平成29年度地域系部活動報告会
平成30年2月8日(木)に島根県立大学浜田キャンパスで開催した「地域系部活動報告会」の様子をご報告します。
1.活動報告
今年一年の活動を、各学校の部員がそれぞれ作成した取組のスライドと共に発表を行いました。
〈アドバイザー〉
片寄進氏(島根県教育庁教育監)、岩本悠氏(島根県教育魅力化特命官)、三浦大紀氏(株式会社シマネプロモーション)
1)しまん-chu(ハート)!(島根中央高等学校)
文化部の連合体で活動を行っています。主な活動内容にイベント出店があり、祭りの特性を考え、各部それぞれの魅力を活かした出店をしてきました。今年は、生徒会としても企画したいという声も出たようで、保育スペースを提供していました。来場者から、「生徒間の雰囲気も良く、来場者が近寄りやすい状態だったよ」と聞いたときは率直にうれしかった、と発表していました。
〈アドバイザーコメント〉
三浦氏:地域の資源を自分達で見つけて積極的に活用しようとしているのが伺えました。どんな人たちがお祭りに来るのか、その人たちはどんなことを喜びそうかを考えて、ブースを作ると、活動がより楽しくなっていくかもしれませんね。
2)チーム江津地域活性部(江津高等学校)
文化部を中心とした有志の全校生徒がメンバーの体制で活動を行っています。主な活動としては、都野津地区との連携した取組として夏・冬休みに小学生と学習活動、体験活動を実施、また、今年で24回を迎える地域交流を目的とした「きらめきフェスタ」の開催です。
体験活動に部活動単位で参加したことで、高校生の活躍の場が広がり自分たちの成長にも繋がると思った、と発表していました。
〈アドバイザーコメント〉
片寄氏:いい取組なので、自分達の代ではどのように地域と関わっていこうかと考えながら、短いスパンではなく息の長い活動を続けてほしいです。小学生や地域の皆さんに自分達からどんどん意見を出していいと思います。もっとこのような活動が拡がるといいですね。
3)ものづくり部(江津工業高等学校)
部員の内、地域活動を希望したメンバーで、電気配線や電気器具等の点検・保守作業を行う「電ボラ班」、神社建築の調査、解体と修復を行う「社寺建築班」、古民家再生への調査研究を行う「古民家再生班」に分かれた活動を、江津本町をフィールドに行ってきました。進めていくと0学校では習わないことも出てきた、最初は高齢者の方と何を話せばいいかわからなかったけど少しずつ慣れて楽しく話せる様になった、と発表されていたのが印象的でした。
〈アドバイザーコメント〉
三浦氏:スライドに「自分たちの仕事に値打ちをつけよ」と先生のコメントが紹介されていましたが、社会に対してどんな価値を提供したのか、自分達の技術にはどれくらいの値打ちが付くのかを考えることは、社会では大変必要な感覚です。今、この取組を通じて肌でしっかり感じて学ぶ機会があるのはよい経験だと思います。
4)浜商レインボーお手伝い隊(浜田商業高等学校)
3年生を中心に課題研究授業として活動に取組んでこられました。地域の名物となっている高校で模擬会社を作り卸と販売を行う「浜商デパート」の経営や、市内の公民館との連携事業として売り物にならない渋柿を使った新商品を考えたり、小学生に向けたプログラミング教室などを開催してきました。自分たちの強みを活かして活動することで自分達でも地域貢献できることを実感できた、と発表していました。
〈アドバイザーコメント〉
片寄氏:今回、公民館と連携して考えた地域イベントがせっかくあるのだから、市にダメ元でも続けていけるように交渉してみてはいかがでしょうか。プログラミングについても今後は先生方にも使える教材が作れたら凄いですね。様々な分野で活動されてる姿こそ浜商が唱えていらっしゃる三方良しの精神。これからも活動を続けていってください。
5)浜水クラブ(浜田水産高等学校)
部活動として、地域食材や資源を活かした商品開発、製品販売など地元水産物のPR活動を行ってきました。今年はカフェカレイバーガーを開発し、コンテストへの出場、東京での地域産品のPR活動と、フィールドの広い活動をされてきました。最後に、自身らと連携したい加工業者や、開発した商品を取り扱いたい販売者を募集していると話しており、積極的に地域連携を図っていく様子は、将来の水産事業者を見る様な頼もしい姿が垣間見えました。
〈アドバイザーコメント〉
岩本氏:発想も豊かだし、実際に物を作っているし凄いなと思って聞いていました。どのような人に食べてもらいたいのか等ターゲット目線があると、より商品の魅力も自身らの商品開発への技術もパワーアップすると思います。
6)吉高地域クラブ環境部門(吉賀高等学校)
