ジカウイルス感染症(ジカ熱)
〜 妊婦及び妊娠の可能性のある方はご注意ください! 〜
●ジカウイルス感染症(ジカ熱)とは?
ジカウイルス感染症(ジカ熱)は、ジカウイルスを保有する蚊に刺されることで生じる蚊媒介性の感染症です。
妊婦のジカウイルス感染が胎児の先天異常(小頭症など)の原因になることがわかっています。
中南米など流行地では、できるだけ肌を露出せず、虫よけ剤を使用するなど、蚊に刺されないよう注意しましょう。
●ジカウイルス感染症(ジカ熱)の流行状況
アフリカ、中央・南アメリカ、アジア太平洋地域で発生があります。特に、近年は中南米で流行しています。また、アメリカ合衆国においてもフロリダ州マイアミやテキサス州ブラウンズビルにおいて、地域の蚊に刺されて感染した人が報告されており、妊婦の訪問について注意喚起が行われています。
これまで日本国内でジカウイルス感染症(ジカ熱)に感染した症例はありませんが、海外の流行地で感染し発症した例は、2016年2月15日にジカウイルス感染症が感染症法の4類感染症に指定されて以降、 2018年末現在、計17例の報告があります。流行地へ渡航する際は、防蚊対策等に十分注意しましょう。
●病原体
フラビウイルス科フラビウイルス属に属するジカウイルスです。
●感染経路
ジカウイルスの主な感染経路は、病原体を保有する蚊に刺されること(蚊媒介性経路)です。ウイルスに感染した患者を蚊が吸血すると、蚊の体内でウイルスが増殖し、その蚊が他者を吸血するときにジカウイルスも注入することで感染が起きます。
ヤブカ属のネッタイシマカやヒトスジシマカが、ウイルスを媒介することが確認されています。空き缶、植木鉢の水受け、古タイヤ等に溜まった水でも発生するため都市部でもみられ、日中にも活動することから、流行地へ渡航する際は注意が必要です。(媒介する蚊はデング熱、チクングニヤと同じですので、注意点も同様です。)
なお、ネッタイシマカは、日本には常在していませんが、ヒトスジシマカは、日本のほとんどの地域(秋田県及び岩手県以南)でみられます。
ジカウイルスのそのほかの感染経路としては性行為によるものがあります。感染者の精液や膣分泌液中にウイルスが含まれるのが原因とされていて、WHOはジカウイルスの性行為感染の予防に関するガイダンスを公表し、以下の2点を推奨しています。
1.流行地から帰国した男女は、感染の有無にかかわらず、最低6ヶ月間は性行為の際にコンドームを使用するか性行為を控えること
2.流行地から帰国した、妊娠を計画しているカップルあるいは女性は、最低6ヶ月間は妊娠の計画を延期すること
また、ジカウイルスに感染した妊婦から胎児への母子感染(胎内感染)があります。生まれてくる赤ちゃんに、先天性ジカウイルス感染症をおこします。
●予防方法
流行地では、長袖・長ズボンを着用し、できるだけ肌を露出せず、虫よけ剤を使用するなど、蚊に刺されないよう注意しましょう。長期滞在の場合は、蚊帳を使用すると効果的です。
なお、ジカ熱に有効なワクチンはありません。
●症状
ジカウイルス感染症(ジカ熱)は、感染しても症状が出ないか、症状が軽いため気づきにくいこともあります。
通常、2〜7日の潜伏期を経て発症し、主として軽度の発熱、頭痛、関節痛、筋肉痛、斑丘疹、結膜炎、疲労感、倦怠感などを呈します。
これらの症状は軽く、2〜7日続いて治まります。血小板減少などが認められることもありますが、他の蚊媒介感染症であるデング熱やチクングニア熱より軽症と言われています。
また、ジカウイルス感染と胎児の小頭症との関連やギラン・バレー症候群の発症との関連が明らかになっています。
●治療
●感染症法に基づく取扱い
4類感染症に指定されており、症状や所見及び病原体・血清学的に診断した医師は、直ちに最寄りの保健所に届出をすることが義務づけられています。
ジカウイルス感染症の可能性が考えられる患者の診察に際し、検査等のご相談については
最寄りの保健所へご連絡ください。
【関係通知等】
【関係資料】
更新:2019年1月18日(発生状況 加筆)