●発生状況
以前は、アフリカ、西ヨーロッパ、西アジアでの患者報告のみでしたが、1999年以降はアメリカ合衆国
の流行により注目を集めるようになりました。
日本においては、国内の感染例は報告されていませんが、2005年10月にアメリカ合衆国カリフォルニア州で感染したと思われる輸入症例が1例確認されています。
感染症法で4類感染症に指定されおり、患者発生の全数を把握することになっています。
●病原体
ウエストナイルウイルス(West Nile virus)
(フラビウイルス科フラビウイルス属)
●どこから感染する?
・ウエストナイルウイルスは、トリと蚊の感染サイクルで維持されています。
・ヒトは、ウエストナイルウイルスに感染した蚊に刺されることで感染します。
・ヒトからヒトへの感染はありません。
・媒介蚊は、イエカ、ヤブカ等です。
・ウエストナイルウイルスは日本ではまだ確認されていませんが、ウエストナイルウイルスがまん延している国では、誰でも感染の危険性があります。
●予防方法は?
・蚊との接触をさける:蚊の活動する夕方から夜明けまでは屋外で過ごすことをさけるように
しましょう。また、家の窓や戸に網戸をして蚊が入って来るのを防ぎましょう。
・虫除け剤を使用する:露出している肌には虫除け剤を使用して、蚊に刺されるのを防止しましょう。
・長袖、長ズボン着用:戸外に出るときは、できるだけ肌が露出しないように、長袖、長ズボンを着用しましょう。
・蚊の発生を抑える:蚊の発生しそうな場所(空き缶、バケツ、古タイヤ、植木鉢の水受け、など)の水を捨てるかカバーをして、蚊の発生を抑えることが大切です。
●潜伏期
2〜14日(普通2〜6日)です。
●症状
ウエストナイル熱
・症状が出るのは約20%で、多くの人は無症状か、かぜ様症状です。
・突然の発熱(39度以上)で発症します。3〜6日間の発熱、頭痛、背部の痛み、筋肉痛、食欲不振
などの症状があります。約半数で発疹が胸部、背、上肢にみられます。
・症状は通常1週間以内で回復しますが、その後倦怠感が残ることがあります。
ウエストナイル脳炎
・重症の脳炎になるのは、感染者の約1%(主に高齢者)です。
・脳炎は、ウエストナイル熱の症状に加え、激しい頭痛、方向感覚の欠如、麻痺、意識障害、痙攣等の症状がみられます。
・致死率は重症患者の3〜15%です。
●感染症法に基づく取扱い
4類感染症に指定されており、症状や所見及び病原体・血清学的に診断した医師は、直ちに最寄りの保健所に届出をすることが義務づけられています。