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総務委員長報告
総務委員長報告平成26年2月定例会(3月11日)
総務委員長報告をいたします。
今定例会で総務委員会に付託された議案のうち、既に3月3日に報告いたしましたものを除く議案の審査結果等について報告いたします。
本委員会に付託された議案は、「平成26年度島根県一般会計予算」など予算案10件、「使用料、手数料等の額の改定等に関する条例」など条例案7件、「包括外部監査契約の締結について」など一般事件案2件、「島根県条例の制定の直接請求について《島根県エネルギー自立地域推進基本条例の制定請求》」の直接請求1件であります。
これらの議案について、執行部に説明を求め、慎重に審査いたしました結果、第59号議案の直接請求は賛成少数により否決、その他の議案は全会一致をもって原案どおり可決すべきとの審査結果でありました。
次に、議案の審査過程における執行部からの説明、委員からの質疑・要望等のうち、主なものについて報告いたします。
まず、来年度の新規事業である、メガソーラー事業用地供給拡大事業についてであります。この事業はメガソーラー事業のための用地を確保するために、発電事業者と土地所有者との調整を宅建協会・不動産協会に委託するものであります。委員からは、土地の確保については宅地のみでなく農地等も対象にして、部局間の連携の下に事業を進めてほしいとの要望がありました。
また、中山間地域研究センターの研究成果の活用方策について、委員から、これまで10数年かけて研究してきた成果を、もっとプロジェクトチームの活動に反映させ、地域の事業に取り入れて活性化に繋げてほしいとの意見がありました。
さらに、中山間地域研究センターは、農林だけでなく福祉や教育等、様々な分野に関わっているため、これらの研究成果については、地域振興部が中心となって関係部局との連携をしっかり取り、予算に反映させながら事業を進めてほしいとの要望がありました。
なお、直接請求第59号議案にかかる審査経過等につきましては、後ほど御報告申し上げます。
次に、専決処分の事前了解について報告いたします。
今国会において成立する見込みの地方税法の改正法においては、今年度内に島根県県税条例を改正し、平成26年4月1日から施行すべき自動車税に関する項目が含まれております。このため、執行部の説明を受けて慎重に審査いたしました結果、この条例改正については、専決処分を了解することといたしました。
次に、請願の審査結果について報告いたします。
継続審査中の請願第25号は、出雲市河下港の有益な活用を図るため、海上自衛隊を誘致する活動に対し支援を求める内容であり、昨年の9月定例会に本委員会に付託されました。これまでの審査においては、地元の出雲市の意向が十分に把握できていなかったこと等から継続審査としてきましたが、このたびの調査により、この請願をめぐる状況や趣旨は理解できたことから、挙手採決の結果、「趣旨採択」とすべきとの審査結果でありました。
次に、陳情の審査結果について報告いたします。
このたび新規に受理いたしました陳情第191号は「特定秘密の保護に関する法律の廃止を求める陳情書」であります。この陳情は、同法律の廃止を求める意見書を国及び政府に提出するよう求めるものです。
委員からは、この法律は特定秘密の範囲が曖昧であり、外部機関の構成や権限が本当の意味での役割を果たさない不安があるので採択すべきとの意見がありました。一方で、この法律は国の防衛を万全のものとするための条件であること、また、現在、この法律の適正な運用を確保するための取り組みが進められていることから不採択とすべきとの意見があり、挙手採決の結果、「不採択」とすべきとの審査結果でありました。
なお、その他の継続審査中の8件の請願については、いずれも結論に至る状況にないことから、引き続き「継続審査」とすべきとの審査結果でありました。
最後に、本委員会に付託された直接請求第59号議案「島根県条例の制定の直接請求について《島根県エネルギー自立地域推進基本条例の制定請求》」の審査経過等について、御報告いたします。
この条例案の内容は、「地球環境を保全し、循環型社会を実現すること」「原子力発電からの計画的脱却により、安全な社会を目指すこと」などを基本理念とし、地域内で供給される再生可能エネルギーの量が、地域内で消費される量を上回る「エネルギー自立地域」の形成などを図ろうとするものであります。
なお、この議案の上程にあたっては、地方自治法第74条第3項の規定により、知事の意見が付されたところであります。
今定例会の初日であります2月12日の本会議において、この議案の上程を受け、本議会といたしましては、同日、まず全員協議会において、執行部に対してこの議案についての説明を求め、条例案の内容と上程にあたって付された知事の意見を聴取いたしました。
さらに、同日、条例制定請求代表者である北川泉氏の意見陳述を受け、本請求の提出にかかる経緯等を聴取いたしました。
また、2月19日から28日まで行われた代表質問、一般質問、一問一答質問においては、複数の議員から執行部に対し、この議案に対する質疑が行われました。
