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2013(H25)年 <  2014(H26)年 年報    > 2015(H27)年
目次I.概要II-1.発生状況の解析と評価II-2.定点把握疾患発生状況III.検査情報
全数把握週報(インフルエンザ・小児科・眼科・基幹定点)月報(STD・基幹定点)精度評価疑似症
1.2014(平成26)年感染症発生状況の解析と評価 |発生状況表1.全国表2.月別表3.保健所別表4.過去
1.2014(平成26)年感染症発生状況の解析と評価
1)全数把握疾患の発生状況:表1〜3
(1)一類感染症
 一類感染症は、全国及び島根県ともに報告がなかった。
(2)二類感染症
 二類感染症は、結核のみ全国で25,782件、島根県で153件の報告があった。結核の報告数は、全数把握対象疾患のうち最多である。
(3)三類感染症
 全国では、コレラ5件、細菌性赤痢158件、腸管出血性大腸菌感染症4,131件、腸チフス53件及びパラチフス16件の報告があった。島根県では、腸管出血性大腸菌感染症16件の報告があった。
 全国の腸管出血性大腸菌感染症の報告数は、近年4,000件前後で推移している。2014年は、2013年(4,044件)に比べ増加しており、また、過去5年間と比較して最も多い患者報告数であった。
 2011年に牛肉の生食による腸管出血性大腸菌感染症の集団発生(食中毒)があり、死亡事例も報告されたことから、生食用の牛肉の取扱い基準が定められたほか、牛レバーの生食が禁止された。また、2012年には浅漬けによる腸管出血性大腸菌感染症の集団発生(食中毒)があり、漬物の衛生規範が見直されたが、全国での患者報告数は年々増加傾向を示している。
 島根県の2014年の腸管出血性大腸菌感染症16件は、過去10年間と比較して2006年の10件に次ぐ少ない報告数であった。家族内での感染事例は数件あったものの、保育所等施設での集団感染事例がなかったことが、患者報告数が少なかった要因であると考えられた。
 なお、腸管出血性大腸菌感染症による溶血性尿毒症症候群(HUS)の報告が2件あった。
 島根県の腸管出血性大腸菌のO血清型別は、O157が12件と最も多く、次いでO121が3件、県内では初めての報告例となった0115が1件であった。
血清型毒素型1月2月3月4月5月 6月7月8月9月10月11月 12月
O121:H19VT2    3(2)        3(2)
O157:H7VT21     3(1) 1(1)1   6(2)
VT1VT2 1     211(1)   5(1)
O157不明     1       1
O115:H12VT2   1         1
11 13(2)13(1)3(1)21(1)   16(5)
( )内数字:無症状病原体保有者を再掲

