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発掘調査

平成16年度は、宮ノ前地区、本谷地区と町並み保存地区内でトレンチを中心に発掘調査を行いました。調査の目的は、保存のための手だてとなる資料を得ることと、石見銀山の実態を解明することにあります。

宮ノ前地区では、かつて精錬工房が検出された場所から約130m東へ位置している尾根について試掘調査を行いました。調査の結果、道跡が確認されましたが、建物跡などは検出されませんでした。しかしその近辺に江戸初期の石造物が確認され、江戸時代から続く土地であることが判明しました。
歴史的文献では、慶長7(1602)年10月26日付けの大久保長安の書状に「大森普請之事」とあり、大森の町づくりをおこなったといわれています。こうしたことなどから、県道の調査区とあわせ、付近一帯は石見銀山遺跡の中でも重要な地域として、地元の方のご理解をいただいて国の史跡指定申請を行いました。
また、町並み保存地区内では、伝統的建造物の修理工事などに併せて試掘調査を行っています。そのうち植市場地区のトレンチでは江戸後期の遺構面と、表土下1mのところで江戸前期の遺構面を確認し礎石や土間面が検出されました。堆積していた層にはカラミなどが含まれ、前年度調査の下河原地区と同じように、土地を嵩上げしていた状況を確認しました。平成15年度、本谷地区で発見された岩盤加工遺構は、用途や年代など不明な点が多いため、「謎の岩盤加工遺構」といわれていました。平成16年度も継続して発掘調査を行い、岩盤に残された大小の穴の性格や、岩盤が掘られていった順序などを検討しました。発掘調査は現在も継続中ですが、これまでの調査の中で、岩盤加工段の上から2段目に設定したトレンチにおいて、整地土中から江戸初期の年代を示す遺物のみが出土していることから、江戸初期には現在の形に加工されていたことが明らかとなりました。さらに3段あるうち最上段が最も後に彫り込まれたこともわかっています。
本谷地区は、石見銀山史の中でも最も盛んに採掘がおこなわれたところです。掘りだした鉱石をどのように選鉱し、製錬したのか、その具体的な現地の状況がそのまま残存していることは、わが国の鉱業史を知る上で大変貴重であるといわれています。

今後の調査で、謎が少しでも解明されて、銀山最盛期に活況を呈した本谷の歴史が具体的になることが期待されています。
宮ノ前地区調査 本谷地区調査
発掘調査
宮ノ前地区調査 本谷地区調査


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