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宍道湖及び中海湖沼水質保全計画(案)に対する意見について

 宍道湖及び中海湖沼水質保全計画(第4期)の策定に当たり、平成16年9月5日から10月5日まで、計画(案)について、県民の皆様から広く意見等を募集しました。
その結果、合計7人の県民の皆様から、27項目のご意見をいただきました。
お寄せいただいたご意見の概要及びご意見に対する考え方は次のとおりです。
なお、ご意見については、とりまとめの都合上、適宜要約しておりますのでご了承ください。

1.生活排水処理施設の整備

生活排水処理施設の整備
No. ご意見の概要 ご意見に対する考え方
1  合併浄化槽設置への補助が必要である。  合併処理浄化槽設置の補助については、市町村が行う事業に対し、国の補助金制度のほか県の交付金制度を設けており、県では、これらの財政支援制度により浄化槽の設置を推進しております。
国の財政支援制度には、設置主体や事業規模に応じ、浄化槽設置整備事業、浄化槽市町村整備推進事業、個別排水処理施設整備事業及び小規模集合排水処理施設整備事業があります。
また、本県では、整備に係る住民負担の公平化と適切な水質管理を図るため市町村設置型浄化槽の整備を推進しており、市町村浄化槽設置整備促進交付金制度を設け、市町村の実質的な負担の半額を交付しております。
2  下水道等の生活排水処理施設の整備が遅いので、早急な整備を望む。  宍道湖・中海流域では、昭和47年に公共下水道の整備に着手し、その後計画的に整備を進めてきました。その結果、27万人の県民の皆様が、汚水処理施設(公共下水道、農業集落排水、浄化槽等)を利用できるようになりました。
流域内の中山間地域における汚水処理施設の普及は約60%であり、平野部に比べ遅れていますが、早期の普及を目指して、現在までに全ての市町村で汚水処理施設の整備に取り組まれています。
今後とも汚水処理施設の整備を積極的に進めていくこととしております。
3  平成15年度の下水道等普及率が78%との事ですが、特に中山間地域の普及率が立ち遅れており、一日も早い農業集落排水、合併処理浄化槽等の整備が望まれる。 (3に対する回答は、上の2の回答と同じです。)

2.湖内等の対策

 

湖内等の対策
No. ご意見の概要 ご意見に対する考え方
1  清掃とヨシ類の植栽等の継続的な取り組みが肝要。  湖面の清掃やヨシ類の植栽の必要性については、認識しております。河川管理者である国土交通省でも湖内における清掃は、湖面巡視等を行い必要に応じて清掃船等を用いて実施しており、今後も、湖面巡視及び清掃は管理上重要であるから継続していくとのことです。また、ヨシ類の植栽に関しては平成12年度から宍道湖西岸において実施しているが、今後の沿岸域における整備に関しては、ヨシを含む植生帯や砂浜などを地域の意見を聴きながらその工法等を決定し効果を見極めつつ実施していくこととしていると聞いています。
2  斐伊川を始め、宍道湖河口付近では土砂やヘドロの堆積があり、宍道湖の、定期的な浚渫や湖岸浸食対策工事は、湖沼環境の維持管理上大変重要なことと思います。
また、湖岸周辺には沢山のヨシや藻等の水生植物が生存しているが、水質浄化等のため、適所への人工的な増殖が期待され、生態系の多様化等に貢献できるものと思います。
 ヨシや藻等の水生植物による水質浄化の必要性については認識しております。河川管理者である国土交通省でも、ヨシや藻場等の整備による効果は、水質や生物の多様性の面からは効果があることが、今までの調査等により確認されており、今後はヨシ植生や藻場等の整備によって中海・宍道湖における効果を検証しつつ進めていくことが重要であると考えているとのことです。また、浚渫に関しては、県で河川改修に併せて底泥の浚渫を行っており、湖内のヘドロについては、国土交通省によると、中海・宍道湖の汚濁要因を調査検討し、より効果が発現できる時期を見極めて実施していきたいと考えていると聞いています。
3  湖底のヘドロの沈殿を除去し、斐伊川下流の川砂の散布で貧酸素化した湖底の改善が必要です。  貧酸素化した湖底の改善の必要性については認識しております。河川管理者である国土交通省でも、湖底の貧酸素化に関しては、その発生機構や動態等を十分に調査し、効果的で持続可能な対策を実施する必要があると考えており、引き続き調査・検討に努めたいと聞いています。
4  覆砂について、単純に砂を撒くだけでは効果は小さく、ゼオライト/土壌&木炭/酸化鉄の四元系粒状配合物を沈める方法を提案したい。ゼオライトはアンモニア態窒素を吸着し、土壌及び木炭はBODを分解し、酸化鉄は燐を吸収する高い機能を持っているからである。なお、酸化鉄はコピー機からでる産廃を有効利用することで、産廃ゼロへの志向を高める運動に貢献するものである。  覆砂材の選定にあたっては、河川管理者である国土交通省によりますと、その材質や入手できる場所、リサイクル性等を勘案し、より経済的に実施することが重要と考えており、本提案についてはコストが大きな課題と認識しているが、今後の参考としたいと聞いています。

