感染症 年報
1.発生状況の解析と評価
|精度評価
サーベイランスの精度評価は本県では例年、総報告患者数(以下患者数とする)が大きくかつ流行規模の変化
の大きいインフルエンザを除き、患者数および突発性発疹の患者数を目安に行なってきた。突発性発疹は感染機
序から年次と季節による変動の少ない疾患であることが考えられ、またそのことが立証されており、モニターと
して適切である。
さらに、出生数、幼児人口(毎年の出生数から計算した0ないし6歳に属する児の数)を考慮に入れた。
ここ11年間でみると、幼児人口の減少傾向は鈍化しており平成10年(1998年)頃からはほぼ横這いである。総
患者数は平成5年(1993年)頃から横這いに近い。幼児人口10万当たりの報告数も、県全体では平成5年頃よりほ
ぼ横這いとなっている。これを地区別にみる場合は、平成10年に大田保健所管内(大田市及び邇摩郡)が県央保
健所管内に統合され、中部より西部に移された影響を考えなければならないが、平成13年度の患者報告数でみる
と中部、西部とも県全体の平均に近く適切な移行になっている。以上より全体に精度が保たれていることが示唆
される。ただし、東部はほとんど常に幼児人口10万当たりの報告患者総数が他地区の数値を下回っている点が気
掛かりである。
他方、突発性発疹患者数は今年度は増加し、結果的に平成9年(1997年)頃より横這いの感があり、出生数の横
這い化と符合している。各月の定点当たりの報告数でみても2.2から3.3の間に分布し変動は小さかった。県全体
としては精度はよく保たれている。
平成11年、12年、13年の突発性発疹の定点当たりの年間報告数を圏域別にみると、松江33.3、27.7、27.3、雲
南32.0、24.5、33.5、出雲43.8、38.8、49.0、大田35.0、33.0、32.5、浜田27.0、19.3、36.3、益田30.7、34.3、
40.3、隠岐28.0、17.0、17.0であった。なお、県全体の定点当たりの年間報告数はそれぞれ、34.2、29.6、35.4
であった。浜田で変動がやや大きい点と、松江での報告数がやや少ない点が気掛かりである。しかし、隠岐での
患者発生状況を除き全体としては概ね同規模で精度のよい報告がなされている。