全国でも報告がなかった。

　二類感染症は全国でも報告があったのは結核のみであり、全国で26,471件、島根県で139件の報告があった。結核の報告数は全数把握対象疾患のうち最多である。

　全国では、コレラ4件、細菌性赤痢142件、腸管出血性大腸菌感染症4,033件、腸チフス66件及びパラチフス49件の報告があった。島根県では、腸管出血性大腸菌感染症45件の報告があった。
　全国の腸管出血性大腸菌感染症の報告数は、4,000件前後で推移している。2013年の報告件数は2012年(3,765件)に比べ増加している。
　2011年のO157の死亡事例により、生食用の牛肉の取扱い基準が定められたほか、牛レバーの生食が禁止された。また、2012年には浅漬けによるO157食中毒が発生し、漬物の衛生規範が見直された。
　島根県では大田圏域の保育所でO111の集団発生があった。また、雲南圏域でもO26の集団発生があった。
　島根県の腸管出血性大腸菌の血清型別は、O111が20件と最も多く、次いでO26が15件であった。O111は例年数件の検出であったが、2013年は20件と多かった。

血清型	毒素型	1月	2月	3月	4月	5月	6月	7月	8月	9月	10月	11月	12月	計
O26:H11	VT1							4(1)	8(3)	1(1)		1(1)		14(6)
O26:HUT	VT1								1(1)					1(1)
O157:H7	VT2								1	1			5(3)	7(3)
	VT1VT2								2					2
O111:HUT	VT1								2			18(12)		20(12)
OUT:H2	VT1									1				1
計								4(1)	14(4)	3(1)		19(13)	5(3)	45(22)

　四類感染症では、島根県でA型肝炎2件、重症熱性血小板減少症候群(SFTS)1件(浜田圏域)、日本紅斑熱4件（出雲圏域4件）、レジオネラ症6件の報告があった。全国ではレジオネラ症の1,111件が最も多く、次いでダニ媒介性のつつが虫病の報告が339件あった。
　レジオネラ症は、感染症法上の全数把握疾患となった1999年以降で、最も患者報告数が多かった。
　重症熱性血小板減少症候群(SFTS)は2011年にマダニにより媒介される疾患として日本では初めて見つかった。2013年3月から感染症法上の全数把握疾患となり、島根県ではマダニの活動が活発になる7月に患者発生報告があった。
　　五類感染症では、島根県でアメーバ赤痢3件、ウイルス性肝炎3件、急性脳炎1件、クロイツフェルト・ヤコブ病2件、劇症型溶血性レンサ球菌感染症1件、後天性免疫不全症候群1件、侵襲性肺炎球菌感染症10件、梅毒2件、破傷風4件及び風しん46件が報告された。
　風しんは、全国で大流行し、島根県でも保育所において集団発生があるなど、感染症法上の全数把握疾患となった2008年以降で、最も多い患者報告数であった。

島根県では報告がなかったが、全国ではサルの細菌性赤痢が3件報告された。

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　2013年の診断した者の類型について、患者数は109件、無症状病原体保有者は27件、その他（感染症死亡者の死体）が3件であった。
　圏域別の届出数では、松江保健所への届出が43件と最も多く、次いで出雲保健所29件、県央保健所20件の順であった。松江保健所への届出は、過去5年と比較し最も少なく、特に無症状病原体保有者が届出全体の2割弱で例年より少なかった。
　また、他圏域においても例年と比べ、無症状病原体保有者が少なかった。罹患率も例年に比べ低く、特に罹患率（総数）は昨年と比較して10％以上も低い値であった。
　無症状病原体保有者が少なかったことが本年の患者報告数及び罹患率等の減少の要因の一つと考えられる。

	松江	雲南	出雲	大田	浜田	益田	隠岐	合計
患者	35	5	20	18	15	14	2	109
無症状病原体保有者	7	2	8	2	3	2	3	27
その他注	1	-	1	-	-	1	-	3
総計	43	7	29	20	18	17	5	139

	松江	雲南	出雲	大田	浜田	益田	隠岐	合計	(%)
肺結核注	23	2	17	13	12	6	2	75	(54.0)
肺結核及びその他の結核	5	-	3	-	1	1	-	10	(7.2)
その他の結核	8	3	7	5	2	8	-	27	(19.4)
無症状病原体保有者	7	2	8	2	3	2	3	27	(19.4)
総計	43	7	29	20	18	17	5	139	(100)
(%)	(30.9)	(5.0)	(20.9)	(14.4)	(12.9)	(12.2)	(3.6)	(100)

