島根県感染症発生動向調査2004年報：定点把握疾患（月報）発生状況

　本県の性感染症（ＳＴＤ）の2000(平成12)年以降５年間の年次別患者数の推移を見ると、2000年は251件であったものが、2001年は244件、2002年は229件、2003年は284件、2004年は245件であった。
　本年のＳＴＤの内訳は、性器クラミジア感染症143件（58.3％）、性器ヘルペスウイルス感染症14件（4.08％）、尖圭コンジローム16件（6.5％）、淋菌感染症72件（29.3％）であった。

性器クラミジア感染症は年々増加傾向にあり、本年は143件となり、性感染症の半数を超え、うち男性77件、女性が66件であった。年齢は20歳代が68件、30歳代が41件、10歳代が22件となっている。性別では男性が20歳代を中心に10歳代から40歳代までに分布しているが、女性では20歳代が中心となっている。

　年間で621件あり、昨年度とほぼ同数であった。2000年、2001年、2002年、2003年、2004年の各年の報告数は、586件、504件、397件、627件、621件で減少傾向にあったものが、昨年より高値が続くようになった。圏域別の各年の報告数は、松江圏域（96、160、86、91、66件）、出雲圏域（2定点、他は1定点；104、105、105、207、177件）、大田圏域（240、175、65、82、99件）、益田圏域（103、85、121、235、270件）、隠岐圏域（34、33、19、12、7件）であった。益田圏域の高値と増加が気掛かりである。
図10

　男女比は、女性1に対して男性が上記の各年でそれぞれ（1.52、1.64、1.92、1.97、2.01）であった。
　年齢別では70歳以上の報告件数は上記の各年で211、315、233、417、441件であり、60歳以上70歳未満の件数は各年度で58、86、51、94、74件であった。全年齢の報告件数に対して70歳以上の報告の占める割合は各年でそれぞれ36.0％、62.5％、58.7％、66.5％、71.0％であり、70歳以上の高齢者での増加傾向がみられる。いずれの年も10歳未満にも比較的多く、上記の各年で50、53、63、49、37件であった。
　これまで季節的な特徴は明らかでないが、本年も月別報告数の最多が3月、4月の60件でこれと48件の間に分布し、10月のみ30件と少なかった。

　年間で244件報告され、昨年とほぼ同様であった。2000年、2001年、2002年、2003年、2004年の報告件数は146、126、223、244、216件であり、2002年に急増したまま横這いであった。圏域別の上記の各年の報告件数は松江圏域（73、52、86、80、43件）、雲南圏域（26、39、39、21、3件）、出雲圏域（2、1、0、0、2件）、大田圏域（9、6、0、0、1件）、浜田圏域（0、0、0、0、0件）、益田圏域（36、28、98、143、168件）、隠岐圏域（0、0、0、0、0件）であった。圏域による差が大きいことと、益田圏域で2002年以降、増加が続いていることを指摘できる。
　男女比は女性の件数1に対して男性は各年で（1.56、1.68、1.40、1.07、1.32）であった。
　年齢別の報告数は上記の各年でそれぞれ、10歳未満（50、63、140、155、145件）、10歳以上60歳未満（12、23、23、27、26件）、60歳以上70歳未満（16、20、19、14、6件）、70歳以上（24、20、41、48、39件）であった。2002年より10歳未満と70歳以上で急増し横這いとなっており、増加は前者でより顕著である。
　季節性をみると、2002年には7月に32件、11月に40件、12月に28件、2003年には6月に33件、12月に36件と特に多い月があった。本年は1月から6月にかけて19～32件と多く、7月以降は5～17件と少なくなった。
　本症は益田圏域と松江圏域で10歳未満の小児に多く、難治性の中耳炎などの原因菌となっていると思われる。

　6件報告された。2000年、2001年、2002年、2003年の各年の報告はそれぞれ（3、0、2、1件）で4年間で計6件であった。本年は出雲圏域と益田圏域からそれぞれ3件ずつ報告されたが、これまでの計12件の圏域別報告数は出雲5件、益田3件、隠岐4件となった。
　本年は6件とも70歳以上であったが、これまでの計12件の年齢分布は10歳代1件、30歳代1件、50歳代1件、60歳代2件、70歳以上7件となり、高齢者に多い傾向がうかがえる。