島根県の出生数は、2001年から2003年(A)の平均6,411人を1とすると、2007年〜2010年(B)は平均5,704人、0.89(幅0.88〜0.90)であり、
2011年は5,578人、0.87である。
突発性発しんの、期間(A)の平均775.7件を1とした場合、これに対する期間(B)の各年の比率は平均1.04(0.91〜1.18)で、2011年は1.01であった。
出生1万に対する期間(A)の平均1,210件を1とすると、期間(B)の比率は平均1.05(1.01〜1.32)で、2011年は1.16であった。
水痘の、期間(A)の報告数の平均は1,629件で、期間(B)の比率の年平均は1.05(0.97〜1.17)、2011年は1.10であった。
出生1万に対する期間(A)の報告数の平均は2,543件で、期間(B)の比率の年平均は1.19(1.09〜1.30)、2011年は1.12であった。
突発性発しん、水痘の両者で、報告実数、出生1万当りの件数とも、2002年頃と比べ、出生数の減少にも関らず、同等以上に保たれ、
サーベイランスの精度は良好に保たれている。逆に2002年頃には精度がやや低下していたと推測できる。
出生数の期間(A)の平均は東部(隠岐を含む)2,549人、中部2,142人、西部1,740人であり、これらをそれぞれ1とすると、期間(B)の実数と比率の平均は
それぞれ、2,323人、0.92(0.90〜0.94)、1,951人、0.91(0.89〜0.95)、1,485人、0.85(0.83〜0.88)であり、2,011年はそれぞれ0.95、0.91、0.82であった。
出生数の減少は西部で大きい。
突発性発しんの報告実数は、期間(A)の平均は東部203件、中部299件、西部274件であり、期間(B)の報告件数と期間(A)に対する比率の平均はそれぞれ、
383件、1.89(1.56〜2.26)、206件、0.87(0.70〜0.97)、164件、0.60(0.54〜0.65)、2011年の比率はそれぞれ、1.62、0.85、0.73であった。
突発性発しんの出生1万当りの期間(A)の平均件数は、東部802件、中部1,399件、西部1,575件、期間(B)の期間(A)に対する比率の平均はそれぞれ、
2.06(1.69〜2.42)、0.95(0.78〜1.06)、0.70(0.65〜0.74)、2011年の比率はそれぞれ、1.85、0.93、0.89であった。
水痘の報告実数の期間(A)の平均は、東部440件、中部598件、西部591件、期間(B)の報告件数と期間(A)に対する比率の平均はそれぞれ、
822件、1.87(1.74〜2.04)、507件、0.85(0.63〜1.07)、391件、0.66(0.52〜0.85)、2011年の比率はそれぞれ、1.48、0.98、0.60であった。
水痘の出生1万当りの期間(A)の平均件数は、東部1,746件、中部2,789件、西部3,399件、期間(B)の期間(A)に対する比率の平均はそれぞれ、
2.06(1.88〜2.17)、0.94(0.66〜1.20)、0.77(0.60〜0.97)、2011年の比率はそれぞれ、1.69、1.08、0.73であった。
東部は2002年前後、明らかな精度の低下が認められたが、現在は回復し、精度は良好である。
しかし、両疾患ともにここ数年、出生数の低下の傾斜より速い漸減傾向が窺われ注意を要する。
中部は両疾患とも出生数の減少に相関した減少がみられ概ね精度は良好である。
西部は両疾患の件数は、近年、実数、出生1万人当りともに、出生数の低下以上に低下し、精度の低下が懸念されていたが、
2010年より突発性発しんは出生児数の減少に概略、見合う数値となり、改善された。しかし、水痘に関しては乖離がある。
また、浜田圏域の両疾患の定点当り報告件数は県内最少が続いており(2011年の隠岐の突発性発しんを除く)、一考を要する。
また、下記の点の対応も必要と考えられる。
1)近年の髄膜炎は中部のみの報告が続いている。
2)マイコプラズマ感染症の報告件数は、過少と考えられる。
3)基幹定点把握疾患は従来の3疾患とも浜田圏域から報告が長らく皆無である。