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平成25年2月定例県議会 知事施政方針並びに提案理由説明要旨(平成25年2月21日)
定例議会開会にあたり、諸議案の説明に先立ちまして、当面の県政運営に臨む私の基本的な考え方を申し上げ、皆様のご理解とご協力をお願い申し上げたいと思います。
(新政権の発足と経済対策)
まず、国政におきましては、昨年末、安倍新政権が発足しました。
政府は、「経済の再生」を最重要課題と位置付け、円高・デフレから脱却し、強い経済を取り戻すため、24年度補正予算と25年度当初予算を合わせた、いわゆる「15ヶ月予算」により、切れ目のない経済対策を実施することとされました。
この国の経済対策に呼応し、県も、県経済の活性化と県民生活の安定などを進めるため、今年度補正予算案と来年度当初予算案を今議会に提出いたしました。
(予算の骨格)
提出した予算案の骨格についてご説明申し上げますと、まず、本年度補正予算におきましては、国の経済対策に対応し、災害に強い県土基盤整備や産業基盤整備、さらに防災対策等について措置し、総額で301億円を追加しております。
次に、来年度当初予算では、第一に、経済活性化のための社会インフラの整備、第二に、防災対策等の強化、第三に、産業振興と雇用の確保、第四に、医療・福祉と教育の充実の四つを大きな柱としております。
このほか、定住・中山間地域対策、地域交通の確保、環境対策などに、重点的に配意した予算としております。
来年度当初予算の総額は、5,312億円で、前年度に対し、0.7%、35億円の増加となっております。
なお、先般、政府から地方自治体に対し、地方公務員給与についても国に準じて引き下げるよう要請があり、この要請による給与引き下げを前提として、来年度の地方交付税の算定が行われることとなりました。
この問題につきましては、国と地方六団体との間で種々やり取りがありましたが、国が地域活性化の必要性や各自治体の行革努力に一定の配慮をするなどの調整が図られたことから、島根県への影響は比較的小幅なものになると見込まれております。
今後の県職員給与の取扱いにつきましては、政府の要請の趣旨等を勘案し、対応を検討していく考えであります。
次に、主要な施策について順次、ご説明申し上げます。
(産業の振興)
まず、産業の振興について申し上げます。
ものづくり産業におきましては、国内市場の縮小や国際競争の激化などから大変厳しい状況にあります。
このため、国内の成長分野への参入などに向け、生産力や受注力を強化する設備投資を助成することとしております。
さらに、県内の雇用の確保のためには、増加する海外の需要を受注することも必要であります。
その方法等につき関係業界とよく調査・検討をし、海外で事業展開をする企業への支援を強化してまいります。
また、平成15年度から県の産業技術センターで取り組んできました「新産業創出プロジェクト」をさらに発展させ、県内企業と共同して、新技術や新製品の開発を目指す「先端技術イノベーションプロジェクト」に取り組んでまいります。
情報産業につきましては、中・高校生に対する「Ruby教室」や、県外在住の島根県出身IT技術者と県内企業との交流などを通じて、幅広くIT人材の育成・確保を図ってまいります。
県産品の国内外への販路拡大につきましては、引き続き、商談会の出展支援や島根フェアの開催などを行ってまいります。
企業誘致につきましては、県外での説明会などで、島根の立地条件の良さなどを、引き続き積極的にアピールし、立地の推進を図ってまいります。
貿易振興につきましては、定期航路となった浜田港とウラジオストクとの間のローロー船を活用したロシア貿易の拡大や、境港と浜田港のポートセールス体制の強化を図ってまいります。
中小企業対策につきましては、今年度末の中小企業金融円滑化法の期限切れに備え、既存の融資をより長期に借り換える資金の創設など、制度融資の拡充を図ってきております。
引き続き、企業の経営改善や事業再生を迅速に進めるため、商工団体が企業に専門家を派遣する事業の拡充など支援を強化してまいります。
(雇用対策)
雇用対策につきましては、国の交付金も活用し、来年度も引き続き、雇用の創出に取り組んでまいります。
また、ものづくり産業の中核的な役割を担う技術者の育成や、若年未就職者の就業機会の確保にも積極的に取り組んでまいります。
(観光の振興)
次に、観光振興について申し上げます。
