロウイルスが付くと、
汚染を広げてしまいます。調理器具の洗浄と手洗いをキチンとしましょう。
感染症のサイクルを絶つ!!
・ノロウイルスを洗い流す ⇒ トイレの後、調理をする際、食事の前には石鹸と流水でよく手を洗いましょう。
・便やおう吐物にさわらない ⇒ おう吐物や汚れた衣類などを片付けるときは、ビニール手袋をして使い捨てのペーパータオルなどを利用しましょう。
・飛び散ったウイルスを吸わない ⇒ マスクをしたり、窓を開けて空気を入れ換えたりしましょう。
・ノロウイルスを消毒する ⇒ 汚染されたトイレや床、ドアノブなどは、塩素系漂白剤を含ませた布でふき取ります。
衣類などは塩素系漂白剤または熱湯でつけ置き洗いします。(消毒用アルコールはノロウイルスに効果なし!)
・自分がノロウイルスを広げない ⇒ 症状は1〜3日で治まりますが、2〜3週間は便中にウイルスが含まれることがあるので手洗いはしっかりと!
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感染性胃腸炎に注意しましょう![島根県感染症対策室:PDF版286KB]