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決算特別委員長報告

 

    決算特別委員長報告 平成23年11月定例会(12月16日)

                                                        

 決算特別委員長報告をいたします。

 

  本年9月定例会において本委員会に付託されました一般会計及び特別会計並びに公営企業会計に係る平成22年度の決算の認定議案6件につきましては、決算審査の結果を平成24年度の予算に反映させるべく精力的に審査・調査を行ってきたところであります。

 以下、その経過及び結果について申し上げます。   

 

 初めに、平成22年度の決算の概要についてであります。

 一般会計の歳入総額は5,631億円余、歳出総額は5,487億円余であり、主に国の経済対策に係る国庫支出金の減により、前年度に比べて歳入は3.4%、歳出は4.7%減少しました。翌年度に繰り越すべき財源を差し引いた実質収支額は42億円余の歳入超過でありました。

 証紙特別会計など11の特別会計を合算した歳入総額は1,463億円余、歳出総額は1,399億円余であり、こちらも前年度に比べて、歳入は1.8%、歳出は2.6%減少し、実質収支額は62億円余の歳入超過でありました。

 平成22年度決算に係る財政健全化判断比率については、実質赤字比率及び連結実質赤字比率については該当がなく、実質公債費比率及び将来負担比率については、いずれも早期健全化基準を下回っており、数値的に改善の傾向にありますが、実質公債費比率17%は、全国では39位と依然厳しい状況にあります。

 また、平成22年度末の基金残高は290億円余であり、財政健全化集中改革期間中の目標とされている額を確保していますが、地方債現在高は依然として多額であり、今後も厳しい財政運営が避けられないものと考えます。

 

 次に、公営企業会計の決算についてであります。

 まず、病院事業会計についてですが、中央病院では、診療報酬のプラス改定や患者数の増、また経営努力などにより24年ぶりに黒字を計上し、純利益は4億円余でありました。累積欠損金は130億円余となりましたが、減価償却費など現金支出を伴わない費用を除いた償却前損益は21億円余の黒字でありました。

 こころの医療センターについては、純損失が2億円余であり、累積欠損金は27億円余となりましたが、償却前損益は7千万円余の黒字でありました。

 企業局所管の電気事業、工業用水道事業、水道事業及び宅地造成事業についての各事業会計の営業実績は、電気事業は純利益2千万円余、工業用水道事業は純損失2千万円余、水道事業は純利益9千万円余、宅地造成事業は純利益1千万円余でありました。

 

  本委員会におきましては、全体会及び4つの分科会において、平成22年度に係る予算執行が、議会の議決の趣旨及び関係法令等の規定に従い、適正かつ効率的に行われたか、施策の効果が十分上がったか、また、今後改善を要する点は何か、などの諸点に視点を置いて、関係各部局から各種の資料の提出を求め、詳細な説明を聴取し、また、監査委員からは、決算審査等の意見及び定期監査の結果に関する意見等について説明を受けたところであります。

 以上のような審査の結果、平成22年度決算については、いずれも賛成多数により認定すべきものと決定いたしました。

                                                                     

 今後改善すべきものとして指摘する事項は、お手元に配付の「平成22年度決算における指摘事項」のとおり、4点であります。

 初めに、一般会計及び特別会計決算に係る事項について、1点目は、「中山間地域土地境界調査等について」であります。

 中山間地域においては、森林所有者の高齢化、不在村化等により、境界の不明確化が進んでいることから、地籍調査筆界確認の円滑な実施を推進する目的で、中山間地域土地境界調査事業が実施されていますが、本事業による境界の確認を行なったときには、土地所有者間の確認書を取り交わすなど、山林境界確認の一層の明確化に努められることを求めます。

 また、森林に限らず土地の境界確認は公共事業の円滑な実施等、行政の効率化にも役立つ重要な調査であることから、関係部局での連携を図りつつ、事業主体である市町村における地籍調査事業が一層促進されるよう取り組まれることを求めます。

 2点目は、「花ふれあい公園について」です。

 花ふれあい公園は、多くの県民が花とふれあい、花に学ぶなどの各種体験を通じて、園芸や自然に興味を持ってもらえる場として平成16年に開園し、指定管理者制度により運営されておりますが、初年度は11万人余りであった入園者が、近年は6万人余りで推移しております。

 執行部におかれては、費用対効果等も念頭に置きつつ、本施設の設置目的や実情等を踏まえながら、より一層、本県における花きの普及や消費拡大等が図られるよう、効果的な活用に取り組まれることを求めます。

 3点目は、「土木部公共事業費について」です。

 土木部の公共事業費については、昨年度も「石見・隠岐地方や中山間地域の実態を勘案した予算配分や県内各地域の特性に配慮した執行に努められたい。」との指摘をいたしました。

 これに対して、国庫補助事業や交付金事業の積極的な導入などにより事業量の確保が図られ、全体事業費に占める石見・隠岐地域の割合についても配慮がなされたことは、一定の評価をするものであります。

 しかしながら、本県、特に、中山間地域の道路を始めとする社会資本については、整備の推進が必要であり、また、近年の気候事象の変化や東日本大震災の状況等から、施設の維持管理や道路防災、砂防、河川事業等の拡充が必要とされており、今後の予算配分については、整備が遅れている地域の実態や整備状況を勘案するとともに、安全な生活基盤の確保のために必要な事業の推進を図るよう努められることを求めます。

