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岩田議員

(問)エドテックについて

1.AI、IoTなどを利活用したエドテックの有効性や課題などをどのように認識しているのか伺う。

2.エドテックに関する県外での講演や講習会にどれくらい参加しているのか、その状況を伺う。

3.特別支援教育、中学校において活用の効果が大きいと考えているが、所見を伺う。

4.大型の投資をしてAI、IoTの活用に踏み出すべきと考えるが、所見を伺う。

 

(問)教員の質の確保とインクルーシブ教育について

5.教員の採用倍率のここ10年の変化を伺う。

6.教員の大量退職、それに伴う大量採用でどのようなことが教育現場で起きているのか伺う。

7.教員の資質向上のための取り組みの現状と課題を伺う。

8.今後、すべての学校の教員に特別支援の知識が必要となってくるのではないかと考えているが、所見を伺う。

 

(答)教育長

1.2つの項目に関します8点のご質問にお答えいたします。

 まず、エドテックの有効性や課題についてであります。

 エドテックは、人工知能、ビッグデータなどのさまざまな新しいテクノロジーを学校の教育活動などに活用する取組であり、教育の質の向上につながる幅広い概念であると受け止めております。

 議員ご指摘のとおり、児童生徒の学びにおいて集積・分析されたビッグデータを活用することにより、一人ひとりの習得状況に応じたきめ細かな学習指導が実現できるなど、指導の質の向上と教師の負担軽減の両面で有効な手立てとなりうると考えます。

 一方で、ビッグデータ利用活用のためのガイドライン策定、プライバシーや個人情報保護等への配慮、取組内容に応じたICT環境の整備など、課題も多いとされております。

 

2.次に、エドテックに関する講演、講習会への参加についてであります。

 新しい時代に対応したエドテックの講演や講習会は、近年、よく開催されるようになりました。現在のところ、県教育委員会の指導主事などが県内外で開催されるICT環境とその活用に関する研修や説明会などにできるだけ参加するようにしています。

 例えば今月も「ICTと映像コンテンツを活用した未来型授業の創造」をテーマとした視聴覚教育の全国大会が開かれ、これに参加したところであります。

 また、県教育センターでは、ICT環境を利用した授業改善の研修や、最新の情報機器を体験する場を設けています。

 関連する研修としましては、今年度、県立高校の普通教室にプロジェクターなどのICT機器を整備しておりますが、その利用方法について、全ての教職員を対象に研修を実施しているところであります。

 今後、ICT関連の研修などで得た情報を学校も含め関係者で共有しながら、エドテックの教育現場での有効活用について、新しい情報にも留意しながら研究してまいります。

 

3.次に、特別支援教育、中学校での活用の効果についてであります。

 県内の事例を申し上げますと、特別支援学校では、障がいの状況により通学が困難な生徒が、自宅においてインターネットを使った同時双方向通信システムにより、教室にいる友達と一緒に授業を受けております。

 また、小学校や中学校においては、特別な支援が必要な児童生徒が、通級指導教室でタブレット端末を活用して学びやすい学習方法を習得するなどしております。

 このようにICTの活用も一部では行われておりますが、エドテックを活用したさらに先進的な取組が進みますと、生徒一人ひとりの状況に応じて最適化された学びが実現されるという点で、全ての校種で効果が期待できるもの、そうした可能性があるものと考えております。

 

4.次に、今後の本県教育でのAI、IoTの活用についてであります。

 IT技術のめざましい進展によりまして、国内外の遠隔地の学校と交流学習が可能になっております。既に県内のスーパーグローバルハイスクール指定校では、遠隔通信システムを用いて、海外の高校生と交流を行っています。

 このような取組を進め、教育の質の向上を図るためにも、ICT環境の整備は重要であると考えております。

 今後は、より充実したICT環境整備に向け、検討を進めながら、同時に、AI、IoTなどエドテックに関連したさまざまな情報を収集し、島根県の教育にとって効果的な活用方法について研究していくことも必要であると考えております。

 

5.次の項目でございます。

 教員採用試験における、ここ10年の倍率の変化についてお答えいたします。

 教員採用試験の受験者全体の倍率で見ますと、平成20年度から平成25年度までに実施した試験においては、7倍前後でありましたが、平成26年度から平成29年度では5倍台となり、今年度は4.3倍となりました。

