ウエストナイル熱流行地からの入国者が発熱・頭痛等を訴えて
医療機関に受診があった場合の対応について
平成16年6月10日付 健感発第0610001号
厚生労働省健康局結核感染症課長通知
1 ウエストナイル熱の流行地域について
過去3年間の海外の主たる流行地域は、米国、カナダ、メキシコ、カリブ海地域、チュニジア及びイスラエル。
2 患者への対応について
(1) 発病前2週間以内に流行地に滞在していた場合は、ウエストナイルウイルスへの感染が疑われるので、ただちに病原体診断・血清学的診断を行うこととし、最寄りの保健所に連絡・依頼すること。
(参考:「感染症の診断・治療ガイドライン」追補「ウエストナイル熱」)
(2) 病室内での患者の診療については、標準予防策で十分であること。
(3) 患者の入院に際しては隔離の必要は無いこと。
(4) ヒト―ヒト感染(経口感染・接触感染・飛沫感染・空気感染)及びヒト―蚊―ヒト感染は無いので、全身状態に問題がなければ、面会の制限は特に必要としないこと。
(5) 退院の判断は、他のウイルス性脳炎と同様であること。
(6) 患者はウイルス血症をきたすので、患者の採血時には手袋を着用し、針刺し事故防止等、基本的な注意を行うこと。(但し、ウイルス血症は、抗体価の上昇とともに速やかに消失し、持続感染、潜伏感染をきたすことはない)
(7) 患者に使用した食器、器具、リネン類からの感染は無く、取扱は通常の処理で十分であること。
3 蚊の捕獲・検査について
ウエストナイル熱が疑われる患者が入院した場合に、病院内の蚊を捕獲しウイルスの有無を検査することや蚊の駆除を行うことは、ウエストナイル熱の感染防御の観点からは必要ない(一般的に、病院内に蚊のいないこと、日常そのような対策がとられるべきことは望ましい)。