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2000(H12)年 <  2001(H13)年 年報  > 2002(H14)年
目次I.概要II-1.発生状況の解析II-2.患者情報(週報)II-3.患者情報(月報)III.検査情報
全数把握週報(インフルエンザ・小児科・眼科・基幹定点)月報(STD・基幹定点)精度評価
1.発生状況の解析と評価 |発生状況表1表2表3表4表5表6表7表8表9
3)インフルエンザ定点把握疾患の流行状況:表1〜9
 平成11年4月より成人も含めたインフルエンザ定点が定められ、2シーズン目を向かえた。しかし、報告数は2,323件 であり、ここ11年間でもっとも少なかった。2,000件代は平成3年、6年以来である。この数を平成3年以降の10年間の年 間平均患者数で除した流行指数も0.43と小さかった。
 地区別では東部378件(流行指数0.25、定点あたり患者数34.4)、中部657件(0.50、54.8)、西部1,222件(0.52、 94.0)、隠岐66件(定点あたり患者数33.0)と西部で多く、東部と隠岐で極端に少なかった(東部の流行指数は隠岐を 含む)。
 2次医療圏域別にみると浜田圏域(定点あたり患者123.2)と大田圏域(105.7)で多く、松江圏域(34.4)と隠岐圏 域(33.0)で少なかった。
 流行は1月中旬より徐々に大きくなり3月の第2週頃がピークであった。その後、徐々に少なくなり、5月下旬まで報告 が続いた。
 年齢層では1歳代が最多(8.0%)であったものの、大差無く各年齢層に分布していた。1歳未満は3.1%、20歳以上は 18.8%、60歳以上は2.2%(52名)を占めた。
 流行したウイルス型は、近年の流行の主役であったA香港型は比較的少なく、流行の主体はAソ連型であった。また、 B型も検出数は少ないものの、シーズンを通して検出された。
4)小児科定点把握疾患の発生状況
(1)全県的な感染症の流行状況:表1
 平成13年度のインフルエンザも含めた報告患者数は13,539件であった。ここ11年では最少で流行指数も0.67であった。  本年で平年より多かったのは咽頭結膜熱の142件(流行指数1.35)とヘルパンギーナの983件(1.22)のみであり、ヘル パンギーナは平成6年以来の1,000件に近い数字であった。流行性耳下腺炎は全国的には大きな流行がみられたが、本県は 指数1.01と平年並であった。
 感染性胃腸炎(0.85)、水痘(0.79)、突発性発疹(0.81)が平年よりやや下まわった他は平年よりかなり少なかった。
 少ない疾患では、麻疹が昨年を上まって多かったことと、百日咳が初めて一桁に減ったことが特筆される。麻疹はむし ろ平成10年と11年が特異的に少なかったといえる。
 患者数の多かった上位8疾患を図1に示した。図示される疾患は昨年と同様であったが順位はいろいろ入れ替わりがあっ た。昨年2位の感染性胃腸炎が本年一位となりインフルエンザは本年2位であった。3位の水痘はそのままであり、昨年5位 の流行性耳下腺炎が本年4位であった。以下本年はヘルパンギーナ、突発性発疹、手足口病、A群溶連菌咽頭炎と続いた。
(2) 地区・圏域別にみた感染症流行状況:表2・3
 流行指数が1.5を越えたのは中部の咽頭結膜熱(3.30)、ヘルパンギーナ(1.56)、西部の咽頭結膜熱(2.36)、流行 性耳下腺炎(1.89)であった。
 圏域別にみて、定点あたりの報告数が特に多かったのは、咽頭結膜熱では浜田(12.7)、A群溶連菌咽頭炎では雲南 (49.5)、感染性胃腸炎では大田(583.5)と雲南(308.0)、水痘では雲南(124.5)、手足口病では益田(35.0)、 伝染性紅斑では出雲(24.0)、ヘルパンギーナでは出雲(65.4)、麻疹では出雲(10.4)、流行性耳下腺炎では大田 (106.0)であった。麻疹は昨年と同様に出雲で多く、54%(昨年は60%)を占めた。
(3) 感染症患者月別発生状況:表4〜8
 月別患者発生は、全疾患では2月、3月に特に多く、5月、9月、10月に特に少なかった。
 報告の多かった上位二月を各疾患でみると、咽頭結膜熱では1月と12月、A群溶連菌咽頭炎では2月と12月、感染性胃腸 炎では1月と2月、水痘では1月と12月、流行性耳下腺炎では1月と12月で、れらは冬に多くみられた。咽頭結膜熱は例年は 夏に流行するので本年は特異であった。
