感染症 年報
1)感染症発生動向調査の概略
平成11年4月1日より感染症法の施行に伴い、感染症の発生動向を法律に基づき調査することとなった。
調査は、1類感染症から4類感染症の発生を全医療機関からの報告により全数を把握する疾患と、定点医療機関からの
報告により発生状況を把握する4類感染症がある。
定点医療機関は外来でみられる感染症を対象とした、小児科定点が23(東部7,中部7,西部8,隠岐1)、
インフルエンザの発生を把握するインフルエンザ定点が38(東部11,中部12,西部13,隠岐2)、眼の感染症を対象とす
る眼科定点が3(東部1,中部1,西部1)、性感染症(STD)を対象とする定点が6(東部2,中部2,西部2)で
ある。
4類感染症のうち、対象患者のほとんどが入院患者である疾患については、基幹病院定点が8病院(東部1,中部3,
西部3、隠岐1)が設定されている。
調査は県感染症情報センターが、定点および各医療機関からの患者情報及び病原体情報を収集、分析するとともに、そ
の結果を週報(月単位の場合は月報)として作成し、県情報および全国情報として医療機関等の関係機関に対してFAX
・Eメール・郵送等により提供している。また同様の内容をインターネットのホームページ
( http://www2.pref.shimane.jp/hokanken/kansen/ )により県民に対して公開し情報還元をはかっている。主要な疾患
については、地区ごとの週報データを流行の程度が分かる表現に換え、山陰中央新報に毎週(水曜日)掲載している。
2)全数把握疾患の発生状況:表13〜表15
1類感染症は、全国でも報告がなかった。
2類感染症では、細菌性赤痢と腸チフスの発生が報告された。細菌性赤痢は2月と4月に1名づつ、12月に2名が
報告された。12月は全国的に輸入カキを原因とした流行があり、島根県の患者も輸入カキの喫食による感染事例であ
る。腸チフスは6月に2名が報告された。
3類感染症の腸管出血性大腸菌感染症は、94名の報告があり一昨年の16名、昨年の51名から大幅に増加した。月別
では7月から8月にかけて78名の報告があり、夏期に集中的に発生した。全国的にも夏期を中心として大きな流行と
なった。
主な集団発生事例では、6月下旬から7月上旬に出雲圏域において山水を感染源とする発生(O26:H11、患者1名、
健康保菌者10名)、8月上旬の浜田圏域における社会福祉施設通所者の発生(O26:H-、患者7名、健康保菌者19名)
があった。
4類感染症ではツツガムシ病がもっとも多く、11名の報告があった。報告は、6月が最も多く7名の報告があった。
全国的にみると通年的に報告があるものの、地域によって5月から6月の初夏と、10月から12月にかけての初冬に多
く報告がみられる。日本紅斑熱は中国地区では本県のみに8名の報告があった。全国の報告では、5月から11月の間
に38名の報告がみられた。
オウム病の報告が12月に1名あるが、翌1月に松江市内の施設を原因とする集団発生の先触れである。
その他の疾患では、クロイツフェルト・ヤコブ病が1名、アメーバ赤痢が2名、梅毒が2名、破傷風が3名報告さ
れた。後天性免疫不全症候群の報告は昨年に引き続き本県ではなかった。