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県東部初!集落営農法人同士の合併調印式開催される

出雲市斐川町の集落営農法人、農事組合法人アグリード羽根と農事組合法人神田の合併協議が整い、10月25日(火)、JAしまね斐川地区本部営農総合センターで調印式が開催されました。合併法人の設立は来年2月1日、名称は「アグリードいずも」の予定です。

 合併契約書への調印は、アグリード羽根の黒田幸司組合長と神田の富岡俊夫組合長が行い、合併に関する制度や手続きについて支援チームを組んで対応してきた出雲市斐川農業事務所、JAしまね斐川地区本部営農部、当農業部のそれぞれの長も参加し、調印を見届けました。

 今回の合併は、令和2年に斐川町の南部地域に隣接する4法人の合併構想を黒田組合長が呼びかけたことが発端。この呼びかけに応じた冨岡組合長との間で相談が行われ、令和3年7月に、両法人の組合長や専従者等をメンバーとした合併検討委員会が発足しました。その後、この検討委員会での協議やそれぞれの法人での議論が行われ、今年8月に合併の方針が確認されました。

 関係機関では、令和3年度に、両法人を県農業経営相談所の重点対象に登録し、チームを組んで支援をしてきました。前例も少ない中、専門家相談会の結果をまとめ、関係法令の内容確認や他県資料の収集も行うことで制度面や手続き面の整理を行いました。こういった対応により、両法人には役員間や法人内での話し合いに集中していただけたのではないかと感じています。

 両法人は任意組織からの法人化の際に専従(専業で法人業務にあたる者)体制を確立し、水稲を中心に、ハトムギ、大麦や水田放牧に取り組んできたという共通点があります。また、規模も30ha前後、組合員数も20名弱と似通っていたことも合併には好都合であったといえます。しかし、何と言っても「若い専従者の待遇を改善して将来性のある経営体に発展する」という両組合長の決意が合併への障壁を取り除いたといえると思います。

 今後は、更に周辺法人との合併や農地集積を進め、100ha規模を目指す方針です。令和4年には、アグリード羽根で新たに米の乾燥調製施設が稼働しており、ほ場の排水性の悪さもあって水稲中心の経営にならざるを得ない中、米のプレミアムをどう付けていくのか、多収穫米の取り組みも含め、いかにコストを下げていくのかが新法人の課題です。「法人の収益拡大・経営安定と専従者の待遇改善」という合併の目的が達成されるよう、引き続き関係機関が協力して対応していきます。

黒田組合長と富岡組合長の写真

写真.黒田組合長(左)と富岡組合長(右)

鹿児島全共で快挙!(有)藤増が大躍進!出雲農林高校は顔品賞受賞!

 10月6~10日に開催された本大会には、管内から(有)藤増と出雲農林高校が出品しました。

 (有)藤増から出品された牛の枝肉成績は、種雄牛「久茂福」の子として出品された第6、8区において、3頭ともBMSNo.12と脂肪交雑の評価が最高となりました。とりわけ、第8区(去勢肥育牛)の牛は、ロース芯面積、歩留、MUFA(一価不飽和脂肪酸)予測値も優れており、全出品牛58頭のうち2位として評価されました。また、種雄牛「百合久勝」の子として出品された第7区(脂肪の質評価群)では、3頭ともBMSNo.11~12と高く、MUFA(一価不飽和脂肪酸)予測値が高水準であり、全出品群21群のうち2位に評価されました。

 また特別区は、出品牛と出品校の取り組み発表を総合して審査されます。出雲農林高校は、祖父が「久茂福」、父が「百合五月」の「すずらん」号を出品し、誕生に至った経緯や飼養管理方法、未来の後輩たちへの思いについて発表されました。結果は、全出品校24校のうち5位と好成績であり、「すずらん」号には最も顔が美しく品位がある牛として顔品賞が贈られました。

 出雲市出品対策協議会の一員である当農業部は、これまで全共候補牛の出生時以降の発育データを共有する等、関係機関と連携を強化しながら出品候補者へのサポートを実施してきました。引き続き各種共進会候補牛に対する飼養管理指導等を行いながら、しまね和牛の肥育成績向上や後継者育成への支援を実施していきます。

表1.(有)藤増出品牛の枝肉成績

(有)藤増出品牛の枝肉成績の表

第8区出品牛の枝肉断面の写真写真1.第8区で優等賞2席となった牛の枝肉断面

出雲農林高校の出品者と牛の写真写真2.出雲農林高校の出品者と顔品賞を受賞した「すずらん」号

アスパラガス&白ねぎチャレンジ講座開講中!!