注：肺結核には「�@診断(検案)した者（死体）の類型」表の患者及びその他が含まれています。

年	松江	雲南	出雲	大田	浜田	益田	隠岐	合計
2008(H20）年	60	6	43	15	17	11	8	160
2009（H21)年	58	11	25	21	24	21	7	167
2010（H22)年	57	10	40	18	23	11	6	165
2011（H23)年	98	50	30	20	37	35	3	273
2012（H24)年	58	36	55	31	39	14	8	241
2013(H25）年	43	7	29	20	18	17	5	139

病型	松江	雲南	出雲	大田	浜田	益田	隠岐	全県		2012年
罹患率（総数 注1）	17.4	11.9	17.0	35.5	21.2	26.9	24.1	19.8		34.6
罹患率（患者 注2）	14.6	8.5	12.3	31.9	17.7	23.7	9.6	15.9		18.4

　過去3年間では女性の患者報告数が男性より多い状況であったが、本年は男性が女性を上回った。患者数が多い年齢区分である80代以上において、男性が多かったことによるものである。

	乳児	1〜9歳	10歳代	20歳代	30歳代	40歳代	50歳代	60歳代	70歳代	80歳代	90歳〜	総計
男性	-	-	-	4	1	2	5	9	14	25	11	71
女性	1	-	2	3	3	7	7	7	19	16	3	68
計	1	-	2	7	4	9	12	16	33	41	14	139
割合(%)：2009	-	2.4	2.4	6.0	6.0	5.4	13.2	9.6	21.0	28.1	6.0	100.0
割合(%)：2010	0.6	0.6	3.6	4.2	12.7	6.1	11.5	5.5	20.0	27.9	7.3	100.0
割合(%)：2011	0.7	0.7	1.8	6.6	11.0	12.5	16.9	12.5	11.4	18.4	7.4	100.0
割合(%)：2012	-	0.8	1.6	12.2	11.8	11.4	11.4	9.8	11.4	23.7	5.7	100.0
割合(%)：2013	0.7	-	1.4	5.0	2.9	6.5	8.6	11.5	23.7	29.5	10.1	100.0

　男性の80歳以上の罹患率が高く、特に男性の90歳以上は例年、人口10万対で100〜250人であるが本年は300人を超える値であった。

	〜9歳	10歳代	20歳代	30歳代	40歳代	50歳代	60歳代	70歳代	80歳代	90歳〜	総計
男性	-	-	14.6	2.5	4.9	11.2	16.5	37.9	110.0	314.2	21.3
女性	3.6	6.2	11.5	7.8	17.5	16.0	12.8	39.6	38.9	24.3	18.6
全体	1.7	3.0	13.1	5.1	11.2	13.6	14.6	38.8	64.2	88.4	19.9
2010年	3.3	8.8	11.8	25.4	12.7	19.5	8.5	37.2	76.7	85.9	23.1
2011年	6.8	7.4	31.5	36.1	42.9	48.7	31.4	35.4	81.4	133.3	38.2

　肺結核及びその他の結核は、70歳以上で患者発生があった。40歳代及び50歳代で半数以上が肺結核であった。

区分	病型	〜9歳	10歳代	20歳代	30歳代	40歳代	50歳代	60歳代	70歳代	80歳代	90歳〜	総計
実数	肺結核	-	-	2	1	5	6	5	16	29	11	75
	肺結核及びその他の結核	-	-	-	-	-	-	-	4	5	1	10
	その他の結核	-	-	-	1	1	1	4	11	7	2	27
	無症状病原体保有者	1	2	5	2	3	5	7	2	-	-	27
割合 (%)	肺結核	-	-	28.6	25.0	55.6	50.0	31.3	48.5	70.7	78.6	54.0
	肺結核及びその他の結核	-	-	-	-	-	-	-	12.1	12.2	7.1	7.2
	その他の結核	-	-	-	25.0	11.1	8.3	25.0	33.3	17.1	14.3	19.4
	無症状病原体保有者	100.0	100.0	71.4	50.0	33.3	41.7	43.8	6.1	-	-	19.4
	全体	100.0	100.0	100.0	100.0	100.0	100.0	100.0	100.0	100.0	100.0	100.0