全校生徒を部員として、テーマごとに有志を募り活動する体制です。今年度は環境部門の発表をしていただきました。身近にある高津川が水質日本一ではなくなったことをきっかけに、水質調査から排水の汚れに着目し、地域住民の食品ロスの調査、田んぼの生き物調査、廃油を活用した石鹸作りなどを行ってきました。最後に、水質調査からわかったこととして高津川の問題は流域全体の問題であること、今後はそれ以外の着眼点で町を考えたい、と展望を発表しました。
〈アドバイザーコメント〉
岩本氏:他校や他市町へ行って合同活動をしたのは、中々珍しく、面白い活動だと思いました。他の部活動だと練習試合があるけど、地域系部活動でも他地域との交流がもっと出来ていけば、より発展するのではないでしょうか。
7)グローカルラボ(津和野高等学校)
部活動として活動しています。1年生は主に津高農園での農業体験、2年生は個々のプロジェクトを設定し取組んでこられました。1年生は津和野の名産でもあるまめ茶等の生産・加工、2年生の取組ではビオトープづくりや、竹林放置問題の原因を社会問題と繋げてコミュニティーデザインに取組むなど、地域資源を大いに活用した取組が印象的でした。2年生は、積み上げてきた関係や活動を、部活動として次の世代に繋げていく仕組みづくりがこれからの課題だと発表していました。
〈アドバイザーコメント〉
三浦氏:それぞれの興味関心をベースに活動していて、純粋に楽しそうだと感じました。発表でも「活動を繋いでいきたい」とありましたが、見せ方として、楽しさ、おもしろさ、かっこ良さというのも大事です。発表にあった竹のバームクーヘン作りなんていいですよね。津和野の特産品でいろんな色のバームクーヘンを作ると、かわいい、楽しそうとSNS映えを狙って人が集まるかもしれません。そういった、人を引き付けるスパイスを加えながら、活動の仲間をぜひ増やしていってください。
2.ワークショップ
後半は、部員である生徒と指導員、関係者ら大人で混合チームを作り、生徒は来年度の目標づくりを、顧問はコーディネートをする上での課題解決を議題にワークショップを行いました。
〈コーディネーター〉岩本悠氏(島根県教育魅力化特命官)
まとめの時間では、グループでの話題を発表いただきました。あるグループからは、指導員より「今回、地域の方から猪の活用考えてほしいと相談があったが、生徒は猪の活用について知識がなかった。こういった場合どうすればいいかと話したところ、津和野高校生より、日原のまちに加工場があり出荷までの手順を色々と教えてくれたり、他にもジビエを使ったイタリアンが津和野にはあります、と意見をもらった。とても有効な意見で、今後もそういった情報を収集していかねばと思った。」と話されていました。
生徒からは気づいたこととして、「自分のまちで共感者を集めようと思って上手くいかなくても、県全体で考えて増やしていけばいいと思った」、「今の1年は2年が言わないと行動してくれないと議題が出たが、厳しいことをたくさん言っても、言い終わったらぼそっと優しいことを呟くようなアメとムチの使い方が重要であると意見が出た」など、闊達な意見交換がなされていました。
最後に、生徒から今後の抱負として「今日の発表を聞いて、浜商は商品開発しており、水高も似たことをしているので、連携したらもっといい物が出来る気がする。もっと浜田の商品が伝えられると思う。それには行動力が必要。また、学校だけじゃなく企業の協力も必要だと思う。信頼関係を築かなくてはいけないと思った。」、
「地域の祭りに参加するのは、ほぼ高齢者。若者が出てくる解決策として、他地域や企業とも協力して地域食材を使ったお菓子を利用したカフェを作るのはどうかなどが出た。」、
「子供たちとの交流を深めたいと意見が出た。味にクセのある水産商品を作るのに、子どもの意見を取り入れた商品を作りたい。」などの発表がありました。
〈まとめ〉
三浦浩紀氏 片寄進氏 岩本悠氏
三浦氏:今日は皆さんの地域に対しての純粋な思いや考えを聞けて本当によかったです。目標を立てて成果を実感しながら活動を楽しんでいってもらいたいですね。今日の発表を聞いていて、石見地域で皆が集まる文化祭が出来たらとっても良いと思いました。アカデミックな報告会を、お祭りに変えて、たくさんの人に活動を知ってもらう会がつくれたらいいですね。
片寄氏:明日、松江で似たような会を行うことになっていて、今日の話を明日の人にも聞いてほしいし、明日の話を今日の皆にも聞いてほしいと思っていました。こういった点と点を繋ぐことを行政がしなければいけないと反省していました。
これからも島根で活躍する高校生の活動を楽しみにしています。
お問い合わせ先
西部県民センター
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