 一方、受験者数については、毎年1200名程度で、大きな変動はございませんので、ここ10年で教員採用試験の倍率が低下したのは、退職者の増加に伴い、募集人数を増やしたことによるものであると考えております。

 

6.次に、教員の大量退職、大量採用によって、教育現場で起きていることについてであります。

 島根県では、教員の退職者数の増加と、それに伴う採用者数の増加によって、経験の浅い若手教員が、学校現場に増えてきておりますが、このことによりまして、学校が活気づいているとの声も聞いているところであります。

 また、若手教員のスキルの向上に向けた学校現場における日々の指導は重要であります。このことにつきましては、初任者研修の指導教員や中堅・ベテラン教員が中心となって、その役割を担っており、若手教員の増加に伴い、指導する側に立つ教員の能力の向上も求められている状況にあります。

 

7.次に、教員の資質向上のための取組の現状と課題についてであります。

 県教育委員会では、本年2月、「島根県公立学校教育職員人材育成基本方針」を策定しました。

 この基本方針では、これからの島根県の教員に求められる資質能力を、採用時から5年ごとのキャリアステージ別に整理し、採用段階から、系統的かつ一貫性のある人材育成を図ることとしております。

 この基本方針では、人材育成を進めるため、次の5つの方針を設けております。1点目は「優れた人材の確保」、2点目は「研修の充実と支援」、3点目は「教員評価システムの活用」、4点目は「適切な配置・登用」、5点目は「管理職の育成」であります。

 県教育委員会といたしましては、この5つの方針に基づいて、系統的に人材育成を進めていくとともに、教員が常に、探究心や学び続ける意欲を持つよう、支援していきたいと考えております。

 課題といたしましては、「主体的・対話的で深い学び」の視点からの授業改善や、ICT活用教育、共生社会の形成に向けた教育など、新たな教育課題に対応しうる教員の資質能力の育成と、働き方改革とを同時に実現することが挙げられます。

 

8.近年、障がいのある子どもとない子どもが同じ場で共に学ぶインクルーシブ教育システムの構築が推進され、また、様々な障がいのある子どもが、特別支援学校のみならず、小中学校、高校に在籍しています。議員がおっしゃるとおり、全ての教員が障がいに対する理解を深め、特別支援教育に関する知見を高めていく必要があるものと考えます。

 県教育委員会としては、従来より初任者研修や経験者研修、管理職研修等において特別支援教育に関する内容を組み入れてまいりました。

さらに、さきほど申し上げました「島根県公立学校教育職員人材育成方針」に基づきまして、それぞれの教員のキャリアステージに応じた特別支援教育に関する研修を、計画的に実施しているところであります。

 また、教員が相談しやすい環境づくりを進めております。具体には特別支援教育支援専任教員の配置や特別支援学校のセンター的機能を強化することなどによりまして、それぞれの学びの場において教員の相談支援体制を整備しているところであります。

インクルーシブ教育システムの構築が進む中、今後とも特別支援教育を担当する教員だけでなく、全ての教員に対する、研修の充実や相談体制の整備を図ってまいりたいと考えております。

 

(再質問)AI、IoTの大型投資について伺う。

 

(答)教育長

 エドテックに関連いたしまして大型の投資をして、活用に踏み切っていくべきだ、という点について再質問をいただきました。

 エドテックは、文部科学省の資料によりますと「教育におけるAI、ビッグデータなどの様々な新しいテクノロジーを活用したあらゆる取組」とされております。

 従来、教育の場では、例えば、「eラーニング」といったような取組を進めてまいりました。「eラーニング」が、「インターネットやコンピュータのネットワークを活用した学習方法あるいは指導方法」というふうに一般に理解されているのに比べまして、こういった最新のテクノロジーをあらゆる部門で扱って取り組んでいくという表現と比べますと、やはり非常に広い最先端の概念であろうというふうに考えております。

 島根県の教育にとりまして、どのようなアプローチが望ましいのか、また、国においてもこれに向けた取組が各省、関係する省で進んでおります。そういった検討がどういう方向で行われるのか、さらには、大型投資を想定するのであれば、民間の開発事業者でありますとか民間の教育事業者、研究者、そういった関係の組織・研究者などの動向もしっかりと研究しないといけないというふうに考えております。

 いずれにいたしましても島根県の児童や生徒、島根県の教員の視点を大切にしながら、こうした情報収集や研究を行ってまいりたいと考えております。

 


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