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総務委員長報告
総務委員長報告 平成25年2月定例会(3月21日)
総務委員長報告をいたします。
今定例会で総務委員会に付託された議案のうち、既に3月12日に報告いたしましたものを除く議案の審査結果等について報告いたします。
本委員会に付託された議案は、「平成25年度島根県一般会計予算」など予算案 10件、「島根県行政機関等設置条例及び島根県部設置条例の一部を改正する条例」など条例案8件、「包括外部監査契約の締結について」など一般事件案2件であります。
これらの議案について、執行部に説明を求め、慎重に審査いたしました結果、いずれの議案も全会一致をもって、原案どおり可決すべきとの審査結果でありました。
次に、議案の審査過程における執行部からの説明、委員からの質疑、意見、要望事項等のうち主なものについて報告いたします。
予算案「平成25年度島根県一般会計予算」についてであります。
本議案のうち総務部所管の総務事務集中処理に関して、委員から、来年度秋頃から、県立学校の教育職員に対する運用が開始されるが、本務である教育業務に支障をきたすことがないよう、研修には一定の配慮が必要だと思われるがどうか、との質問がありました。
これに対し執行部から、研修の時期、参加対象者、テキスト等については、教員の皆さんに過大な負担がかからないよう配慮しつつ、教育庁の関係課とも協議しながら、検討していきたいとの回答がありました。
次に、地域振興部所管の航空路線の拡充について、委員から、国際チャーター便支援について、かつて、中国との定期便実現に向け、チャーター便を年間に何回も飛ばしたことがあったが、その後の事情もあり、今は途絶えている。一方、鳥取県は、何らかの形で継続して行っており、現時点で両県には、相当な差がついている。今回新規でこの支援策に取り組まれるが、チャーター便を増やすために、是非とも継続していってほしいとの要望がありました。
最後に、請願、継続7件の審査結果について報告いたします。
継続審査中の7件の請願については、いずれも結論に至る状況にないことから、引き続き「継続審査」とすべきとの審査結果でありました。
ところで、本委員会では、東日本大震災、福島原発事故を受け、原子力発電所関連の問題に対する調査に、取り組んでまいりました。昨年の2月定例会の委員長報告では、調査の実施状況を中間報告したところであります。今回は、その後の調査状況についてご報告いたします。
まず、国の大きな動きとして、昨年9月に、原子力の「利用推進」と「安全規制」の分離が徹底され、独立性を確保することなどを目的として、「原子力規制委員会」が設置されました。また、原子力防災の見直しを受け、「原子力災害対策特別措置法」の改正や「原子力災害対策指針」の策定がありました。
原発の安全対策については、「原子力規制委員会」が、原発の新安全基準の骨子案を本年2月に公表し、パブリックコメントや専門家の意見を踏まえ、7月には、新安全基準を定める予定であります。
また、島根県における原子力防災対策については、本年2月に、国の「原子力災害対策指針」を踏まえて、県の地域防災計画「原子力災害対策編」が修正されました。また、昨年11月には、これに先行して「広域避難計画」が策定されており、本年1月にはこの計画をもとに2県6市による原子力防災訓練が実施されたところであります。
一方、国のエネルギー政策は、未だ定まっていない状況にあります。今後、しっかりとした方針を確立するとともに、原子力発電についての最終責任は、国が持つということを明確にすることを求めるものであります。
さて、こうした状況の推移の中、島根原子力発電所においては、各種の安全対策が施され、防波壁、免震重要棟等の工事も着実に進捗していることを実地調査で確認しておりますが、中国電力に対しては、原子力発電所の安全確保の取り組みなどについて、積極的に情報提供を行うなど、更に、県民の安全・安心確保に務めることを強く求めるものであります。
最後に、島根原発の再稼働については、まずは、国全体のエネルギー政策における原発の位置付けが明確にされた上、今後示されるであろう新安全基準に適合することが必要であり、更に、その基準に基づく安全性確保について、島根県なりに十分検証し、住民の意見を聞くなど様々な観点から慎重に判断すべきものであると考えます。
以上が、原発関連の問題に対する調査の状況報告であります。
さて、本委員会は、原発関連の問題に対する調査とともに、「本県における再生可能エネルギーの活用推進」をテーマとした調査にも取り組んでおり、この調査結果についても報告いたします。
東日本大震災に伴う福島第1原発事故を受け、各方面で再生可能エネルギーへの関心が高まり、国においてエネルギー政策の見直しの検討を進めるなど、エネルギーを取り巻く状況が大きく変化している中で、本県においても太陽光や風力等の自然エネルギーをはじめとする再生可能エネルギーを積極的に活用していくことが、今後ますます重要な課題となってきているところであります。
そこで、本委員会は、本県の地域特性を踏まえた再生可能エネルギーの活用推進策を検討するために、県内外の実地調査と参考人意見聴取を行いました。
まず、県外調査の結果であります。
九州電力(株)メガソーラー大牟田発電所は、敷地面積約8万平方メートル、出力3,000kWの発電をしております。太陽光発電は、CO2削減に効果的である一方、天候に左右され、利用率が低いことや出力が不安定であることから、変動を吸収する火力発電などによる調整が必要となるとのことでありました。また、当地は、同社が所有する石炭火力発電所跡地を利用しており、用地の確保、送電線など初期投資が、新規に計画する場合に比べかなり安価で、比較的条件が整った中での開発事例でありました。
