(1)一類感染症
全国でも報告がなかった。
(2)二類感染症
細菌性赤痢が3月と8月に1名づつ報告された。3月の事例はShigella flexneriによるもので、
行動調査から日本国内での感染が推定された。また、8月の事例はShigella sonneiによるもので、
海外(中国)での感染事例であった。その他の二類感染症は、報告がなかった。
(3)三類感染症
腸管出血性大腸菌感染症は、31名の報告があった。1999年(平成11年)が16名、2000年(平成12年)が51名、
2001年(平成13年)が94名と年々患者数が増加していたが、一転して減少した。
月別では、夏期に集中的に発生した前年とは異なり、5月から9月にかけて報告が多く、散発的な発生にとどまった。
主な報告事例では、5月下旬に松江圏域の保育所での発生(O26:H11、VT1、患者1名、健康保菌者1名、
及びO26:H-、VT1、健康保菌者2名)、6月下旬に雲南圏域の保育所での発生(O157:H7、VT2variant、患者3名、
健康保菌者2名)の2事例があり、いずれも保育所での発生であった。
2002年(平成14年)の腸管出血性大腸菌検出状況
血清型 | 毒素型 | 1月 | 2月 | 3月 | 4月 | 5月 | 6月 | 7月 | 8月 | 9月 | 10月 | 11月 | 12月 | 計 |
O26:H- | VT1 | | | | | 2 | | | | | 1 | | | 3 |
O26:H11 | VT1 | | | | | 4 | | | | | | | | 4 |
O111:H- | VT1 | | | | | | | 1 | | | | | | 1 |
O121:H- | VT2 | | | | | | 1 | | | | | | | 1 |
O157:H7 | VT1,VT2 | | | | | | | 1 | 2 | 4 | | | 2 | 9 |
VT2 | | | | | 3 | 5 | 2 | 1 | 1 | 1 | | | 13 |
計 | - | - | - | - | 9 | 6 | 4 | 3 | 5 | 2 | - | 2 | 31 |
(4)四類感染症
オウム病の集団発生が1月に報告された。これは、松江市内の花と鳥の展示施設の従業員5名、県内の来園者6名が発症し報告されたもので、
この他に同時期に広島県より来園した4名と、大阪府からの2名が発症し報告されており、オウム病の集団発生としては、
2001年(平成13年)6月に川崎市の動物園で発生した事例に続き、国内で2例目の事例となった。
日本紅斑熱が11名報告された。全国の報告では、5月から11月の間に36名(島根県の症例を含む)の報告があった。
なお、日本海側では全国的にも本県のみの発生となっている。
ツツガムシ病は4月から6月に5名の報告があった。全国的にみると通年的に報告があるものの、地域によって5月から6月の初夏と、
10月から12月にかけての初冬に多く報告がみられる。
日本脳炎が、本県では1987年(昭和62年)以来15年ぶりに1名報告された。本年は中国地方で発生報告があり、
9月以降に広島、鳥取、岡山の各県から報告があった。
その他の疾患では、ウイルス性肝炎が2名、クロイツフェルト・ヤコブ病が3名、劇症型溶血性レンサ球菌感染症が1名、
ジアルジア症が1名、梅毒が4名、破傷風が2名、レジオネラ症が2名報告された。
後天性免疫不全症候群の報告は昨年に引き続き本県ではなかった。