3.生活排水対策

 

生活排水対策
No. ご意見の概要 ご意見に対する考え方
1  三角コーナー等により固形物を流さないこと、油類等のふき取りなどの台所対策や、無リン洗剤の使用などの継続的な取り組みが必要。  県では、これまで、「島根県生活排水対策推進要綱」に基づき、ストレーナーの使用等による調理くず等の流出防止、廃食用油の回収、石けんまたはリンを含まない合成洗剤の適正使用について、啓発、指導を行ってきており、引き続き、市町村とも連携しながら進めることとしております。

4.工場・事業場対策

 

工場・事業場対策
No. ご意見の概要 ご意見に対する考え方
1  今や大手企業は経営上、環境対策無くして存続滅亡と言われ、各社は、独自の環境経営白書を作成し、その実施、励行に当たっている。県下の中小企業においても、そのような環境経営白書を義務づける必要がある。  環境ISOの導入により、環境負荷の低減、省エネの推進、社会的責任の明確化、経営改善等の効果が得られることから、県内の企業でも、環境ISOの認証取得が増加しているところです。
県でも、企業の環境ISOの取得支援として、低金利融資制度やセミナー等の情報提供を実施しており、今後も支援・啓発に努めることとしています。
また、環境ISOの取得には、コスト及び労力がかかるため、特に中小企業にとっては負担が大きいことから、簡易版の環境マネジメントシステムの普及・啓発にも努めることとしています。
なお、環境経営白書の義務付けについては、特定事業者への環境報告書の作成・公表を義務付ける法律が今年5月に成立したところであり、今後、この法律に沿って、事業者等への周知、指導を図っていきます。
2  斐伊川流域の工場・事業場における環境に関する取り組みは、厳しい排水基準の中で、自主的な対応のレベルを決めるという相対的なものに移行すべきであり、そのために、企業の評価として、ISOの導入を義務づけ、品質や生産効率とともに、環境面での自己責任的な市場環境の整備を期待しております。 (2に対する回答は、上の1の回答と同じです。)

5.畜産業に係る汚濁負荷対策

 

畜産業に係る汚濁負荷対策
No. ご意見の概要 ご意見に対する考え方
1  家畜ふん尿の規制が肝要。  日平均排水量が25m3以上の特定施設である畜舎については、水質汚濁防止法等に基づく排水規制を実施するほか、指定施設及び準用指定施設である畜舎については、「湖沼水質保全特別措置法第19条に基づく指定施設等の構造及び使用の方法に関する基準を定める条例」(平成14年島根県条例第56号)に基づき、畜舎の汚物や汚水が公共用水域に流出しないよう畜舎の構造及び使用方法の遵守の徹底を図ることとしております。
また、家畜排せつ物は、平成11年に制定された「家畜排せつ物の管理の適正化及び利用の促進に関する法律」に基づき、適切な管理が図られるよう努めます。
2  平成11年に家畜排せつ物の管理の適正化及び利用の促進に関する法律が制定されながら、実情はなかなか抑制されず、更なる法律の遵守が望まれる。  本法律は、平成16年11月から完全施行され、一定飼養頭羽数以上の畜産業を営む者は、家畜排せつ物の管理基準を遵守しなければなりません。
この管理基準に基づき、家畜排せつ物の処理保管施設の整備を進め、引き続き、不適正な管理をしている畜産業を営む者への指導を徹底し、改善が見られない場合には、本法律に基づき、立入検査による指導及び助言、勧告及び命令等の行政指導を行います。また、一定飼養頭羽数未満の畜産業を営む者に対しても、本法律に準じて指導します。

6.農業、市街地、山林対策等

 

