(1)一類感染症
全国でも報告がなかった。
(2)二類感染症
細菌性赤痢(
Shigella sonnei)が11月に雲南圏域で1名報告された。この事例は、海外での感染事例であった。
また、パラチフスの報告が11月に雲南圏域であった。パラチフスの発生は1987年以来16年ぶりの報告で、この事例も
細菌性赤痢と同様に海外での感染事例であった。
(3)三類感染症
腸管出血性大腸菌感染症は、10名の報告があった。1999年が16名、2000年が51名、2001年が94名、2002年が31名と、
2001年までの増加傾向から一転して減少し、過去5年間で最少の報告数となった。月別では、6月〜8月の夏期に多く
報告されているが、前年と同様に集中的に発生はなく、散発的な発生にとどまった。
2003年(平成15年)の腸管出血性大腸菌検出状況
血清型 | 毒素型 | 1月 | 2月 | 3月 | 4月 | 5月 | 6月 | 7月 | 8月 | 9月 | 10月 | 11月 | 12月 | 計 |
O26:H11 | VT1 | | | | | | 2 | | | | | | | 2 |
O157:H7 | VT1,VT2 | | | | 1 | | | 4 | 1 | | | 1 | | 7 |
VT2 | | | | | | | | | | | 1 | | 1 |
計 | - | - | - | 1 | - | 2 | 4 | 1 | - | - | 2 | - | 10 |
(4)四類および五類感染症
日本紅斑熱が12名報告された。全国の報告では、媒介動物であるマダニの活動時期である5月から10月を中心として51名
(島根県の症例を含む)の報告があった。日本紅斑熱は主に太平洋側の地域で発生がみられ、日本海側での発生は本県のみ
であるが、流行地域の医療機関の本疾患に対する認識率の向上により、診断が確実に行われるようになった。
ツツガムシ病は4月と12月に計3名の報告があった。全国的にみると通年的に報告があるが、媒介動物であるツツガムシ
のふ化時期である初夏(5月〜6月)と、初冬(11月〜12月)に多く報告がみられ、島根県の報告も流行期の発生である。
その他の疾患では、オウム病が1名、マラリアが1名、アメーバ赤痢が1名、ウイルス性肝炎が4名、クロイツフェルト・
ヤコブ病が1名、梅毒が1名、破傷風が2名、バンコマイシン耐性腸球菌感染症が1名報告された。
後天性免疫不全症候群は、1999年に感染症法が施行されて以降、昨年まで島根県での報告がなかったが、本年は1名の報告
があった。