(4)四類五類感染症
 四類感染症は、島根県でA型肝炎5件、つつが虫病3件(松江圏域1件、雲南圏域1件、出雲圏域1件)、日本紅斑熱6件(出雲圏域4件、益田圏域2件)、レジオネラ症5件、レプトスピラ症1件(出雲圏域)の報告があった。全国ではレジオネラ症の1,236件が最も多く、次いでA型肝炎の報告が432件あった。
 レジオネラ症は、年々増加傾向にあり、全国では1,200件を超え、感染症法上の全数把握対象疾患となった1999年以降、最も患者報告数が多かった。
 A型肝炎は、感染症法上の全数把握疾患となった2003年以降、最も多い患者報告数であった。島根県においても、年間0〜2件で推移していたが、2014年は5件と例年に比べ増加した。月別では全国で2月〜5月に患者報告数が増加しており、島根県においても3月1件、4月1件、5月2件、6月1件の報告があり、全国と同時期に患者発生がみられた。
 デング熱は、2014年8月に国内感染事例の報告が全国で160件あり、感染推定地は東京都の代々木公園等であった。近年、全国の報告数は年間100件〜250件程度で推移していたが、本事例により2014年は340件と増加した。
 2013年に感染症法上の全数把握疾患対象となったダニ媒介性疾患の重症熱性血小板減少症候群(SFTS)は、全国で61件の報告があった。SFTSの患者発生の影響もあり、ダニ媒介性疾患には注目が集まっている。同じくダニ媒介性疾患の日本紅斑熱は、2014年に全国で240件の報告があり、感染症法上の全数把握対象疾患となった1999年以降、最も患者報告数が多かった。島根県でも2014年は日本紅斑熱及びつつが虫病の患者報告があり、特に日本紅斑熱は4類感染症の中で最も多かった。
 レプトスピラ症は島根県で2014年に1件患者発生報告があり、2003年以降、2011年の1件に次ぐ2例目の報告となった。
  五類感染症は、島根県でアメーバ赤痢3件、ウイルス性肝炎4件、急性脳炎1件、クロイツフェルト・ヤコブ病1件、劇症型溶血性レンサ球菌感染症1件、後天性免疫不全症候群4件、侵襲性肺炎球菌感染症11件、先天性風しん症候群1件、梅毒4件、破傷風2件の報告があった。
 先天性風しんは、島根県では感染症法上の全数把握対象疾患となった1999年以降、初めての患者報告である。
 梅毒は島根県で4件と過去10年間で最多の患者報告数となった。全国においても年々増加傾向にあり、2014年の患者報告数は、感染症法上の全数把握対象疾患となった1999年以降、最多の1,661件となった。
(5)動物の感染症
島根県では報告がなかったが、全国ではサルの細菌性赤痢2件、犬のエキノコッカス症1件、サルの結核9件の報告があった。
2)県内の結核の発生状況
(1)保健所別の発生状況
 結核は153件(患者94件・無症状病原体保有者59件)の報告があり、内訳は、肺結核59件(38.6%)、肺結核及びその他の結核10件(6.5%)、その他の結核25件(16.3%)及び無症状病原体保有者59件(38.6%)であった。
 罹患率(総数 注1)は22.0(人口10万対)となり、2013(平成25)年(19.8(人口10万対))に比べやや増加したものの、罹患率(患者 注2)は13.5(人口10万対)と、2011(平成23)年以降減少傾向が続いており、過去最小となった。 
 圏域別では、松江圏域が71件と最も多く、次いで出雲圏域36件、浜田圏域14件、益田圏域14件、雲南圏域7件、隠岐圏域6件、大田圏5件であった。
 松江保健所管内では、集団発生が2事例あったことから、患者・無症状病原体保有者の報告が増加し、過去5年間と比較して2011年(98件)に次ぐ報告数となり、無症状病原体保有者が半数以上を占めた。
@診断(検案)した者(死体)の類型
2014年松江雲南出雲大田浜田 益田隠岐
患者3162351211694
無症状病原体保有者40113-23-59
総計71736514146153
A病型(再掲)
2014年松江雲南出雲大田浜田 益田隠岐(%)
肺結核21214576459(38.6)
肺結核及びその他の結核432--1-10(6.5)
その他の結核617-54225(16.3)
無症状病原体保有者40113-23-59(38.6)
71736514146153(100)
(%)(46.4)(4.6)(23.5)(3.3)(9.2)(9.2)(3.9)(100) 
 松江雲南出雲大田浜田 益田隠岐
2008(H20)年606431517118160
2009(H21)年5811252124217167
2010(H22)年5710401823116165
2011(H23)年9850302037353273
2012(H24)年5836553139148241
2013(H25)年437292018175139
2014(H26)年71736514146153
(罹患率)
2014年松江雲南出雲大田浜田 益田隠岐全県2013年
罹患率(総数 注128.812.121.19.016.722.429.322.019.8
罹患率(患者 注212.610.313.59.014.317.629.313.515.9
(2014年10月1日現在の推計人口により算出:人口10万対)
・罹患率(総数 注1):届出総数/推計人口×10万
・罹患率(患者 注2):(届出総数−無症状病原体保有者)/推計人口×10万
※ 届出された患者の住所を基準にしています。
【参考】  「平成26年 結核登録者情報調査年報集計結果」について[リンク先:厚生労働省]
 結核については、別途、「結核登録者情報調査」が行われています。
  2014(平成26)年 島根県 新登録結核患者数 : 95人
                   結核罹患率     : 13.6(人口10万対) 
 島根県結核対策推進計画(平成24年4月策定)では、平成27年の結核罹患率を15.0(人口10万対)以下とすることを目標に掲げており、既に、これを下回る結果となった。
 注3) 新登録結核患者数:1年間に新たに結核患者として登録された人の数
 注4) 結核罹患率(人口10万対):新登録結核患者数/人口(該当年10月1日推計人口)×10万  注5) 潜在性結核感染症(LTBI)患者も患者登録を行いますが、「新登録結核患者数」には含まれておらず、「罹患率」、「登録率」、「有病率」などの数値を算出する際も除かれています。
 注6) 「新登録結核患者数」については、統計の違いがあるため、感染症発生動向調査により本年報に掲載している「患者数(無症状病原体保有者を除く)」と異なる場合があります。
(2)性別・年齢区分別の発生状況
 性別では、男性・女性、ほぼ同数の報告があり、各年代ともほぼ同様であった。
 年齢区分別では、例年、高齢者の占める割合が高く、2014年は70歳以上(66件)が全体の43.1%を占めた。
 また、2014年は、30歳代(23件)の報告数が例年より多く全体の15.0%と高かった。
 さらに、乳児(2件)の報告があった。
 年代別の罹患率(総数 注1)は高齢者で高く、90歳以上:72.3(人口10万対)、80歳代:52.5(人口10万対)であった。
 また、30歳代も30.2(人口10万対)と他の年代に比べ高値であった。
2014年乳児1〜9歳10歳代20歳代30歳代 40歳代50歳代60歳代70歳代80歳代90歳〜
男 性--2410810712195 77
女 性2--8139778157 76
2-21223171714203412 153
 