昨年の「神話博しまね」に続き、本年5月には、出雲大社の大遷宮が執り行われ、地元においても様々な奉祝行事が計画されております。
県では、古代出雲歴史博物館での「出雲大社展」の開催、神話にゆかりの深い奈良県、三重県などとの連携や「古代歴史文化賞」の創設などを通じて、島根の豊かな歴史・文化の魅力を全国に発信してまいります。
さらに、県内各地の神楽や縁結びなどの特色を活かした観光商品づくりや、地域の観光を担う人材の育成などに取り組んでまいります。
また、国際観光につきましても、台湾など東アジアを中心とした誘客活動を強化し、外国人観光客の増加を図ってまいります。
(農林水産業の振興)
次に、農林水産業の振興について申し上げます。
まず、農林水産業の担い手確保につきましては、最近では、年200名を超える方々が新たに就業されております。
県としましては、「半農半X」や技術習得への支援など県独自の対策に加え、国の青年就農給付金なども活用しながら、新規就業の一層の促進を図ってまいります。
昨年は、「日本の花の新品種コンテスト」において、島根のあじさいの新品種「万華鏡」が最優秀賞を受賞し、また、米の新品種として昨年導入した「つや姫」が消費者から好評を得ております。
また、消費者の有機農業への関心は、一昨年から開催しております「しまねオーガニックフェア」などを通じて、高まってきております。
こうした県産品のイメージアップにつながる新しい動きをさらに推進していく考えであります。
「しまね和牛」の振興につきましては、昨年の「全国和牛能力共進会」の結果も踏まえ、関係者の意見もよくお聞きしながら、肉質の向上や繁殖雌牛の頭数の確保などに早急に取り組んでまいります。
このため、来年度から新たに「畜産振興室」を設置して、支援体制を強化することとしております。
また、県内JAの統合が平成27年に予定されており、県としましてもJAとも連携して、全県一体となった農業振興策の検討を進めてまいります。
林業につきましては、県産木材や石州瓦を使用した住宅の新築・リフォーム等に対する助成をはじめとして、公共施設、福祉施設、商業施設などの木造化・木質化を促進することにより、県産木材の需要拡大を図ってまいります。
また、新たな木材需要の創出に向け、木質バイオマスによる発電や熱利用の取組みを積極的に進めてまいります。
さらに山林資源の保全のため、松枯れやナラ枯れなどに対する対策や、築地松などの景観保全のための対策も地元市町村などと連携して進めてまいります。
水産業につきましては、県内漁業の経営安定化や流通体制の強化、宍道湖・中海の水産資源の維持・回復に向けた取組みを進めてまいります。
また、国に対しましては、日韓暫定水域に関連する諸問題の解決に向け、適切な対応をとるよう、引き続き強く求めてまいります。
(再生可能エネルギー・環境保全)
次に、再生可能エネルギーにつきましては、市町村等と連携しながら、住宅や公共施設への太陽光発電の導入、小水力や木質バイオマスなどの地域資源の利活用、多様なエネルギーの事業化に向けた可能性調査に対する支援などを総合的に推進してまいります。
また、宍道湖・中海の水質保全につきましては、国土交通省や鳥取県などと連携しながら、水質改善に向けた調査・対策を進めてまいります。
(地域医療と福祉の充実)
次に、医療と福祉の充実について申し上げます。
若手医師などの県内定着を促進するため、一昨年設置した「しまね地域医療支援センター」は、この3月に一般社団法人化いたします。
これにより、大学、医療機関、医師会、市町村、そして県が連携して、若手医師のキャリア形成などを支援する体制を一層強化することとしております。
また、先月、中国5県で、ドクターヘリ運航の広域連携について基本協定を締結いたしました。
この協定ができるだけ早く実施されるよう、現在、運航方法の詳細について、関係県で協議を進めております。
がん対策につきましては、来年度から5ヶ年の次期「がん対策推進計画」を来月中にとりまとめ、がんの予防や治療、患者家族への支援など、がん対策をさらに推進してまいります。
子育て支援につきましては、子ども・子育て支援新制度への円滑な移行を目指しながら、人材確保や保育サービスの充実、地域ニーズに対応した子育て支援を行ってまいります。
また、少子化の要因である未婚・晩婚化に対応するため、行政や各種団体、企業等が連携して、いわゆる「婚活」の支援を行ってまいります。
福祉・介護人材の確保につきましては、将来の人材需要の見通しを作成し、これに基づき、市町村・事業所などと一体となって取り組んでまいります。
