令和5年度埋蔵文化財調査センター講演会を開催しました
令和5年11月25日(土)、松江市市民活動センタースティックビル(松江市白潟本町)にて、講演会「松江城下町発掘物語ー白潟の巻ー」を開催しました。
開催に際し、松江市(共催)、松江城を守る会(後援)の皆様にご協力をいただきました。当日は悪天候にも関わらず、約80名の方々にご参加いただきました。ありがとうございました。
今回は松江市史編纂委員/絵図・地図部会長の大矢幸雄さん、松江市立図書館の小山泰生さん、当センターの東山信治の3名により、城下町絵図と最新の考古学的成果をもとに、中世から近世にわたり白潟の町がどのように発展してきたのかを語っていただきました。また、後半のパネルディスカッションでは、松江市史編纂委員/松江城部会長の西尾克己さんをコーディネーターに迎え、松江藩の経済の中心地であった白潟地区の特質に迫りました。会場からは多くのご質問をいただき、松江城下町への関心の高さを感じることができました。
松江城下町遺跡白潟地区の発掘調査は、現在も継続中です。また新たな発見を皆様にご報告できることを楽しみにしております。ぜひ現地にも足をお運びください。
※当日の模様は島根県公式YouTubeチャンネル(しまねっこCH)で公開予定です。
当日の様子
いにしえ倶楽部夏スペシャルを開催しました!
8月6日(日)、8月20日(日)に、いにしえ倶楽部夏スペシャルを開催しました。いにしえ倶楽部とは、島根の歴史や埋蔵文化財調査への興味、関心を高めることを目的とした、体験型学習講座です。夏スペシャルは、夏休み期間の子どもたちを対象としたもので、今年は2回にわたり開催しました。
【第1弾】「徹底解剖!石棺式石室とワークショップー山代原古墳の見学と3Dペーパークラフト作りー」
松江市山代町にある大庭・山代古墳群の一つ、山代原古墳の石棺式石室をペーパークラフトで作成し、現地の見学も行いました。会場はガイダンス山代の郷です。ペーパークラフトは、石室の3D記録をすることによって作成したものです。石室の構造などを学びながら、実際の構築手順に沿って各パーツを順番に組み立て、約1時間で完成させることができました。玄門(入口部分)や家形の天井石など、難易度の高い箇所もありましたが、熱心に取り組んでいただきました。現地の見学では、石室の大きさや丁寧に加工された様子などに驚いた様子が見られました。石室は一般公開されていないので、貴重な体験をしていただくことができたと思います。
★ペーパークラフトはご自宅で作ることもできます。詳しくはこちら
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ペーパークラフト作りの様子ああああああああああああああ古墳見学の様子
【第2弾】「キミも卑弥呼の鏡を作ろう!~みがいて作る古代の鏡~」
4年ぶりに開催した人気企画です。40人以上の皆さんにご参加いただきました。低い温度で溶ける特殊な金属を鋳型に流し込んで鏡を作ります。最後は鏡面を丁寧に磨いて完成です。約1時間の体験でしたが、自分の顔が映るぐらいきれいに磨いている子もおり、集中して取り組んでいただきました。鏡はお土産として持ち帰ることができます。また、会場には三角縁神獣鏡の模鋳鏡や、本物の中国鏡、県内の古墳から出土した鏡などを展示しました。模鋳鏡は持ち上げることもでき、その重さに驚いた様子でした。
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鏡作り体験の様子あああああああああああああああああああ鏡展示の様子
団原III遺跡の現地説明会を開催しました
8月11日(金)の山の日に松江市大庭町にある団原III遺跡の現地説明会を開催し、26名の方に参加していただきました。団原III遺跡は、国道432号大庭バイパスの建設に伴って発掘調査を行っています。
今年度の発掘調査では、旧石器時代( 約3万年前)の黒曜石製台形様(こくようせきせいだいけいよう)石器が1点出土しました。表土から約2m掘り下げた旧石器時代の層(黄褐色土)からの出土です。石器先端の刃部には使用痕が残っており、狩猟用の槍先として使用されていたと考えられます。遺跡が立地する台地付近では今回の例を含めて、8カ所の遺跡で旧石器が確認されており、生活がしやすい環境だったことがわかります。
旧石器という普段あまり接する機会のない資料を目にすることにより、3万年前の様子に思いをはせていただけたと思います。調査は今月末まで行う予定です。
あ 【現地説明会の様子】
夏休み期間中の子どもたちが埋文センターを見学しました。
7月25日(火)、松江市川津公民館主催の見学会が開催され、夏休み期間中の小学生10名が埋文センターを見学しました。
見学したのは、出土遺物の整理作業の様子、収蔵庫の収蔵展示、本館展示室の3か所です。
整理作業の見学では、川津公民館近くにある西川津遺跡の再整理作業と、現在も発掘調査を実施している松江城下町遺跡の整理作業の様子をご案内しました。
西川津遺跡は、島根県を代表する弥生時代(約2,500年前)の遺跡です。発掘調査は約40年前に行われ、貴重な発見が数多くありました。その一方で、出土品が大量にあったため、整理が十分にできておらず、多くの資料が収蔵庫に眠ったままになっていました。現在、こうした出土品を再整理し、遺跡の再評価を行う取り組みをしています。
今年度整理しているのは石器で、石鍬や石斧、石鎌、石包丁などがあります。子供たちに実際に出土品を手に取ってもらい、きれいに磨かれた様子や石を割って形を整えている様子、重さなどを体感してもらいました。今ではほとんどが鉄で作られている道具との違いを感じてもらえたと思います。
松江城下町遺跡では、中世から近世にかけての陶磁器が大量に出土しています。ほとんどが破片で出土するため、大きさや形、文様の有無、色などで仕分けし、くっつく破片がないか探しています。まるで超難解な神経衰弱のようです。子どもたちからは自分たちが使っているお茶碗に似ているものがあるとの声があがっていました。松江城下町遺跡では陶磁器の碗も多く出土しており、まさに今でも家庭で使うような茶碗の元となったものです。今の生活とのつながりを感じてもらえたのではないでしょうか。
埋文センターでは、施設見学を随時受け付けておりますので、お気軽にお問い合わせください。
見学の様子
専門研修を行いました
このたび専門研修を開催しました。
今回のテーマは今年度の県内遺跡発掘調査報告会です。
テレビ会議システムを利用し、益田市の調査員さんにもご報告をいただきました。
また、オンラインという形ではありましたが、久しぶりに鳥取県の調査員さんにもご参加いただきました。
このままコロナウイルス感染症の流行がおさまり、なんの心配なく研修が行えるようになればよいなと思います。
一方、コロナ禍で定着したビデオ会議を活用し、県内の各市町村、鳥取県の調査員との交流も推進していきたいと考えています。
お問い合わせ先
埋蔵文化財調査センター
〒690-0131 島根県松江市打出町33番地 【電話】0852-36-8608 【FAX】0852-36-8025 【Eメール】maibun@pref.shimane.lg.jp