本県の性感染症(STD)の1998年(平成10年)以降5年間の年次別患者数の推移をみると、1998年に198件であった
ものが1999年(平成11年)以降微増傾向を続け、1999年は204件となり、2000年(平成12年)は251件、2001年(平成13年)
も244件、2002年(平成14年)は229件となった。本年のSTDの内訳は、性器クラミジア感染症119件(51.9%)、
性器ヘルペスウイルス感染症22件(9.6%)、尖形コンジローム11件(4.8%)、淋菌感染症77件(33.6%)、であった。
(1) 性器クラミジア感染症
性器クラミジア感染症は増加傾向にある。本年は119件となり、性感染症の半数を超え、その内女性が半数を超えている。
年齢は20歳代が62件、30歳代が23件、10歳代が16件となっている。
(2) 性器ヘルペスウイルス感染症
性器ヘルペスウイルス感染症は22件で、その内女性が14件で、男性は8件であった。年齢は20歳代、次いで30歳代が多い。
(3) 尖形コンジローム
本年は11件で、女性6件、男性5であった。年齢は、20歳代に8件分布していた。
(4) 淋菌感染症
淋菌感染症は1998年以降、年間70〜80件になり、本年は77件で、うち男性が72件、女性が5件であった。
年齢別には20歳代48件、30歳代17件、40歳代17件であった。
メチシリン耐性黄色ブドウ球菌感染症は年間で397件報告された。2000年(平成12年)が586件、2001年(平成13年)
が504件であり1定点当たり1ヵ月の報告数も2000年(6.1人)、2001年(5.3人)、2002年(4.1人)と着実に減少している。
圏域別の2000年、2001年、2002年の報告件数はそれぞれ松江圏域(96、160、86件)、出雲圏域(104、105、105件)、
大田圏域(240、175、65件)、益田圏域(103、85、121件)、隠岐圏域(34、33、19件)であり大田圏域で着実に減少している。
雲南圏域と浜田圏域では各年でそれぞれ(2、0、0件)、(7、0、1件)と報告はほとんどなかった。男女比をみると、
女性1に対して男性が上記の各年でそれぞれ(1.52、1.64、1.92)であり、男性に多かった。
年齢別では70歳以上は各年で(211、315、233件)であり、同様に60歳以上でみると各年で(269、401、284件)であった。
全年齢の報告件数に対して70歳以上の報告の占める割合は各年度でそれぞれ(36.0%、62.5%、58.7%)であった。
いずれの年も10歳末満にも比較的多く、上記の各年で(50、53、63件)であった。過去3年間を通して共通して4月は
最多ないし第2位の報告数であったが、例えば9月は最多の年(2000年)であることも、最少の年(2002年)であることもあり、
季節的な特徴は明らかでなかった。
結論として、本疾患は全体では減少傾向にあるものの、高齢者および10歳未満では横這いないし漸増傾向にある.
ペニシリン耐性肺炎球菌感染症は年間で223件報告された。2000年が146件、2001年が126件であり本年は急増した。
1定点1ヵ月当たりの報告数も2000年、2001年、2002年でそれぞれ1.52人、1.30人、2.30人であった。
月間報告数をみると、前年までは3件から21件の間を小さな変動で推移していたが、本年は7月に32件、11月に40件、
12月に28件と特に多い月がみられた。圏域別の2000年、2001年、2002年の報告数はそれぞれ松江圏域(73、52、86件)、
雲南圏域(26、39、39件)、出雲圏域(2、1、0件)、大田圏域(9、6、0件)、浜田圏域(0、0、0件)、
益田圏域(36、28、98件)、隠岐圏域(0、0、0件)であり、松江圏域と益田圏域で急増した。
これまで3年間の男女比は、女性1対して男性が各年それぞれ1.56、1.68、1.40で男性に多かった。
年齢別の報告件数は2000年、2001年、2002年でそれぞれ10歳未満は(50、63、140件)、60歳以上が(40、40、60件)、
その間の年齢層が(56、23、23件)であった。
結論として、本疾患は2002年に10歳末滴の小児において急増した。小児の中耳炎などの原因菌として増加しているものと
推測される。
薬剤耐性緑膿菌感染症は、2002年には隠岐圏域で1件と出雲圏域で1件報告があった。
これまでに2000年に隠岐で2件と出雲で1件の報告あり、3年問で合計5件である。