 最後に、公営企業会計決算に係る事項、「企業債における政府資金の繰り上げ償還について」であります。

 中央病院及びこころの医療センターにおいては、主に新病院建設に伴って調達した企業債324億円余のうち、282億円余が高利率の政府資金であります。

 現在、地元の金融機関においても低利率での融資が可能であると考えられるため、このまま高利率の政府資金の返済を続けることは望ましくないと考えますが、政府資金の繰り上げ償還に当たって現行制度では、原則として高額な補償金の支払い義務が生じることとなっており、病院局では、この制度の要件緩和等を国へ要望されてきておりますが、今後さらなる働きかけによって制度改正が行われ、繰り上げ償還によって有効な事業展開が図られるよう期待するものであります。

                                 

 以上、申し述べました指摘事項を始め、委員会審査の過程において出された各委員の意見や要望等について十分に配慮し、本委員会の設置の趣旨を踏まえ、審査の結果等を平成24年度の予算に反映されるよう要請いたします。

 

 本年は、財政健全化方針に係る集中改革期間の最終年度であり、また、総合発展計画の第1次実施計画期間の最終年度でもあります。

 景気動向は、東日本大震災の影響から持ち直しつつあるものの、円高、欧州の金融危機などにより、依然として厳しく、また、TPP交渉への参加、社会保障と税の一体改革、地方財政対策等、国の動向も極めて不透明な状況にあります。

 このような状況のなか、執行部におかれては、財政健全化の取り組みの新たな方策や総合発展計画の第2次実施計画を策定中でありますが、今後の社会・経済情勢の変化や国の動向等を的確にとらえ、機動的かつ適切な県政運営により、県財政の健全化と本県の総合的発展の両立が実現することを期待いたしまして、決算特別委員長報告といたします。

 

【平成22年度決算における指摘事項】

                              

(一般会計及び特別会計決算)

1 中山間地域土地境界調査等について

 森林所有者の高齢化、不在村化等から、境界の不明確化が進み、将来の公益的機能の発揮に支障が生じるおそれがあることから、中山間地域における森林の適正管理を推進するとともに、地籍調査筆界確認の円滑な実施を推進する目的で中山間地域土地境界調査事業が実施されているが、本事業による境界の確認を行なったときには、土地所有者間の確認書を取り交わすなど、山林境界確認の一層の明確化に努められたい。

 また、森林に限らず土地の境界確認は公共事業の円滑な実施等、行政の効率化にも役立つ重要な調査であることから、関係部局での連携を図りつつ、事業主体である市町村における地籍調査事業が一層促進されるよう取り組まれたい。

 

2 花ふれあい公園について

 花ふれあい公園は、平成16年に開園し、指定管理者制度により運営され、初年度は11万人余りの入園者があった。

 この花ふれあい公園は、多くの県民が花とふれあい、花に学ぶ等の各種体験を通じて、園芸や自然に興味を持ってもらえる場として、一定の効果を果たしてきたものである。

 しかしながら、開園から7年余りが経過し、近年は入園者が6万人余りで推移していることから、執行部においては、費用対効果等も念頭に置きつつ、本施設の設置目的や実情等を踏まえながら、より一層、本県における花きの普及や消費拡大等が図られるよう効果的な活用に取り組まれたい。

 

3 土木部公共事業費について

 土木部の公共事業費については、国庫補助事業や交付金事業の積極的な導入などにより事業量の確保に努め、松江だんだん道路等の大規

模プロジェクトや災害復旧を除いた平成22年度の事業費は、平成19年度と比較すると、県内7圏域すべてにおいて増加したところである。

 しかしながら、本県の社会資本整備は、依然として遅れており今後とも整備を着実に進める必要があり、特に、中山間地域の道路を始めとする社会資本については、低位な状況にあることから整備の推進が必要である。

 また、近年の気候事象の変化や東日本大震災の状況等から、県民の安全・安心の確保のため、施設の維持管理や道路防災、砂防、河川事業等の拡充が必要とされている。

 このため、今後の土木部公共事業費の予算配分については、整備が遅れている地域の実態、整備状況を勘案するとともに、安全な生活基盤の確保のために必要な事業の推進を図るよう努められたい。

 

(公営企業会計決算)

1 企業債における政府資金の繰り上げ償還について

 中央病院及びこころの医療センターにおいては、主に新病院建設に伴って調達した企業債が、両病院をあわせて324億円余あるが、そのうち282億円余が高利率の政府資金である。

 近年においては基準貸付利率(旧公定歩合)の引き下げなどにより、地元の金融機関においても低利率での融資が可能であると考えられるため、このまま高利率の政府資金の返済を続けることは望ましくない。

 しかしながら、政府資金の繰り上げ償還に当たっては、現行制度においては、原則として高額な補償金の支払い義務が生じることとなっている。病院局におかれては、これまでも関係団体を通じてこの制度の要件緩和等を国へ要望されてきたところであるが、今後さらなる働きかけによって制度改正が行われ、繰り上げ償還によって有効な事業展開が図られるよう期待するものである。

 

 

 

 


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