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総務委員長報告


総務委員長報平成16年6月定例会


総務委員長報告をいたします。

総務委員会に付託されました議案の審査経過並びに結果について、ご報告申し上げます。
今定例会において本委員会に付託されました議案は、知事提出議案として条例案8件、一般事件案12件、及び議員提出議案として条例案1件、意見書案1件の計22件であります。

まず、知事提出の議案20件について、審査結果を申し上げます。
「島根県産業廃棄物減量税条例案」をはじめ条例案8件、及び市町村合併に伴う「市町村等の廃置分合議案」8件を含む一般事件案12件について、それぞれ、執行部に説明を求め、慎重に審査いたしました結果、いずれの議案についても全会一致をもって原案のとおり可決すべきものと決定いたしました。

続いて、議員提出の議案2件について、審査結果を申し上げます。
議員提出第9号議案「島根県が行う入札及び契約に関し基本的事項を定める条例案」については、採決の結果、賛成少数により否決すべきものと決定しました。
また、議員提出第10号議案「国家国民のための日本郵政公社の民営化に反対する意見書案」については、全会一致をもって原案のとおり可決すべきものと決定をいたしました。

次に、請願の審査結果について申し上げます。
継続審査中の請願3件のうち、請願第29号「寒冷地手当の見直しを行わず、改善を求める意見書の採択」を求める請願についてであります。執行部から「本県においては先般、寒冷地手当廃止の方針を決定した。」との報告があり、この請願については不採択といたしました。請願第24号及び第26号の2件については、引き続き継続審査といたしました。

以上の議案の審査過程での執行部からの説明、委員からの質疑、意見、要望事項のうち、主なものについて、ご報告いたします。

まず、本県初の法定外目的税である「島根県産業廃棄物減量税条例案」についてであります。
この条例案の概要は、産業廃棄物を最終処分場へ搬入する際に、産業廃棄物1トンにつき1,000円を徴収するものですが、この税率については、1年目、333円。2年目、666円。3年目から1,000円にすることとされております。なお、排出事業者が自社最終処分場において処理する場合も課税対象とされています。
執行部からは、「産業廃棄物の発生抑制、再使用及び再生利用の促進手法」及び「産業廃棄物対策の財源確保策」として、本年3月の島根県地域環境税制懇話会からの報告を受け、産業廃棄物に関する新たな税制度として公表し、パブリックコメント等で寄せられた要望や意見などについて検討を行ったうえで最終的に決定した。また、条例の施行日は、総務大臣の同意が必要なことから規則で定めることとしているが、平成17年4月を予定している。」との説明がありました。
また、この条例案については、中国電力(株)から本議会に対して意見書が提出されておりますが、この意見に対する執行部の考え方も合わせて説明がありました。
委員からは、「三隅火力発電所における自社処分の現状や他県における取り扱い、また、申告納付における確認方法」などについて質問があり、執行部からは、「平成15年度の実績は、三隅火電から排出されるものが14万5千トン、県外から三隅火電の処分場に入るものが5万トン、中国電力が他県の処分場において処分している量は、10万8千トンであり、他県での処分にはトン当たり1,000円の産廃税を既に負担されている。また、申告納付の場合は、処分場の最終処分量が決まっていることから最終的には確認できるが、各年度の処分量は現場確認を行う。」などの説明がありました。

今後、この条例案を契機に、本県における産業廃棄物の発生抑制や再使用・再生利用など、産業廃棄物対策が大きく進展するよう期待するものであります。

次に、議員提出第9号議案「島根県が行う入札及び契約に関し基本的事項を定める条例案」についてであります。
この条例案の目的は、県が行う入札や契約の適正化の確保と、県内産業の振興、環境保全の推進、少子高齢化社会への対応、男女共同参画社会の推進、労働者福祉の増進などの、県の行政目的を達成するために、県が行う入札や契約にあたって、一定の方向付けをしようとするものであります。
委員からは、「趣旨は良く分かるが、現在、県内の中小企業は大変な状況にあり、この時期に条例化すれば、さらに負担を強いいることになることから、慎重に対応すべき。」などの意見がありました。
提案者の委員からは、「県の行政目的達成を考慮した入札制度などのへの取り組みが弱いため、その促進に向けて理念を示すためにも条例化すべきである。」などの意見がありました。
執行部からは、「土木及び農林の発注工事においては、政策誘導の視点から、入札参加資格の認定において、既にISOの認証取得を考慮するなどの措置を執っている。さらに17・18年度の入札参加資格の認定においては、障害者雇用なども考慮したものにすべく検討することとしている。」との報告がありました。
この条例案については、本委員会での審査結果は否決となりましたが、委員や執行部から条例案の目的や理念(精神)を否定する意見等は出されなかったことを申し添えておきます。

 

次に、「職員の給料の特例に関する条例の一部を改正する条例案(職員給料のカット律の引き上げ)」に関連して委員からは、「職員の給料の減額率については、県の「中期財政改革基本方針」骨子(案)に基づいた労使交渉の結果であるが、例えば、年末予算編成時期になって、昨年の地財ショックと同じようなことを受けて、更に改正する様なことにならないように、国の地方財政への考え方を十分に把握されたい。また、地方交付税については、行革の努力を行っている地方自治体にインセンティブが働いていくであろうから、本県としても、しっかりと行革の努力をして欲しい。」との意見がありました。