その中では、「知事は約83,000人の県民の願意をどう受け止めているか」「島根県の再生可能エネルギーの利活用についてどう考えるか」等の質疑に対し、「省エネルギーと再生可能エネルギーの導入促進に対する県民の高い関心の表れであり、県としても重要な政策課題として認識している」、「今後、国が策定する新たなエネルギー基本計画の内容を踏まえ、県における地域新エネルギー導入促進計画を改定する」等の答弁があったところであります。
その後、3月3日の本会議において、この議案が本委員会に付託されたことを受け、3月5日に9名の全委員の出席を得て委員会を開催し、執行部に対し、さらにこの議案について詳細に説明を求め、これまで本会議で行われてきた意見陳述や質疑等も踏まえ、慎重に審査を行ったところであります。
以下、この審査の過程における質疑・意見等のうち主なものについて申し上げます。
まず、委員から、知事の意見書の中では、膨大な量の再生可能エネルギーの導入のためには、国による固定価格買取制度などによる財源の確保、不安定性の解消のための技術開発など様々な面で国の関与が必要とのことであったが、具体的にどういった内容かとの質疑がありました。これに対し、執行部からは、まず、再生可能エネルギーが抱える根本的な問題として、発電コストが高いことと、供給の安定性に欠けるという問題がある。これらについては、国による施設導入の際の低コスト化のための技術開発や、自然条件によって左右される太陽光・風力発電に対する安定化対策としての蓄電池や調整装置などについて、環境省や経済産業省による革新的な技術開発が必要との説明がありました。さらに、再生可能エネルギーの普及導入に向けた国の対応として、再生可能エネルギー施策をはっきり打ち出していくこと、国による固定価格買取制度の着実な実行、農地などの土地利用の規制緩和、送電線網の増強と電線の容量拡大などが必要との説明がありました。
また、2月12日の全員協議会で示された、今後、エネルギーの自立を図るためには現在の約40倍の再生可能エネルギーの生産量が必要であるとする資料について、条例制定請求代表者から、再生可能エネルギーの中に大・中水力が含まれていないという指摘があったとのことだがどうかとの質疑がありました。これに対し、執行部からは、請求者側に対して確認したところ、条例案第2条の条文のとおり、再生可能エネルギーの定義は「太陽光、太陽熱、風力、小水力、バイオマス、地中熱等」であるとの説明があったため、この条例における再生可能エネルギーは小水力として整理したとの説明がありました。
また、同じく全員協議会で示された資料においては、今後の省エネルギーの効果が反映されていないとの新聞報道があったが、事実であればその理由は何かとの質疑がありました。これに対し、執行部からは、エネルギー消費量は、景気の動向や気候、省エネ法に基づく省エネルギー政策の効果等の影響を受け、我々の事業活動等に直接関わってくるということから、将来のエネルギー消費量については、いろいろな見方があるため、今後の省エネルギーの効果は見込まずに、現時点で把握できるデータに基づいて示したものであるとの説明がありました。
また、最近の省エネルギーの状況・動向、今後の目標についての質疑に対し、執行部からは、平成20年秋のリーマンショックの翌年の平成21年度は、エネルギー消費量が落ちた。また、平成22年度は夏の猛暑や冬の豪雪の関係もあってエネルギー消費量が増加したなど、景気や気候などの様々な影響を受けて変動するものととらえている。なお、目標については、平成23年3月に策定した島根県地球温暖化対策実行計画の中で、エネルギーの使用量を平成2年度に比べて、平成32年度に8%以上削減する目標を定めているとの説明がありました。
また、このたび提出された条例案は、自立というように、島根県内だけですべてのエネルギーを賄うというものであるが、他県における条例の制定状況はどうかとの質疑がありました。これに対し、執行部からは、省エネルギーと再生可能エネルギーの両方を目的とした条例を制定しているのは全国で5道県であるが、自立を目的とした条例は制定されてないとの説明でありました。
なお、これらの質疑の後、一部の委員から委員長に対し、この議案については、バイオマス発電等、他の常任委員会の所管の事項も関連してくることから、連合審査会を開催してほしいとの要望がありました。
これに対し、他の委員から、本委員会においては、平成23年度から3年間、「再生可能エネルギーの活用促進」を調査テーマとして、バイオマス発電や省エネルギーも含めて調査してきた経緯がある。よってこの議案については、本委員会の責任において結論を出すべきであるとの意見があり、連合審査会の開催は必要なしとの結論に達しました。
以上の執行部からの説明や質疑等の後に討論を行いましたので、その概要を申し上げます。