 逆に夏に多くみられたのはヘルパンギーナが6月と7月、麻疹が6月と7月であった。 手足口病は6月ころより流行し7月と10月が最多であったが、12月まで最多月の8割近い報告が続き、特異であった。  地区別で特に目だった月を定点あたりの患者数でみると、咽頭結膜熱で中部の12月(定点あたり2.6)、A群溶連菌咽 頭で中部の2月(4.4)、12月(3.9)、西部の6月(3.5)、手足口病で西部の10月(5.1)、12月(6.8)、中部の7月 (4.7)、伝染性紅斑で中部の3月(2.1)、麻疹で中部の7月(2.3)、8月(2.3)、流行性耳下腺炎で西部の1月(13.0)、 12月(7.6)などが挙げられる。
(4) 感染症流行状況の経年的変動:表1、2
 感染症サーベイランスでは昭和57年より20年間のデータが蓄積された。
 麻疹は昭和57年、平成2年および5年に大流行がみられたが、全体としては減少傾向が認められる。特に平成10年、 11年と1桁の報告数であったが、昨年より2年続けて中部地区を中心に流行した。これは全国的な傾向でもある。12カ 月未満児が19%、1歳より4歳が42%を占めており、1歳早期での予防接種の徹底が望まれると共に、接種時期を1歳以 前に早めることの検討も望まれる。10歳以上は昨年は10名(13%)であったが今年は21名(22%)と多かった。思春 期等における2度目の接種も検討が必要かもしれない。
 風疹は平成4年の特異な大流行の後は散発が続いている。平成9年は島根県では年間143件とわずかに多いにとどまっ たが全国的にはかなりの流行がみられた。5年ごとの流行がいわれており平成14年は流行年に当たることになる。予防 接種は平成7年からは流行そのものを抑制すべく年少児から男女の接種がおこなわれており平成14年の発生状況が注目 される。また、予防接種率をより上げて流行に対処したい。
 流行性耳下腺炎は昭和59年、62年、平成3〜4年、平成9〜10年が流行の小さい年であった。平成11年より流行年になっ たが、平成11年は東部でやや多く、平成12年、13年は西部のみ目だって多かった。 流行年は数年続く傾向にあるが、全国的には本年から流行期になっている。
 百日咳は昭和59年以降著減し、さらに平成元年以降は平成3年にやや多かったのみで散発が続いている。特に平成9年 からは20前後であり、平成12年は48に増えたものの、本年は初めて一桁になった。特に集団保育児にはできるだけ早期 の接種を望みたい。
 他疾患については疾患別患者発生状況を参照していただきたい。
5)眼科定点感染症の発生状況:表1〜7
(1)急性出血性結膜炎
 1月に中部と西部でそれぞれ1件、4月に中部で2件の計4件の報告があった。平成4年には報告数113件の大きな 流行があったが、それ以後は大きな流行はなく、平成7年(35件)〜平成8年(29件)にかけて小規模な流行がみられた が、平成11年からは報告数が10件以下で推移し、散発的な発生となっている。
(2)流行性角結膜炎
 報告件数は98件で、過去10年間で最も少ない報告数であった。平成5年〜平成9年までは年間200件前後の報告があ ったが、平成10年以降は年間の報告数が100件前後で推移している。月別の報告数では、3月(12件)と4月(11件)およ び、9月(13件)と11月(12件)が多く、その他の月は5件前後の報告数だった。年齢別では、各年齢区分に報告がみら れるが、60歳以上では患者数が少なくなっている。
6)基幹定点把握疾患の発生状況(週報):表1〜9
 急性脳炎の発生はなかった。
 細菌性髄膜炎は松江圏域で3件、出雲と大田圏域で各1件あった。発生月は3月、6月2件、9月、11月であった。年齢は 0歳児2件、10歳代、50歳代、70歳以上に各1件であった。
 無菌性髄膜炎は本年は昨年に引き続き流行はなく10件と少なかった。松江圏域で8件、大田圏域で2件であった。発生 月は3月、9〜11月と集中はみられなかった。年齢は10歳未満が8件であり、すべてが25歳未満であった。
 マイコプラズマ肺炎は106件であり、まだ異型肺炎として報告されていた平成10年の129件に近かった。8月までは定 点当たり1.0以下の散発であったのが、9月に定点当たり2.8となり12月の1.8まで流行が続いた。最大の流行地は雲南圏 域であり、定点当たり年間73.0を記録し、次いで松江が29.0であった。西部からは報告がなかった。
 クラミジア肺炎は出雲圏域で2月に20歳代の1件のみが報告された。
 成人麻疹の報告は1件であったが、小児科定点からの成人症例(20歳以上)では、7件の報告があった。
島根県感染症情報センター