(教育の充実)
次に、教育について申し上げます。
全国的に問題になっておりますいじめ、体罰や不登校などにつきましては、未然防止と早期対応が大事であります。
このため、県では、今年1月から、警察と教育委員会が連携して、それぞれの電話相談の名称をわかりやすいものに変更し、そのPRを行ったり、両者で連絡会議を開催するなど、電話相談体制を強化しております。
今後も、法律や福祉の専門家に協力を求めるなど、相談体制の充実に努めてまいります。
次に、特別支援学校につきましては、雲南市内に出雲養護学校高等部の分教室を設置することとし、平成27年4月の開設に向け、準備を進めております。
スポーツ、体育活動につきましては、今月、「県スポーツ推進計画」を策定いたしました。
この計画の下、子どもの体力の向上や、全国で活躍する競技者の育成などに積極的に取り組んでまいります。
(社会基盤整備)
次に、社会インフラ整備について申し上げます。
公共事業につきましては、今年度補正予算と来年度当初予算を一体として編成し、道路・河川の整備や老朽化対策としての維持補修、農林水産業の基盤整備など、歳出総額は、補正と当初合わせて1,075億円となり、前年度同時期の予算額に比べ、154億円の増加としております。
また、公共施設の耐震改修・防災設備の整備、県立学校の大規模改修なども推進することとしております。
次に、道路整備について申し上げます。
まず、松江尾道線につきましては、3月30日に中国縦貫道の三次まで開通し、山陽方面へのアクセスが大幅に改善されます。
他方、影響が懸念される国道54号につきましては、沿線の経済活動や住民の方々の日常生活に大きな影響が出ないよう、地元市町と協力しながら対応してまいります。
松江第五大橋道路、通称「松江だんだん道路」につきましては、3月10日に川津・西尾間が完成し、全線が開通いたします。
山陰道につきましては、「福光・江津間」の事業化に向けて、国で行われている評価等の手続きが速やかに進められるよう、働きかけてまいります。
また、未着手の「益田・萩間」につきましても、早期の事業化を国に引き続き働きかけてまいります。
斐伊川・神戸川治水事業につきましては、中流部の斐伊川放水路は、完成を目指して工事が進められております。
大橋川改修は、追子地区の築堤工事に続き、天神川水門の建設が進められております。
浜田港の臨港道路福井4号線につきましては、来年度から工事に着手される予定であります。
今後もこうした社会インフラ整備が着実に進められ、県経済の活性化につながるよう、引き続き努力してまいります。
次に、来島ダムの分水問題につきましては、専門委員会が河川環境への影響について検証をされ、このほど、報告書がとりまとめられました。
県としましては、この専門委員会の報告を踏まえ、出雲市をはじめとする地元市町、中国電力や国土交通省等、関係者の意見をよくお聞きしながら適切な対応を図ってまいります。
(航空路線の利用促進)
次に、航空路線の利用促進について申し上げます。
(1)萩・石見空港では、大阪便が本年も7月、8月の期間限定で運航されることとなり、(2)出雲縁結び空港では、東京便の中型機運行が継続され、(3)隠岐空港では、大阪夏季ジェット便が運航することとなっております。
これら3空港につきましては、今後も地元と連携して、旅行会社を通ずる観光誘客などを進め、運航の継続や増便について、引き続き運航会社に働きかけてまいります。
(離島航路への支援)
本土と隠岐を結ぶ隠岐航路は、隠岐の観光や生活に必要不可欠なものであり、次期超高速船「レインボージェット」は、隠岐振興に大きな役割を果たすことが期待されています。
県では、隠岐広域連合に対し、この超高速船の導入支援に加え、今後、安定的な運航のために必要な支援も行ってまいります。
(離島・中山間地域対策等)
次に、隠岐地域の離島振興計画につきましては、地元の意見を踏まえ、必要な対策を盛り込んだ計画の策定作業を進めております。
今後、離島活性化交付金なども活用しながら隠岐地域の振興に取り組んでまいります。
中山間地域対策につきましては、今年度作成した「しまねの郷づくりカルテ」を活用しながら、コミュニティバスの運行を開始するなど具体的な支援を始めております。
今後も、部局横断のプロジェクトチームを中心に各地域の課題解決のため積極的に支援してまいります。