始めに、この議案に賛成の意見があり、この約83,000人の署名は、島根という地で安心して暮らしたい、健康にも不安なく、将来にわたって子どもや孫の時代も暮らしていきたいたいという県民の願いであると受け止めている。現在の再生可能エネルギーの生産量からすれば、需要を賄うのは無理だという発想も、自立地域という言葉に反応されるのも理解はできるが、省エネルギーや再生可能エネルギーを進めていくことに異論のある委員はおられないはずである。また、日進月歩で進む技術開発を考慮しながら、条例に基づいて、達成できる計画を積み上げていけば、最終的に再生可能エネルギーを増やし、この条例案の趣旨を達成することはできる。まずは、省エネルギーと再生可能エネルギーを進めていくことを決めることで、一歩ずつ進むことができるとの意見がありました。
一方で、この議案に反対の意見が多数ありましたが、いずれの委員も、このたびの83,323人の署名を重く受けとめている、また、省エネルギーと再生可能エネルギーの普及促進には賛成であるとの意見でありました。
その上で、この条例案は受け取り方が幅広く、きちんと整理をされなければ条例として運用することは極めて難しいため、慎重に取り扱うべきであるとの意見や、再生可能エネルギーだけでは、現在の生活レベルを維持することはできないとの意見がありました。
また、国家的に脱原発を掲げて代替エネルギーの取り組みを行っているドイツの例によれば、事業者間の競争による経済的なしわ寄せが家庭に来ているというような報道があった。この条例案は脱原発に向けてのいい取り組みではあると思うが、今は諸々の影響について十分な認識が共有されてないので、勇気を奮ってまだ無理ではないかと言わざるを得ないとの意見がありました。
また、条例を制定するということは、島根県の憲法を制定することである。条例案に掲げられた、1年を目途に基本計画を策定するということについても、それを実行できなければ、この条例案に賛同された約83,000人の方々に対して応えることにはならないので、慎重に考えるべきであるとの意見がありました。
また、エネルギー政策の基本的な事項は国が責任をもって構築すべきであり、その上で我々は、再生可能エネルギーの普及促進について、真剣に十分に県民と一緒に考えながら進めていくべきである。また、電力というのは自治体の枠を超えて、お互いが融通し合うことで国民の豊かな生活が成り立っているのであり、島根県だけが自立に固執すべきではない。よって自立を掲げるこの条例案には反対であるとの意見がありました。
さらに、国はこれまでのエネルギー基本計画を見直し、新しい基本計画を今月中に閣議決定すると言っている。県において平成11年に策定、平成20年に改定した地域新エネルギー導入促進計画についても、国にあわせて早急に見直しをし、このたびの約83,000人の方々の思いを理解しながら新たな計画を策定してほしい。あわせて、本委員会においても、これまで行ってきた調査活動を今後も積極的に行い、また、集中的に審議をして最終報告をまとめ、執行部に対して必要な意見や提言を行っていく。これが県民に応える務めであるし、約83,000人の方々の署名に応える責任であるとの意見がありました。
これらの議論の後に、最終的に挙手による採決を行った結果、本議案は賛成少数をもって否決すべきとの結果でありました。
しかしながら、本請求が多数の方々の直接請求に基づくものであることから、本委員会としては、次のとおり要望を取りまとめました。
エネルギー資源に乏しい我が国は、これまでエネルギー供給を安定化させるため、エネルギー供給源の多様化によるリスク分散と省エネルギー化を進めながら産業を発展させ、全ての国民が等しく文化的な生活を享受できるよう努力してまいりました。今後も、これまでの方針を継続しながら、次の世代の期待に応えていくことが必要であると考えます。
このような観点から、島根県においても、日本国を担う一自治体としての責務を果たす中で、自然豊かな郷土の地域資源を生かす方策、即ち再生可能エネルギーの利活用と省エネルギーの推進に努め、自然環境にやさしい持続可能な社会を目指すことが重要であります。
そこで、執行部に対しては、次の事項を要望するものであります。
1現在、県が政策課題として取り組まれている再生可能エネルギーの利活用と省エネルギーの推進について、その意義を重くとらえ、これまで以上に調査・研究や施策の充実強化に努められたい。
2再生可能エネルギーと省エネルギーの普及促進にあたっては、まず県民の理解と協力が不可欠であることから、県民意識の啓発について、市町村との連携の下、積極的に取り組まれたい。
最後に、本委員会においては、平成23年度から「再生可能エネルギーの活用促進」をテーマに、県内・県外各地域の様々な再生可能エネルギー事業等を調査してまいりました。
今後もさらに調査活動を進め、島根県内の地域の特性を生かした再生可能エネルギーの活用促進策が検討されるよう、執行部に対して必要な意見や提言を行ってまいります。
以上、総務委員会における審査の概要及び調査の結果を申し述べ、委員長報告といたします。
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島根県議会
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