　肺結核と診断された患者では17.3％が、その他の結核と診断された患者では11.1％が自覚症状が無かった。肺結核で咳の症状がある場合、その7割以上が痰の症状を、4割以上が発熱の症状を併発していた。痰の症状の症状がある場合、その4割以上は発熱の症状も併発していた。

区分	病型	患者数	症状無し	症状有り	症状（重複あり）
					咳	痰	発熱	胸痛	呼吸困難
実数	肺結核	75	13	62	36	29	28	2	15
	肺結核及びその他の結核	10	-	10	3	4	8	-	1
	その他の結核	27	3	24	3	1	8	10	4
	無症状病原体保有者	27	27	-	-	-	-	-	-
割合 (%)	肺結核	54.0	17.3	82.7	58.1	46.8	45.2	3.2	24.2
	肺結核及びその他の結核	7.2	-	100.0	30.0	40.0	80.0	-	10.0
	その他の結核	19.4	11.1	88.9	12.5	4.2	33.3	41.7	16.7
	無症状病原体保有者	19.4	100.0	-	-	-	-	-	-

　結核研究所のホームページに2013年の島根県の結核管理図が掲載されており、患者発見の遅れや治療期間、治療成績などの記載があります。
　結核研究所の管理図のページはこちらを、島根県の2013年管理図はこちらをご覧下さい。
　なお、統計の違いがあるため、結核登録者情報調査による結核新登録者数については、感染症発生動向調査による患者数と異なります。

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　例年、数件で推移していたが、本年は46件と急増した。特に雲南地域が26件と約半数を占めた。

年	松江	雲南	出雲	大田	浜田	益田	隠岐	合計
2008(H20)年	-	-	-	4	-	-	-	4
2009(H21)年	-	-	-	1	-	-	-	1
2010(H22)年	-	-	-	-	-	-	-	-
2011(H23)年	-	-	1	-	-	-	-	1
2012(H24)年	-	1	-	2	-	-	-	3
2013(H25)年	5	26	8	-	-	4	3	46
総計	5	27	9	7	-	4	3	55

　島根県では4月から患者数が増加し、5月に10人以上患者数となり、6月にピークを迎えた。7月には減少し、8月以降の発生はなかった。全国の患者数は2月から1000件を超え、4月には2,000件を超えた。5月に3,000件を超えるピークとなった後、徐々に減少し、8月には1,000件を、11月には100件を下回った。

　男性の報告数が女性の倍を占めた。年齢別では10代を除く全ての年齢層で患者報告があった。1〜4歳からの患者報告数が最も多かったが、30代〜40代の成人でも多かった。

年	1〜4歳	5〜9歳	10代	20代	30代	40代	50代	60代	総計
男	11	2	-	3	5	6	2	2	31
女	3	1	-	1	4	1	3	2	15
合計	14	3	-	4	9	7	5	4	46

　全ての患者が発しん症状を呈していた。成人では発しんの他に発熱の症状を呈している割合は86.2％と高かった。また、1〜9歳の年齢では関節痛・関節炎を呈した患者はいなかったが、成人では27.6％が関節痛・関節炎の症状を呈した。
　1〜9歳までの年齢については、成人に比べ発熱、リンパ節腫脹、関節痛・関節炎の症状を呈す割合が低いかったが、その他(鼻水、咳など)の症状を呈す患者がいた。

区分	病型	1〜4歳	5〜9歳	10代	20代	30代	４０代	50代	60代	総計
実数	発しん	14	3	-	4	9	7	5	4	46
	発熱	7	-	-	4	8	6	4	3	32
	リンパ節腫脹	6	1	-	2	3	6	2	1	21
	関節痛・関節炎	-	-	-	2	2	3	1	-	8
	その他	2	1	-	-	-	-	-	-	3
割合 (%)	発しん	100.0	100.0	-	100.0	100.0	100.0	100.0	100.0	100.0
	発熱	50.0	-	-	100.0	88.9	85.7	80.0	75.0	69.6
	リンパ節腫脹	42.9	33.3	-	50.0	33.3	85.7	40.0	25.0	45.7
	関節痛・関節炎	-	-	-	50.0	22.2	42.9	20.0	-	17.4
	その他	14.3	33.3	-	-	-	-	-	-	6.5

*発生届提出時の症状。 *その他：鼻水、咳等。

　島根県雲南圏域での集団発生に関して、国立感染症研究所ホームページに掲載があります。内容につきましては、こちらをご覧下さい。