農業、市街地、山林対策等
No. ご意見の概要 ご意見に対する考え方
1  水田の肥料等の流出を防ぐこと。  「島根県環境保全型農業推進方針」や「持続性の高い農業生産方式の導入の促進に関する法律」に係る県導入方針に基づき、地力の維持・増進を図るための堆肥等の有効活用や側条施肥田植機の導入、肥効調節型肥料などの施用を促し、施肥量の節減と適正化による肥料の流失防止に努めるなど、環境保全型農業を推進することとしております。
2  JA島根や農業従事者等の協力によるコンポスト農業の導入を始めとする環境保全型農業の普及を図ること。 (2に対する回答は、上の1の回答と同じです。)
3  道路、側溝内の清掃等により、両湖への汚濁水の流入を減少させる努力が欠かせない。  市街地等から降雨により流出する汚濁負荷に関しては、道路路面、道路側溝等の清掃及び地域住民の協力を得て、公園、生活道路・側溝等の清掃を実施することとしております。
4  宍道湖や中海流域の山林も、林業の衰退や担い手不足、従事者の高齢化に伴い、手入れされずに放置され、公益的機能が著しく低下しており、森林施業とともに、植林等による健全で安心・安全な森林の整備を願うばかりです。島根県において、使途を特定した法定外目的税として、「水と緑の森づくり税(仮称)」についての検討がなされており、速やかな施行を期待しております。  島根県では、6月の「水と緑の森づくり税」の骨子案について提案後、シンポジウムやフォーラムの開催、各種媒体を利用した趣旨の周知を行うとともに、アンケート調査やパブリックコメントにより、県民の皆様から税の導入の是非や使途について幅広くご意見を伺ってきており、来年4月の導入にむけて準備を進めております。
5  雨水の経路のプロセス、トレーサビリティーを調査したり、ノンポイント汚染の原因を調べたらどうか。  雨水やノンポイント汚染源については、その把握方法等が技術的に必ずしも確立しているとはいえない状況ですが、今後の水質保全対策を進めていく上で、それらからの汚濁負荷量等を的確に把握することは重要であり、今後ともその実態把握に努めたいと考えております。

7.住民の理解と協力及び参加による保全活動の推進

 

住民の理解と協力及び参加による保全活動の推進
No. ご意見の概要 ご意見に対する考え方
1  ごみの不法投棄防止を進めるためには、住民一人一人が環境意識改革をする必要がある。宍道湖周辺では発砲スチロール等の散乱が目立つので、県はこの辺から意識改革を進めるべきである。  県では、不法投棄対策として地域を指定して行う住民モニターによる監視や市町村・警察・関係団体等による合同パトロール、啓発看板の設置等を行っているほか、民間団体に委嘱して不法投棄の通報をいただく体制を整備しております。
ご指摘のように、不法投棄防止を進めていくためには、地域の住民、事業者の方々がごみの減量化やリサイクル、適正処理について正しく理解し、自ら考え行動していただくことが大切と考えますので、引き続き、市町村、関係団体等と協力して啓発に努めることとしています。
2  宍道湖流入河川を対象とした、周辺の小中学校の水質調査への取り組みは水質浄化の住民の関心を高めるねらいから大変意義深いことと思う。
斐伊川水系は、汽水域であるとともに、人間と生き物が交差する十字路であり、豊富な魚類とともに、西日本有数の野鳥の宝庫でもある。この恵まれた環境を保全し、水質環境の更なる向上に向け、ポイ捨て禁止に始まる「自動販売機の自粛条例」の制定厳しい罰則のある「空き缶等散乱条例」の制定・施行を始め、それに伴う分かりやすい看板の設置、環境パトロール車の巡回行政と企業、県民そしてNPO等が一体となり、県民共有の財産として、「宍道湖・中海」の素晴らしい環境を未来に継承するためにより一層の努力が望まれます。
 最近は県内各地において、学校、企業、自治会その他様々なボランティアグループによって空き缶などの散乱ごみの収集が行われるなど、ポイ捨てに対する環境意識が高まりつつあります。
ごみのポイ捨て防止などの地域の環境美化は、基本的には地域の人たちが自ら考え、行動することが大切ですし、地域によって状況も違いますので、県としては、県内全域を対象とする条例の制定よりも、まず環境意識を高めるための教育・学習や普及啓発活動を積極的に行うこととしています。
3  宍道湖・中海の環境学習・観光の推進ため、宍道湖・中海自然環境観察指導員の養成講座を開き、水質浄化の意識を高めたらどうか。  自然観察指導員や自然解説員等については、今までも、養成を行ってきております。
また、宍道湖については、県立宍道湖自然館を中心に環境学習の推進を図っておりますし、宍道湖・中海については、人の五感を使って宍道湖・中海の状態をチェックする湖沼環境指標を作成し、地域から応募していただいたモニターの皆様により、五感で感じた湖沼の環境を調査していただいており、この調査結果を、県のホームページ等で公表することにしております。