割合(%):2009年-2.42.46.06.05.413.29.621.028.1 6.0100.0
割合(%):2010年0.60.63.64.212.76.111.55.520.027.9 7.3100.0
割合(%):2011年0.70.71.86.611.012.516.912.511.418.4 7.4100.0
割合(%):2012年-0.81.612.211.811.411.49.811.423.7 5.7100.0
割合(%):2013年0.7-1.45.02.96.58.611.523.729.5 10.1100.0
割合(%):2014年1.3-1.37.815.011.111.19.213.122.2 7.8100.0

(罹患率(総数 注1))
2014年〜9歳10歳代20歳代30歳代40歳代 50歳代60歳代70歳代80歳代90歳〜
男 性-6.114.825.519.323.012.832.681.9136.1 23.1
女 性7.2-31.135.222.216.312.816.936.154.2 20.9
3.53.122.730.220.719.712.823.752.572.3 22.0
 
2009年6.611.332.423.42342.632.389.8232.1344.7 23.2
2010年3.38.811.825.412.719.58.537.276.785.9 23.1
2011年6.87.431.536.142.948.731.435.481.4133.3 38.2
2012年3.5654.935.835.230.82232.592.492.7 34.8
2013年1.7313.15.111.213.614.638.864.288.4 19.9
(2014年10月1日現在の推計人口により算出:人口10万対)
 ・罹患率(総数 注1):届出総数/推計人口×10万
(3)年齢区分別病型分類
年齢区分別では、60歳代までは無症状病原体保有者が半数以上を占め、70歳代以上は肺結核が半数以上を占めた。
区分病 型〜9歳10歳代20歳代30歳代 40歳代50歳代60歳代70歳代80歳代90歳〜 総計
実数肺結核-14435312 21659
肺結核及びその他の結核--11-1-232 10
その他の結核---11225104 25
無症状病原体保有者2171713991-- 59
割合
(%)
肺結核-50.033.317.417.629.421.4 60.061.850.038.6
肺結核及びその他の結核--8.34.3-5.9-10.08.816.7 6.5
その他の結核---60.05.911.814.325.029.4 33.316.3
無症状病原体保有者100.050.058.373.976.552.964.35.0- -38.6
全体100.0100.0100.0100.0100.0100.0100.0100.0 100.0100.0100.0

(4)自覚症状
 肺結核では、自覚症状あり71.2%(主な症状:咳52.5%、痰44.1%、発熱37.3%等)、自覚症状なし28.8%であった。
 肺結核及びその他の結核では、自覚症状あり80.0%(主な症状:発熱60.0%、咳10.0%、痰10.0%、等)、自覚症状なし20.0%であった。
 その他の結核では、自覚症状あり88.0%(主な症状:発熱40.0%、呼吸困難20.0%、咳16.0%等)、自覚症状なし16.0%であった。
区分病 型患者数症状なし症状あり 症状(重複あり)
発熱胸痛呼吸困難
実数肺結核59174231262226
肺結核及びその他の結核1028116-1
その他の結核25422421015
無症状病原体保有者5959------
割合
(%)
肺結核100.028.871.252.544.137.33.4 10.2
肺結核及びその他の結核100.020.080.010.010.060.0-10.0
その他の結核100.016.088.016.08.040.04.020.0
無症状病原体保有者100.0100.0------
*症状なし、症状あり、症状(重複あり)の各割合については、患者数で割ったもの。

(5)その他
 結核研究所のホームページに2014年の島根県の結核管理図が掲載されており、患者発見の遅れや治療期間、治療成績などの記載があります。
 結核研究所の管理図のページはこちらを、島根県の2014年管理図はこちら(PDF:161KB)をご覧下さい。
 なお、結核登録者情報調査による「新登録結核患者数」については、統計の違いがあるため、感染症発生動向調査により本年報に掲載している「患者数(無症状病原体保有者を除く)」と異なる場合があります。

島根県感染症情報センター