定住対策につきましては、介護など人材が不足している分野でのUIターン、あるいは県内の市街地への定住などに対する支援を進めてまいります。
(交通安全対策)
次に、交通安全対策につきましては、昨年の交通事故死亡者数は45人と前年に比べて大幅に増加し、また、全死亡者数に占める高齢者の割合が半数を超える状況にあります。
今後とも、県警を始め、関係機関・団体が協力して、交通安全対策を一層推進してまいります。
(原発の安全・防災対策)
次に、原発の安全・防災対策について申し上げます。
国の原子力規制委員会による原発の新安全基準の作成作業につきましては、現在、同委員会がその骨子案を示し、パブリックコメントや専門家からの意見を求めている段階にあります。
それらを踏まえて、7月には新安全基準が定められ、基準に合致した安全対策を講じた原発から、国に安全審査を求めていくことになるとされています。
他方、県では、島根原発に万が一の事態が生じた場合に備え、「広域避難計画」を昨年秋に一定の形にとりまとめ、引き続き実効性向上のための作業を行っております。
先月末には、その計画に基づいて、島根・鳥取両県及び島根原発周辺6市との合同で、「原子力防災訓練」を実施しました。
今後とも、こうした訓練を行い、防災対策の実効性を高めるよう努めてまいります。
(自然災害対策)
次に、地震・津波などの自然災害対策について申し上げます。
今月はじめ、「島根県防災会議」において、二つの計画を決定いたしました。
一つは、東日本大震災を踏まえ、見直しを進めていた自然災害に関する「地域防災計画」であり、もう一つは、県内で大規模な地震や津波が発生した場合、その被害を軽減するための「減災計画」であります。
今後は、これらの計画に基づき、市町村とともに、各地域毎の「津波避難計画」の作成、建物の耐震化の推進、防災研修会の開催などを進めてまいります。
なお、原子力災害に関する「地域防災計画」につきましては、本日午後に開催する「島根県防災会議」で、審議いただくこととしております。
また、県では、来年度から「防災部」を新たに設置し、こうした災害などに的確に対処する体制を強化することとしております。
(竹島問題)
次に、竹島問題について申し上げます。
明日、2月22日は「竹島の日」であります。
政府の代表や国会議員の方々をはじめ、多くの関係者に出席いただき、8回目の記念式典が開催されます。
県としましては、今後とも、竹島問題についての国民の理解が広がるよう、「竹島の日」の式典をはじめ、竹島資料室での展示など、啓発活動に積極的に取り組んでまいります。
政府におかれては、昨年夏の韓国大統領の竹島上陸を契機として、対応の強化を図っておられます。
今月初めには、政府内に竹島を含め領土問題を所管する組織が新たに設置されました。
そして、来年度の政府予算案では、竹島を含めた領土保全対策のための調査研究や情報発信などの予算が拡充されております。
政府におかれては、この組織を中心に、国民世論の啓発や国際社会への働きかけなどに積極的に取り組まれることを期待します。
県としましては、引き続き、県議会や地元町村とともに国に対し、国際司法裁判所への提訴を含め、韓国との間で粘り強く外交交渉を行う体制を築くよう強く求めてまいります。
また、県は来年度から総務部に「竹島対策室」を設置し、体制の強化を図ってまいります。
(住みやすく活力ある島根を目指して)
さて、最近、古代出雲の世界がテレビや雑誌の特集などで数多く取り上げられ、東京や京都で開催しました展覧会にも大勢の方々がお出でくださいました。
このように、島根に対して、全国的に関心が広がっているように思われます。
こうした追い風を受け、古から受け継いできた良き文化・伝統、豊かな自然、そして真面目で勤勉な県民性など、島根が有する資源とも言うべきものを大いに活用しうる時期に、我々は今、遭遇しているように感じます。
少子高齢化や人口減少など、厳しい状況は続きますが、県民の方々や県議会の皆様とともに、「住みやすく活力ある島根」を築いていくため、全力をあげて取り組んでまいります。
何とぞ宜しくお願い申し上げます。
この後、補正予算案及び当初予算案を含む諸議案の詳細につきましては、総務部長から説明させることにいたします。
何とぞ宜しくご審議のほど、お願い申し上げまして、私の説明を終了いたします。
お問い合わせ先
島根県議会
住所 〒690-8501 島根県松江市殿町1番地 TEL 0852-22-5356 FAX 0852-22-5273 メール kengikai@pref.shimane.lg.jp