8.その他

 

その他
No. ご意見の概要 ご意見に対する考え方
1  宍道湖・中海の埋立ての規制が肝要。  公有水面埋立法により原則として、宍道湖・中海の埋め立ては規制されています。
ただし、やむなく埋め立てる場合には環境アセスメント等の調査を十分に行ったうえで実施しています。
2  一番大事なのは本庄堤防を開削すること。今のままでは水質は悪化するばかりだ。一日も早く2mでも良いから開削すべきだ。現実に2mでも開削してみて、きれいになるかどうか、初めて本当のことが分かる。  本庄工区の堤防の取扱いについては、島根・鳥取両県と中国四国農政局、中国地方整備局で構成する「中海に関する協議会」において、協議をしているところです。
3  山林は枝打ちや間伐が行われず、また薪炭用の広葉樹が伐採期を過ぎたまま放置されている。その反面、外国からの炭が右肩上がりに輸入されている。このような原因は価格であるので、大量生産して安価な炭をどんどん生産する、そうすれば、山はひとりでに整理され、水質保全が可能です。  水質保全を含む森林の公益的機能を維持増進していくためには、「適正に伐って使う、森を育てる」の循環利用が重要であるとの認識に基づき、平成15年度に「島根県木質資源活用維新計画」を策定し、木質バイオマス利用を含む木質資源の積極的活用に向けた取り組みを展開しているところでありますので、今後の施策の参考にさせていただきます。
4  間伐材により、外部は木炭、内部は未炭化外炭木を作り、これを用いて魚礁を組み立て、また、これに輪ゴムで水草を取り付けてやると、水草が炭に付着してよく生育する。すると、炭と水草により、窒素やリンの吸収や、酸素の放出により、水質浄化が出来るとともに、魚類のすみかや産卵場となって、魚類の増産にもつながる。検討してほしい。  間伐材魚礁については、平成13年度から生物の集まり具合や間伐材の強度等の調査を実施しているところです。炭化した間伐材の使用については、今後の施策の参考にさせていただきます。
5  排水量の中でも最も大きな部分を占める家庭排水を処理を、合併浄化槽けで許しておく限り、これ以上の環境改善は望めない。
合併浄化槽からの排水を、土壌固有の持つ水質汚濁物質を分解する能力を利用した「ひめほたる」という水質浄化システムを通すことにより、大幅な改善が期待できる。このシステムはシンプルで、維持管理も簡単で、補助金で普及を拡大できる。
このため、一般家庭の排水基準を上乗せし、管理していくことが水質改善に大きく寄与していくことを再認識すべきである。
 家庭排水の処理対策は、全県域下水道化構想に基づき、浄化槽だけでなく、公共下水道、農業集落排水などの汚水処理施設の整備により全県的に進めております。
現在、一般家庭に設置される浄化槽にはBOD濃度を20mg/リットル程度に処理できる能力がありますが、宍道湖・中海など特に水質保全対策が必要な湖沼流域においては、流入負荷対策の一つとして、窒素又はリンを高度に処理する浄化槽の設置が有効と考えられております。
県では、国の補助金制度や県の交付金制度を活用して、この高度処理型浄化槽の整備を促進していくととしています。
ご提案のありましたシステムにつきましては、今後の施策の参考にさせていただきます。
6  EM菌発酵液を使って、宍道湖・中海までの水路を多極分散して、水の浄化実験をする。効果があれば、意宇川河口にEM菌で浄水プラントを整備してみたらどうか。  EM菌発酵液など微生物を使った水質浄化については全国的にもいろいろな事例がありますが、科学的に効果的と認められるものについては、今後の施策の参考とさせていただきます。
7  浅場を造成して、しじみ親水公園を整備してみてはどうか。  今のところ「しじみ親水公園」を整備する要望や計画はありませんが、宍道湖の漁業にとって浅場は重要ですので、今後の参考とさせていただきます。



お問い合わせ先

環境政策課宍道湖・中海対策推進室

〒690-8501 島根県松江市殿町1番地
TEL:0852-22-6445