 出雲市では、新規就農や定年帰農を目指す方を対象に、「出雲市アグリビジネススクール」全5講座を開催しています。令和4年からは新たに「アスパラガス&白ねぎチャレンジ講座」が開講され、9名の受講生が全13回の講座(座学および実習)を通じて、水田園芸振興作物であるアスパラガスと白ねぎ栽培の基礎知識を学んでいます。

 本講座は令和4年1月から12月まで実施され、出雲市内のアスパラガス・白ねぎ農家を実習講師に、作物の生育に合わせた栽培管理を学ぶほか、当農業部が講師を務め、基本的な栽培技術・知識に関する講義も行います。

 6月28日に行われた白ねぎの定植実習では、前回の実習で播種した白ねぎ苗を使用し、約1時間半の作業で10a分の定植を行いました。また、8月2日の実習ではアスパラガスの夏芽収穫を行い、春芽収穫時とは異なるアスパラガスの様子に驚いた様子の受講生もいました。

 受講生の中には、アスパラガスでの就農を控えた農林大学校短期養成コース研修生や、新規品目として白ねぎ導入を目指す認定新規就農者がおり、アスパラガス栽培と共に、補完品目としての白ねぎ栽培を学んでいます。当農業部では、アスパラガスと白ねぎの複合経営による新規就農者を育成するため、今後も「アスパラガス&白ねぎチャレンジ講座」への支援を行っていきます。

アスパラガス春芽の収穫(3月)の写真アスパラガス春芽の収穫(3月)

白ねぎの定植作業(6月)の写真白ねぎの定植作業(6月)

~環境にやさしいぶどう栽培とコスト削減による担い手の経営発展に向けて~

出雲市グリーンなぶどう栽培体系実証協議会が設立

 消費者の環境意識の高まりや燃油高騰を受け、加温デラウエア生産におけるCO削減やコスト削減、省力化に向けた取組みを進めるため、出雲市・JAしまね出雲地区本部・JAしまね出雲ぶどう部会・実証農業者・当農業部で構成する本協議会が設立されました。

 実証期間は今年12月から来年5月まで、燃油削減によるCO排出量や作業時間の削減効果、導入コスト及び果実品質等について検証し、新たな栽培体系や省力化の取組みの普及につなげる計画としています。

 会長に選任されたJAしまね出雲ぶどう部会長は、「少しでもコストダウンにつながれば燃油や肥料の高騰に苦しんでいる生産者に勇気とやる気を与える。新規就農者を呼び込むための良いきっかけにもなる」と期待を語りました。

 JAしまね出雲ぶどう部会では、昨秋から関係機関と農家が産地の将来像について検討を重ね、今年4月に「出雲ぶどう産地再興ビジョン」を策定しました。このビジョンでは、産地として中核的な担い手の経営発展を支援し、新規就農者の育成に取組み、次世代につなぐぶどう産地を目指すこととしており、本協議会の実証試験もこのビジョンの一環となるものです。

 当農業部としては、今後も引き続き関係機関及び生産者と連携しながら、産地再興ビジョンの着実な実践を支援していきます。

本実証に対する期待を述べられる部会長の写真本実証に対する期待を述べられる部会長

管内で普及している一般的な加温機の写真管内で普及している一般的な加温機

出雲市斐川町における水稲低コスト・省力技術について

 出雲市斐川町は耕地面積に占める水田の割合が88%、水稲の作付割合が52%と水稲栽培が主要な作物となっていますが、昨今の米価下落により水稲栽培以外に麦、大豆、小豆、ソバ、ハトムギ、タマネギ、キャベツ等の栽培によりブロックローテション(2年3作等)を行い土地の有効活用および高収益作物への転換が進められています。

 このように水稲から高収益作物等の他品目への転換を行う事で土地利用率を上げ、生産者の所得向上を図ることができますが、春秋の作付移行期には水稲の育苗、田植え、収穫作業が他品目の作業時期と重なるため、如何に水稲作業を省力化し他品目の作業時間を確保するのかが課題となります。そこで水稲栽培において導入されているのが直播栽培や高密度播種育苗です。

 直播栽培は出雲市斐川町で約74ha行われています。鉄コーティング、カルパーコーティングだけでなく、より低コストで容易に種子製造できるべんがらモリブデンという新コーティング技術も取り入れられています。また、大きな圃場でも除草剤の効果を安定させるため、レーザーレベラーを使用して圃場の均平を図っています。その他にも代かきの方法や水管理の違い等、技術の向上と安定のポイントについて水稲直播部会による講習会で徹底が図られています。

 高密度播種育苗は田植機や播種機の更新の際に取り入れる生産者が増え、苗箱数が減ることで田植え作業時の人員を削減でき省力化が可能となっています。更にかん水作業の省力化のためにプール育苗を行っている生産者もいます。

 しかし、いずれの技術も一般的な移植栽培に比べて収量が安定しないことから、出雲農業部では、引き続き技術の確立に取り組み、水稲育苗の省力化と水田園芸の推進に取り組んでいきます。

直播栽培発芽の様子の写真<直播栽培>発芽の様子高密度播種育苗播種の様子の写真<高密度播種育苗>播種の様子



お問い合わせ先

東部農林水産振興センター

島根県東部農林水産振興センター 
  〒690-0011 島根県松江市東津田町1741-1
  TEL: 0852-32-5638/FAX: 0852-32-5643
  e-mail: tobu-noshin@pref.shimane.lg.jp

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  安来農業部(島根県安来市穂日島町303)
  松江家畜衛生部(島根県松江市東出雲町錦浜474-2)
  出雲家畜衛生部(島根県出雲市神西沖町918-4)
  雲南事務所(島根県雲南市木次町里方531-1)
  出雲事務所(島根県出雲市大津町1139)