島根県と中国吉林省が交流を始めてから今年で３０周年を迎えました。これを記念し、中国吉林省を紹介する写真展を県内２箇所で開催することとなりました。今回は特に吉林省の雄大な自然環境にスポットをあてた写真を集めました。この機会に、中国吉林省の春夏秋冬、豊かな自然の魅力あふれる写真をご覧ください。

 

■開催場所

・東部会場

　日時：令和６年11月22日（金）～12月１日（日）

　場所：カラコロ工房地下展示場（大）〔島根県松江市殿町４３〕

・西部会場

　日時：令和７年１月25日（土）～１月31日（金）

　場所：ゆめタウン江津１階みどりの広場〔島根県江津市嘉久志町２３０６‐３０〕

 

　写真：長白山「天池（てんち）」

 

■島根県と中国吉林省との友好交流の歩み

　島根県と吉林省は今から３０年前の１９９４年６月、経済交流や、文化、自然保護など様々な分野で交流を行うことを定めた「友好交流に関する覚書」を交わしました。 その後、さらに友好関係を深めるため、2018年10月に「友好県省提携に関する協定書」に調印しました。 　

　行政学術関係では、島根大学と島根県立大学がそれぞれ、吉林省から現在まで多くの留学生の受入、学術交流を行っています。

　青年交流では、スポーツや伝統芸能を通じた交流や、島根県や吉林省など北東アジアの青年が参加する交流プログラムを行い、未来の両県省の友好を担う若者の交流に取り組んできました。

　また、島根県ではこれまで18人の吉林省出身の国際交流員を招致しています。国際交流員は、吉林省との連絡調整、訪問客の通訳、中国や吉林省の紹介などを行っています。また、帰国した後も、島根県と吉林省の橋渡し役として、友好のために活躍しています。

　今年は友好交流３０周年記念事業として、５月に中国吉林省にある東北師範大学の学生が島根県で伝統音楽・舞踏を披露する公演を開催しました。

　また、10月には中国吉林省において、島根県の魅力を紹介する写真展が開催されました。

 

■吉林省の概要

・地理

　吉林省は、略称を「吉」とし、中国の東北地方に位置しています。国境に位置する9つの省の一つで、面積は18.74万平方キロメートル、総人口は2339.41万人です。

　省都は長春市で、政治、経済、科学教育、文化、金融、交通の中心です。また、長春市は「自動車の街」「映画の街」「科学教育文化の街」「森林の街」 「彫刻の 街」としても知られています。

 

・農業

　吉林省は中国の主要な穀物生産地であり、「ゴールデン黒土ベルト」「ゴールデンコーンベルト」「ゴールデンライスベルト」と呼ばれる肥沃な地域が省内に広がっ ています。

　穀物の総生産量、単位面積当たりの生産量や出荷量は長年にわたり中国でも上位に位置しています。2023年の穀物生産量は約418万トンで、 中国内（４直轄市、２３ 省、５自治区、２特別行政区）の中で第４位、単位面積当たりの生産量は第１位です。

　

・産業

　吉林省は東北地方の歴史ある工業地帯です。特に加工製造業が盛んで、自動車、石油化学、食品、装備製造、医薬・健康が主要産業になっており、 自動車や新幹線の製造技術は中国内 でトップクラスです。

 

・人文科学・教育・文化

　吉林省には吉林大学をはじめとする66の高等教育機関と、長春光機所など１０７の研究機関があります。科学者やエンジニア、大学生の人数は、 いずれも中国内で第 ６位を誇ります。文化の面では、氷雪文化（※注）、自動車文化、映画文化、農耕文化等の特色があります。

　 ※注…氷雪文化とは、厳しい寒さをメリットと捉えて、スポーツや芸術活動等に活かした 文化のことです。

 

・自然

　吉林省は地域により特色があり、東部は山々に囲まれ、水が青く、空が晴れ渡っています。中部ではいくつもの河川が交わり、森林と農地が広く存在しています。

　西 部には広大な湿地が広がっており、湖では漁業も盛んです。

　吉林省の面積に占める森林の割合は45％で、東部地域では70％を超えており、「天然の酸素バー」とも呼ばれています。また、寒冷な気候であることから 「避暑 地」「スキー天国」としても知られています。自然環境が豊かな観光地である長白山、松花湖、査干湖、松花江、鴨緑江、図門江、 そして、四季が明瞭であることにち なんで「一山二湖三江四季」と呼ばれるエコツーリズムが推進されています。

　また、吉林省は自然を活かした地域づくりの試験的取り組みを行う省であり、４６の自然保護区を有しています。 長白山自然保護区は、国連によって「人と生物圏自 然保護地域」に指定され、国際的に絶滅危惧種とされるアムールトラやコウノトリなどが生息しています。

 

　写真：長白山