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決算特別委員長報告

 

決算特別委員長報平成20年11月定例会

 

 決算特別委員長報告をいたします。

 

本年9月定例会で付託された公営企業会計並びに今定例会で付託された一般会計及び特別会計に係る平成19年度の決算の認定議案6件につきましては、本年9月、決算特別委員会を設置して以来、決算審査の結果を平成21年度の予算に反映させるべく精力的に審議・調査を行ってきたところであります。

 以下その経過及び結果について申し上げますが、はじめに、国及び本県の財政、経済等の状況について申し上げます。

 

 政府においては、「経済財政改革の基本方針2008」が本年6月に閣議決定され、平成21年度予算についても、この「基本方針2008」を踏まえ、引き続き歳出予算の削減を行い、財政健全化に努力していくこととされました。

 また、道路特定財源については、本年5月の道路財源特例法の再議決の際、「道路特定財源等に関する基本方針」が閣議決定され、平成21年度から一般財源化されることとなりました。

 県では、昨年来、道路財源確保に向けた要請活動を行ってきたところですが、政府・与党では、様々な議論を経て、今月8日には、1兆円規模の「地域活力基盤創造交付金」を新たに創設することなどを盛り込んだ改革方針を正式決定しました。

 また、経済対策として、8月には「安心実現のための緊急総合対策」が策定され、これを受けて国の第1次補正予算が10月に成立し、本県でも補正予算が今議会に上程されています。さらに本年9月中旬以降、世界的な金融危機が実体経済に深刻な影響を及ぼしつつあり、景気後退傾向が鮮明になってきていることなどから、10月には、総額2兆円の生活支援定額給付金の実施などを内容とする「生活対策」が打ち出されたところであり、これを受けた国の第2次補正予算も予定されています。

 

 一方、地方財政の現状は、大幅な財源不足と高い公債依存度、多額の借入金残高と、依然厳しい状況にあります。

 本県の財政も、国が進めている国、地方を通じた歳出改革に伴い、今後とも厳しい状況が続くものと見込まれており、昨年10月に策定された「財政健全化基本方針」に基づき、平成20年度から平成23年度までの4年間を集中改革期間とし、抜本的な改革の取り組みがなされているところです。

 

 以下、平成19年度における歳入歳出決算について、申し述べます。

 まず、一般会計についてであります。歳入総額5,165億円余、歳出総額5,122億円余。翌年度に繰り越すべき財源を差し引いた実質収支は26億円余の黒字でありました。また、10の特別会計を合算した歳入総額1,330億円余、歳出総額1,251億円余、実質収支は78億円余の黒字を計上しております。

 このたび公表された財政健全化法に基づく平成19年度決算に係る健全化判断比率等は、いずれも早期健全化基準等を下回っていますが、今後とも厳しい財政状況が続くものと見込まれることから、「財政健全化基本方針」に基づき抜本的な改革に取り組み、収支改善を図り、「基本方針」が掲げる目標を達成されることを要望します。

 なお、県民への影響が大きい公共事業費や補助金の削減等を行うに当たっては、県民に十分説明するなど配慮するとともに、地域経済や県民生活の極めて厳しい現状を勘案して、「基本方針」を尊重しつつも、国の経済対策にも即応しながら、県として積極的かつ柔軟な対応を検討されるようあわせて要望します。

 

 次に、病院事業会計の決算についてであります。

 中央病院については、単年度で純損失を2億円余計上し、累積欠損金は126億円余となっております。

 こころの医療センターについては、単年度で純損失が3億円余となり、累積欠損金は20億円余となっております。

 病院事業については、国の総医療費抑制策による診療報酬の改定、医療従事者の確保の困難性など病院経営を取り巻く環境は依然厳しい状況にある中、経営努力の跡は窺えますが、平成19年4月から地方公営企業法の全部適用が導入され、現場の判断でより迅速かつ柔軟な病院経営が可能な体制となったメリットを最大限活かして自立的経営を推進し、県民への良質な医療の提供及びサービスの向上に努められることを要望します。

 なお、中央病院については、医師不足が続いている状況に鑑み医師の確保及び平成21年4月からの「7対1」看護配置に向けての看護師の確保、増員に対応した看護体制の確保に努められることを要望します。

 こころの医療センターについては、建物や設備の維持管理等の業務については、県内で初めてPFI事業により実施されていますが、入院患者や外来患者が、安心して必要な診療を受けることのできる環境を確保するためには、診療体制の充実とともにPFI事業の円滑な推進が重要ですので、病院側とPFI事業者が緊密な連携のもとに病院運営に取り組まれることを要望します。

 

 次に、電気事業会計、工業用水道事業会計、水道事業会計及び宅地造成事業会計の決算についてであります。

 各事業会計の営業実績は、電気事業は純利益4千万円余、工業用水道事業は純損失2千万円余、水道事業は純利益3億8千万円余、宅地造成事業は純利益9百万円余を計上しております。

 

 企業局の今後の事業運営においては、電力自由化の進展による価格競争への対応や江津高野山風力発電所の円滑な運転開始、斐伊川水道建設事業の供用開始に向けた参画市町との調整などの課題があり、県財政がますます厳しくなる中、経済効率性と公共性を最大限に発揮して事業運営に当たられることを要望します。

 特に風力発電事業については、赤字が続いている隠岐大峯山風力発電所の収支をできる限り改善するとともに、これから運転開始する江津高野山風力発電所の収益により、全体として黒字にするとのことでありますが、今後、企業局におかれては、この実現に向けて責任を持って対応されるよう強く求めます。

 

本委員会におきましては、委員会及び4つの分科会において、平成19年度に係る予算執行が議会の議決の趣旨及び関係法令等の規定に従い、適正かつ効率的に行われたか、施策の効果が十分上がったか、また、今後改善を要する点は何か、などの諸点に視点を置いて、出納局及び関係各部局長から各種の資料の提出を求め、詳細な説明を聴取しました。

 さらに、監査委員からは、決算審査の意見について説明を聴取するとともに、監査の途上で気づかれた「組織及び運営の合理化に資するための意見」の説明を受けたところであります。この意見に対する改善措置について、執行部におかれては、すぐに対応できるもの、年度内に対応するもの、少し時間をかけて検討する必要のあるものなど、内容に応じ、できうる限り速やかに実行に移されるよう求めます。

 その結果、平成19年度決算については、いずれも賛成多数により認定すべきものと決定いたしました。

なお、今後改善すべきものとして指摘した事項は、お手元に配布しております「平成19年度決算における指摘事項」のとおりであります。これらの事項を速やかに改善されるとともに、本委員会の設置の趣旨を踏まえ、審査の結果等を平成21年度の予算に反映されるよう要請し、決算特別委員長報告といたします。

 

 


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