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田中八洲男議員

(問)学校教育費と教育の成果について

1.小・中・高校とも、在学者一人あたりの教育費について島根県が全国トップレベルにあるが、原因、理由を伺う。

2.文部科学省発表データによると、人口、学校教育費総額、在学者数、学級数は上位グループと下位グループが一致しているが、一人あたりの教育費は一致していないのはどのような原因・理由が考えられるのか伺う。

3.学力テストで比較的成績の良い福井、秋田、富山、石川の各県は人口の少ないグループに属するが、一人あたりの学校教育費が高くないのは、基本的な姿勢に違いがあるのか、所見を伺う。

4.学力の向上について、ここ数年どのような施策をとってきたのか、また、成果及び今後の方針を伺う。

 

(答)教育長

1.お尋ねのありました学校教育費は、文部科学省が毎年度実施している地方教育費調査のなかの調査事項の1つであり、支出項目の分類としましては、人件費、教育活動費、施設の維持管理経費、給食関係経費、施設の大規模改修経費、債務償還費などがございます。

 平成28年度調査の確定値を既に公表されていますが、それによりますと、島根県の在学者一人当たりの費用が、全国平均を大きく上回っている項目は、人件費、施設の大規模改修経費、債務償還費であります。これら3つの経費は、学校教育費全体に占める割合は全国的にも高くございます。

また、教育活動費、施設の維持管理経費、給食関係経費は、全国平均並み、あるいは平均を若干上回る程度であります。

これらのことから、児童生徒数の減少により、校種を問わず小規模校が多いことが、島根県の在学者一人当たりの教育費を高くする主な要因であり、教育費全体に占める割合が高い人件費、施設の大規模改修経費、債務償還費が強く影響をしているものと考えております。

 

2.御質問の中にあった人口や在学者数など、総数としてのデータは、総じて最大値と最小値の差が大きい状況にあります。例えば人口では、最小の鳥取県と最大の東京都では23.5倍の開きとなっております。加えまして、これらのデータの間には相関関係がみられます。

一方、人口の多い自治体と、人口の少ない自治体の在学者一人当たりの教育費をみますと、総じて人口の多い自治体の在学者一人当たりの教育費は低い値となり、人口の少ない自治体では総じて高い値となりますが、その経費の最大値と最小値は、例えば小学校でみた場合、1.78倍に納まっており、様々な要因により順位の変動が起こりやすい状況にあるものと思われます。

 なお、在学者一人当たり経費において差が小さくなることについては、人口規模にかかわらず、国や各自治体が教育の機会を保障し一定の水準を確保していることを表しているものと考えられます。

平成28年度地方教育費調査結果を詳細にみると、人口の少ない下位グループ10県のなかでも、福井県、佐賀県、香川県では、在学者一人当たりの教育費総額の人件費などが全国平均よりも低い校種があるなど、特にばらつきがみられました。

先ほども申し上げたとおり、学校教育費では、人件費や施設の大規模改修経費、債務償還費の占める割合が高く、これらの在学者一人当たりの経費が少ない県もあることから、ばらつきが生じているものと考えております。

 

3.次に、各県の学力向上に向けた基本的な姿勢に違いがあるかとのお尋ねについてであります。

 学校教育法では、学力は「知識・技能」「思考力・判断力・表現力等」「主体的に学習に取り組む態度」の3つの要素に整理されております。

 本県では、この学力の3要素をバランスよく育むことを目指しており、島根の子どもたちに身に付けてほしい力を「主体的に課題を見つけ、様々な他者と協働しながら、定まった答のない課題にも粘り強く向かっていく力」と定めております。

 知識・技能の習得の過程で思考力・判断力・表現力などを伸ばし、学びに向かう力や人間性の涵養を図っているところでございます。

 全国の各都道府県でも、それぞれの児童生徒の実情を踏まえてさまざまな教育施策を工夫しておられますが、基本的な姿勢としては、島根県と同じく、学校教育法の規定に則っておられるものと考えております。

 

4.次に、学力向上に関する施策とその成果、今後の方針についてであります。

 平成26年度に策定しました「第2期しまね教育ビジョン21」では、「夢や希望に向かって主体的に学ぼうとする人」を育てることを教育目標として掲げております。

 そして、先ほど申し上げました学力の3要素を、知識や技能を身に付けたり、それらを活用したりする「学んだ力」と、学習意欲、知的好奇心などの「学ぶ力」の2つの柱で育成することとし、学力育成推進プランにより実施しております。

 このプランに沿って推進してきた手法の一つに、児童生徒が主体となる授業の展開があります。

 例えば、算数の授業では、まず子どもたちに、疑問点や学習課題を見つけさせ、そのあと、子どもたちが数名のグループになって、解決のための方法を考え、その答から、例えば、数式の持つ意味を考えたり、知識や技能を活用する力を育んだりする取組を進めております。

 これらの取組によりまして、子どもたちが自ら答を見いだしてそれを説明したり、グループで協働して課題を解決する力が付いてきているというような声が、学校現場から寄せられております。

 今後は、こうした力をさらに育むことができるように、小学校・中学校・高校において、より系統的な授業改善を進める事業なども計画しているところでございます。

 


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