次に、九州電力(株)八丁原地熱発電所は、国内最大の地熱発電施設で、出力110,000kwの発電をしております。CO2はほとんど発生せず、熱源の枯渇が無い限り半永久的に利用可能であり、出力が安定していることが特徴でありましたが、地層の特殊性に恵まれた発電方法であり、どの地域でも容易にできるものではないと考えます。
次に、(株)日田ウッドパワー 日田バイオマス発電所では、出力12,000kwの発電をしております。燃料の木質チップは、建築土木廃材が主体で、林地残材は搬入コストが高いのがネックとなり、あまり使われておりませんでした。そのほか、従業員雇用の面では、地元に貢献しておりました。本県の場合、林地残材等の木質バイオマスは、比較的豊富にあることから、これらを活用できるようにするためにも、森林からの搬入コストをどう縮減できるかを検討すべきであると思われます。
続いて北海道庁であります。北海道地方は、太陽光、風力、水力をはじめとする、再生可能エネルギーのポテンシャルが国内で最も高い地域であり、様々な開発が進んでおります。広い北海道においては、地域ごとに特性が異なるため、それぞれの地域に適した自然エネルギー源があり、道において、それらを活かしたモデルプランを策定し取り組まれておりました。課題としては、ポテンシャルが高い地方部からの送電網と本州への送電設備が脆弱であることがあげられ、その解決は容易ではないようであります。
次に、小樽エネルギーセンターでは、天然ガスコージェネレーションにより出力12,000kwの発電をしており、大規模商業施設であるウィングベイ小樽に全面的にエネルギー供給しておりました。いわゆる分散型の発電設備であります。供給先には275戸のマンションも含まれ、北海道電力からの供給のみに頼るのではなく、独自発電設備による、エネルギーの複線化を実現し、エネルギーコスト削減のみならず、危機管理にも対応した有益なシステム方式でありました。この取り組みは、本県においても、様々な観点から、検討する余地があるものと考えます。
次に、新千歳空港では、冬季の降雪を保存し、夏季の空調の冷熱源として利用しております。邪魔者である除雪した雪を逆手にとった、まさに地域性豊かな手法でありました。本県とは気候は異なるものの、山間部など降雪地域であれば検討する余地はあるものと考えます。
続いて、県内調査結果であります。
石見銀山農業協同組合 三瓶小水力発電所では、砂防ダムを水源として、有効落差70.9m、水路延長2,217mで、出力210kwの発電をしております。老朽化による修繕費の増大と水源地や水路を含めた日常の設備管理のための費用負担が大きく、採算がとれないとのことでありました。ただ、再生可能エネルギー固定買い取り制度の適用要件が緩和されたことから、今後は、既存の発電所でも適用に向けて設備更新の具体的な検討が進むものと期待されます。また、県内の小水力発電のポテンシャルは高く、具体的な適地を抽出し、開発を進める必要があるものと考えます。
次に、中国電力(株)三隅火力発電所では、燃料の石炭に、林地残材などを粉砕した木質チップを混合して、燃焼させる実験を実施しております。石炭使用量年間250万tで、木質チップ混合率は約2%であります。ただし、燃料として使用するためには、ボイラーの破損防止のため、混焼させるチップの含水率の管理や異物混入の防止等、厳格な管理が必要であるということであります。
次に、県企業局西部事務所 高野山風力発電所では、出力2,300kwの風車が9基で20,700kwの発電をしております。風速3mから25mで運転を実施し、設備利用率18.3%であります。風車は欧州製であり、気候の違いから故障が多くありましたが、改良を重ね、利用率はかなり向上できたようであります。課題として、適切なメンテナンスや故障時の早期復旧が今後の稼働率アップのカギを握るようであります。また、風力発電事業の計画にあたっては、周辺環境に与える影響が大きいことから、事前調査の精度の向上や立地地域の理解を得ることなど、慎重に検討すべきものと考えます。
次に、実地調査のほかに、参考人として、中国経済産業局増本参事官から意見聴取しております。その中では、再生可能エネルギーのメリットとして、温室効果ガスの排出が少ないこと、資源の枯渇が無いことなどが挙げられる一方、天候に左右され、電力供給が不安定となるものも多く含まれることや景観や環境への影響が懸念されることなどのデメリットも紹介されました。また、着手のための課題として、土地の確保をはじめ、長い準備期間と多大な投資が必要であることなどの説明を受けました。
最後に、以上の調査結果を踏まえ、先に述べた個々の意見も含め、本委員会としての総括的な意見、要望を申し述べます。
昨年、民主党政権において「革新的エネルギー・環境戦略」が発表されました。しかしながら、その後、政権交代もあり、原子力発電のあり方や、輸入に頼る化石燃料の安定的確保とCO2削減の問題、再生可能エネルギーに関するコストや技術的な問題など、これからのエネルギー政策は未だ不透明な状況下にあります。
また、再生可能エネルギーは、現在実用化されているもののほか、波力をはじめとする海洋エネルギーなどまだまだ研究開発途上であります。
このように、エネルギー政策の方向性は不透明ながらも、我が国は、東日本大震災、福島原発事故を経験し、再生可能エネルギーの導入、開発は不可欠であり、これを推進しなければならないことは異論のないところであります。
執行部におかれては、再生可能エネルギーの活用推進が、今後の経済成長の一翼を担う可能性もあることを考慮しつつ、本県で現在進められている施策の充実に、また本県の地域特性を活かした発電手法の情報収集、調査研究に一層努められることを要望いたします。
以上が、本委員会の調査テーマに関する調査結果の報告であります。
以上、総務委員会における審査の概要等を申し述べ、委員長報告といたします。
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