続いて、所管事項調査に関連して執行部から報告のありました2点について報告いたします。
 
1点目は、「水と緑の森づくり税(仮称)」構想についてであります。
この構想は、新たな税による財源を活用して荒廃した森林の機能再生を行おうとするするものであり、「森づくり・森林利用への県民参画」、「水を育む県民みんなの緑豊かな森への転換」、「豊かな森を育む工夫」の三つの柱から成っております。
執行部からは、「課税方式は、個人県民税及び法人県民税の均等割超過課税として、個人からは年額500円を、法人からは均等割額の5パーセント相当額を徴収しようとするものであり、税収の規模は、約1億6千万円程度を予定している。また、税収の管理は新たに基金を設置して行うこととし、当面の実施期間は5年間を予定している。」などの説明がありました。

委員から、「県民税の超過課税とした理由や、税の使途対象となる森林の範囲等」について質問があり、これに対して執行部からは、「水道に課税する方式も検討したが、水道の普及率に格差があることや井戸等の自己水源の場合には課税できないなど公平性の観点から問題があること。税の使途対象の森林は、国有林を除く全ての森林を対象と考えている。」などの答弁がありました。
この他、委員からは、「森林の荒廃は間伐が進まない点にもある。公共事業等に間伐材を利用するなどの取り組みにより、間伐材の利用の促進が進めばより効果が上がるのではないか。」との意見や「公益性の確保と森林が持続的に守られるような仕組みが促されるような事業の展開」や「森林・林業が産業として成り立つような施策や県民に分かりやすい説明」との意見のほか、「この取り組みが刺激となって、県民の森林に対する認識が変われば、効果は非常に大きなものがある。」など、この構想に対する期待などの意見がありました。
また、この構想に対して、より多くの県民が参加できるようなパブリックコメントの手法についても工夫してほしいとの要望がありました。

2点目は、「警察署再編計画」についてであります。
警察署再編計画については、本年3月の総務委員会でも説明があったところですが、警察本部からは、「3月に示した再編計画に対するパブリックコメントを実施するなど、広く県民からの意見や要望等を聴取し、これら意見や要望等も踏まえ総合的な再編の是非を検討したところ、厳しい治安情勢の中で良好な治安を広く等しく県民が享受するためには、治安の現場強化を主眼とする警察署の再編は避けて通ることができない結論に達し、17署中5署を近隣警察署に統合再編すること。また、警察署を廃止する地域には、治安レベルが低下しないよう必要な機能を有する交番を設置すること。さらに、再編時期は平成17年4月とし、これに向けて9月県議会には条例改正案を提案する考えにあること。」等の説明がありました。

この再編計画に対して委員から、「再編対象地域を中心に警察署がなくなることへの住民不安が強まっているが、この不安解消への対応」について質問がありました。これに対して警察本部からは、「従来から出来うる範囲内での説明はしてきたが、今後、策定した再編計画について、あらゆる機会を通じて説明をしていく。」との答弁がありました。これに関連して別の委員からは、「新たに設置される交番の内、一部については夜間不在となり、住民不安が強まることから、24時間体制の維持を求める。」との強い意見がありました。これに対して警察本部からは、「勤務時間のシフトや本署パトカー等によるパトロール活動、さらには交番員の待機制度の導入等により柔軟に対応する。」との答弁がありました。
また、別の委員からは、「警察署、交番のほか駐在所のあり方も踏まえて、トータル的に治安対策を検討すべきではないか。」といった質問があり、これに対して警察本部からは、「地域に応じて個別具体的な検討を要するが、基本的には駐在所の役割等についても県民に説明していく。」との答弁がありました。
この他にも、「安全の確保には、地域住民とのネットワークの構築が前提となるので、警察署の再編後も地域に根ざした取り組みが必要である。」との意見や「現在の警察署が設置されて以降50年が経過しているという歴史を踏まえれば、廃止対象警察署の地元住民を中心に相当の不安感があることから、今後、地域住民に対して理解と納得の得られる説明を強くお願いする。」との要望などがありました。

最後に、委員の一人から、「かって、松平不昧公時代に、松江藩が倒産の危機に瀕した際、「貨殖理財に努めよ」と号令するとともに、藩民に対しては、なぜこうしなければいけないかをしっかり説明するとともに『お互いがんばりましょう。』と言って、徹底した金融政策と、藩直営の産業おこしの組織を作り、大胆な行財政改革と産業振興策により見事財政再建を果たした。
その結果、この議会棟のあるところに金蔵が建ったとのことであり、今回の行財政改革にあたっても是非、不退転の決意で取り組んで欲しい。」との逸話を交えた要望がありました。

執行部におかれては、本委員会の審査の過程を通じて、それぞれの委員から出された意見や要望を真摯に受け止められて、一刻も早く財政再建の道筋を県民に示していただくことが喫緊の課題となっております。

以上、総務委員会における審査の概要等を申し述べ、委員長報告を終わります。

 


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