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世界の鉱山遺跡

世界遺産である世界の鉱山遺跡

タルノフスキェ・グルィ(ポーランド)

(Tarnowskie Góry /Poland)

 

タルノフスキェ・グルィの町並み タルノフスキェ・グルィの坑道入口 タルノフスキェ・グルィの坑道内部

(タルノフスキェ・グルィの町並み、排水トンネル:大田市石見銀山課写真提供)

 

 ポーランド南部のシレジア高原に位置する町。15世紀末に農民が貴金属の塊を拾ったことをきっかけに鉱業の集落が形成されたのが町の始まりとされる。16世紀にはヨーロッパにおける鉛・銀鉱石の主要な生産・輸出拠点に成長し、また19世紀には全世界の亜鉛需要の約半分をこの町の鉱山が担っていた。

 起伏の緩やかな高原に位置するため湧水の処理が課題となり、この解決のために整備された排水トンネルの長さは50キロメートルに及ぶ。18世紀後半には排水のために蒸気機関を導入したが、排出された地下水を飲料・産業用に供給することに世界で初めて成功している。

 1913年に鉱山は閉山したが、現在は坑道や地下の排水施設の一部が公開され、観光地となっている。(登録:2017年)

ポトシ(ボリビア)

(City of Potosi/Bolivia)

セロ・リコ山_旧王立造幣局からポトシ市街を望む_市街歴史地区
セロ・リコ山_旧王立造幣局からポトシ市街を望む_市街歴史地区

世界最高地(標高4,070m)の都市であるポトシは、スペイン人が銀の大鉱脈、セロ・リコ(富める山)銀山を発見した1545年に始まり、石見銀山最盛期当時、石見銀山とともに世界二大銀産地として世界経済に影響を及ぼした。
セロ・リコ山山頂付近_アーチ型坑道
セロ・リコ山_山頂付近アーチ型坑道

街全体が植民地時代の面影を色濃く残しており、バロック建築の傑作が多く、一番古い教会であるサン・フランシスコ教会・修道院をはじめとして、サン・マルティン教会、サン・ロレンソ聖堂など、16世紀から17世紀にかけて建てられた22の聖堂が残っている。

金銀箔を多用した祭壇・壁画は圧巻。旧王立造幣局(カサ・デ・モネダ)は、1572年に建てられ、現在、博物館となり、歴史的、民族学的資料、100点にも及ぶ絵画、当時鋳造された銀貨や銀製の食器が展示されている。セロ・リコは、全体が瓦礫の山で、4,824mのほぼ山頂まで車で登ることができる。途中スペイン時代のアーチ型の坑道をいくつも見つけることができるが、最盛期には3000もの坑道があったといわれている。(登録:1987年)

 

銀製水差し

 

 

 

 

 

 

旧王立造幣局展示品(銀製水差し)

 

サカテカス歴史地区(メキシコ)

(HistoricCentreofZakatecas/Mexico)

 

世界遺産表示_市街歴史地区_ブファの丘に続く山(銀採掘跡)
世界遺産表示_市街歴史地区_ブファの丘に続く山(銀採掘跡)
メキシコ中部、ブファの丘の麓にあるサカテカスは、スペイン人のヨハン・デ・トローサが、1546年に銀を発見したことから繁栄。
その後、南側の山で銀の鉱脈が次々と発見され、サン・ベルナベ、パヌコ、アルバラーダなどの鉱山が開かれ、街は鉱山沿いに大きく発展した。谷と並行して走るなだらかな坂道の両側に富の象徴であるバロックの大聖堂(カテドラル)、サント・ドミンゴ聖堂、サン・アグスティン聖堂などが建ち並ぶ。旧鉱山の一つであるエデン鉱山は公開されており、坑道を見てまわることができる。(登録:1993年)

古都グアナファトと近隣鉱山群(メキシコ)

(HistoricTownofGuanajuatoandAdjacentMines/Mexico)

市街歴史地区_現在も産出する銀鉱山

市街歴史地区_現在も産出する銀鉱山

1548年にスペイン人ヨハン・ラヤスによって最初の銀鉱脈が発見された、標高2,050mの爽やかな高原の中にある鉱山都市で、グアナファト州の州都。1766年に豊富な鉱脈が発見され栄えたバレンシア鉱山等がある。英雄ピピラの記念像が立つ公園から、グアナファト市街地が一望できる。ハルディン・デ・ラ・ウニオン広場に隣接する有名なファレス劇場、サン・ディエゴ聖堂は、チュリゲーラ様式と呼ばれる過剰なまでの装飾を施した建築物であり、往時の繁栄を物語る。(登録:1988年)

ランメルスベルク鉱山と古都ゴスラー(ドイツ)

(MinesofRammelsbergandHistoricTownofGoslar/Germany)

カイザルパレス世界遺産表示ゴスラーの町並み
カイザルパレス世界遺産表示ゴスラーの町並み
神聖ローマ帝国の経済基盤となった鉱山と帝国中心都市。ランメルスベルグ鉱山は、ゴスラーから北東2.5kmにあり、文献上968年には知られていた鉱山で、1988年まで1000年以上に渡り、銀や金、鉛を産出。

 

トロッコ ボランティアの説明
トロッコボランティアの説明

 

現在、坑道跡と鉱夫の休憩施設跡のみ公開されており、坑道跡は、20世紀に使用されたものと18・19世紀に使用されたものとに分けて公開されている。ボランティアによるガイド(ドイツ語)が付き、見学時間は、各1時間。入坑にあたっては、ヘルメット・作業衣を着けるので、臨場感があり、トロッコに乗ったり、実際に使用していた機械を動かして、採掘・搬出の様子を説明するので大変理解しやすい。(登録:1992年)

レロス(ノルウェイ)

(Rφros/Norway)

ヨーロッパ最北の銅鉱山で栄えた人口約5,000人の町。1644年に最初の銅鉱が発見され1977年まで銅を産出し続けた町には、17世紀後半〜18世紀の坑夫兼農民の木造住宅が、北欧の当時の住宅の典型として、教会や新聞社、薬局、牧草小屋等とともに今も残っており、町そのものが野外博物館の様である。建物や、資産は国が買い取っているが、実際に、レロスミュージアム財団が保存活動に関わっている。町全体についても1時間15分のガイド・ツアーが行われている。財団の拠点になっているのが、「溶鉱炉の博物館」で、溶鉱炉等のジオラマ展示を主体として、溶鉱の作業の様子と歴史をわかりやすく展示してある。遺構の一つ、オラフ廃坑は、鉱山の歴史が展示されている博物館施設であり、1階部分は展示室だが、地下に降りるとそのまま坑道の入口になっており、ヘルメットをかぶって入坑することになっている。内部は当時の様子(トロッコ施設や鉱夫の休憩所)が再現・保存されている。レロスは鉱害が極めて深刻で重大だったので、汚染地区を残す等の負の遺産的側面もある。(登録:1980年)

バンスカ・シュティアヴニツァ(スロバキア)

(Banska Stiavnica/Slovakia)

銀・銅の採掘・製錬で古くから発展した町。17世紀〜18世紀には優れた冶金技術を誇り欧州各地に輸出。当時、鉱山技師を養成する専門学校もあり、優秀な鉱山技師を輩出した。(登録:1993年)


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島根県教育庁文化財課 世界遺産室
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