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須山議員

(問)教職員の働き方改革プランについて

1.教職員の時間外勤務について、目標数値を掲げるに至った経緯を伺う。

2.中学校及び高等学校の現在の時間外月平均75時間が1年でどの程度縮減できるのか伺う。また、「時間外の月当たりの上限45時間」の実現可能性と、いつまでにそれを達成しようとしているのか伺う。

3.「公立学校の教師の勤務時間の上限に関するガイドライン」を実効あるものにするため、財源と施策をセットで提示すべきと国に対し強く要請する必要があると思うが、所見を伺う。

 

(答)教育長

1.教職員の働き方改革プランにつきまして、3点のご質問にお答えいたします。

 まず、目標数値の設定の経緯についてであります。

 教職員の時間外勤務の縮減に向けた数値目標につきましては、11月定例議会での議員からのご質問にお答えしましたとおり、中央教育審議会における審議の方向性なども参考にしながら、実効性のある設定となるようにすること。

 また目標の定め方としては、たとえば、「何パーセント削減する」、「何時間削減する」、「数年かけて段階的に達成する」などが考えられること。

 こうしたことなどを踏まえまして、素案を策定いたしました。

 12月には、3回目の「学校業務改善推進委員会」を開催し、素案に対する意見等を伺ったところであります。

 働き方改革プランの現時点での案では、国の「公立学校の教師の勤務時間の上限に関するガイドライン」を参考としつつ、県内の学校の実情、例えば、

 1つ、重点モデル校に指定した4校での業務改善の状況

 1つ、教員の負担軽減を図るためのスクール・サポート・スタッフや業務アシスタントの活用状況

 1つ、部活動における「活動時間のガイドライン」や外部人材の活用方策

 1つ、学校行事の精選、校務の整理やシステム活用などによる時間外勤務の縮減効果

 などを整理し、案に掲載した目標値にしたところであります。

 

2.次に、数値目標の実現可能性と達成時期についてであります。

 昨年5月に行いました「教職員の勤務時間調査」では、時間外勤務時間の月あたりの平均は、小学校で約65時間、中学校で約75時間、高等学校で約75時間、特別支援学校で約44時間となっており、校種によって差異が見受けられる状況でありました。

 教育現場では、「子どものために」という強い使命感と責任感から、あらゆる業務を教員自らの業務とみなして、業務の範囲と勤務時間を拡大し続ける状況になっているものと受け止めております。

 教職員の働き方改革プランの案では、具体的な数値目標の柱を「月当たりの時間外勤務の時間の上限の目安は、原則45時間、原則年360時間以内」としております。そして来年度からの3年間を重点期間と位置づけ、目標の達成に向けて1年ごとにそれぞれ15%、30%、30%以上と、段階的に縮減を図る計画であります。

 これが達成できますと、月当たりの平均は、およそ45時間となります。

 この目標の達成に向けまして、プランの案ではでは、例えば、次のような取組を進めることとしております。

 1つ、業務アシスタント及びスクール・サポート・スタッフの配置による負担の軽減

 1つ、小学校英語専科教員配置による負担軽減

 1つ、運動部及び文化部の部活動指導員の活用

 1つ、調査、報告書などの作成時間の削減

 などであります。

 こうした取組を行った場合、あくまでも試算であり、また学校によって差が生じるものと考えられますが、1月あたり、小学校で18時間、中学校で17時間、高等学校で20時間、特別支援学校で8時間の縮減が可能になると試算しております。

 これによりまして、縮減後の時間外勤務の時間数を試算しますと、教職員の働き方改革プラン案において、取組の1年目となる平成31年度の縮減目標の目安としております「時間外勤務15%削減、月平均55時間以内」という数値は、平成31年度に達成可能なものと考えております。

 さらに平成32年度以降、月45時間に近づけるためには、時間外勤務が極端に多い教職員の負担軽減のための取組を引き続き進めるとともに、学校組織を挙げて働き方改革の機運を盛り上げ、子どもたちと向き合う時間を創り出していくという共通認識のもと、教職員がチームとして長時間勤務の是正に取り組むことが必要であります。

 次に、目標の達成時期について現時点での整理とその考え方についてお答えいたします。

 この重点期間の3年間の取組では、教職員の時間外勤務の時間の「平均値」での達成を目指しております。

 これは、児童・生徒に係る臨時的な特別な事情により、これを超える時間、勤務せざるを得ない場合の上限を例えば100時間未満とするなど、上限を別に定めていることから、個人ごとの時間管理と必ずしも一致しないこと、また教職員が知恵を出し合い、協力し合いながら「チーム学校」として取り組むには、平均値がふさわしいと考えられることなどから判断したものであります。

 議員からお尋ねがありました「上限45時間」は「すべての教職員が達成する状態が目指すべき姿である」とのお考えでのご質問であろうと思います。そうした目標につきましては、2021年度までの重点期間における取組状況を検証の上、2022年度以降の「次期プラン」の基本方針での設定を検討することになるものと考えております。

 

3.次に、国に対して財源と施策をセットにして地方に提示するよう強く要請することについてであります。

 教職員の働き方改革を進めるにあたりましては、県や市町村教育委員会の施策及び各学校での意識改革と努力だけでは実現することは難しいものと考えております。

 これまで、県の重点要望のほか、全国都道府県教育委員会連合会を通して、国に対し定数改善や財源措置に向けた要望を行っているところでありますが、引き続き教育委員会といたしましては「働き方改革」という視点から、国において対応されるべき必要な取組を強く要望して参りたいと考えております。

 

(再質問)11月定例会での説明と、今回の働き方改革プランの数値目標はダブルスタンダードとならないのか伺う。

 

(答)教育長

 11月県議会における私の答弁と、本日の答弁の齟齬ではないかということについて再質問をいただきました。

 11月議会におきまして、議員からお尋ねのありました際には、人事委員会規則において講じられている措置という議論での答弁をさせていただいたところでございます。人事委員会規則において講じられる措置は、超過勤務命令を行うことができる上限について月45時間、年360時間を原則とし、本年の4月、31年度から実施するものでございました。学校現場において、来年度から直ちにこの月45時間、年360時間を実施する、こうした措置をとることはこれまでの働き方改革に向けた様々な議論を踏まえましても現実的な対応はできないであろうという考えから、11月議会におきましての議員からのご質問に対しましては、県の人事委員会規則の改正に際して教育職員を対象に加えることは難しいものと考えます、そういった趣旨のお答えをいたしました。

 現在の策定中の県のプランの案におきましては、先ほど答弁いたしましたとおり、来年度から3年間を重点期間と位置付けて、段階的に縮減を図ろうと考えているところであり、現在お示ししておりますプランの案におきましても、そのことを明記しております。

 


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