毘売塚古墳
県指定史跡(1969年指定)
指定名称「毘売塚古墳」
所在地:安来市黒井田町1986外
安来駅の裏手、日立金属工場東側の丘陵上に造られた全長約50mの前方後円墳で、古来より出雲国風土記に記述のある、「比売埼伝承」に登場する姫の墓と言い伝えられています。
発掘調査により後円部中央で舟形石棺が1基発見され、石棺内から壮年男性の人骨1体と鉄剣が、棺の外側から鉄剣や鉾、短甲、漁具(ヤス)などの鉄器類が出土し、古墳時代中期の築造と考えられています。
毘売塚古墳測量図
安来市教育委員会提供
毘売塚古墳舟形石棺
安来市教育委員会提供
毘売塚古墳石棺内部
安来市教育委員会提供
比売埼伝承(ひめさきでんしょう)
『出雲国風土記』の意宇郡安来郷の条に記されている伝承です。
天武天皇3年(674)7月13日、語部臣猪麻呂(かたりべのおみいまろ)という人物の娘が、安来郷の北の海岸の比売埼で散歩していたところ、和鰐(わに:サメのこと)に襲われて命を落としました。猪麻呂は悲しみと怒りで昼も夜も苦しみましたが、数日後に鉾を手に海岸に行き、天地の神や海の神など、ありとあらゆる神々に娘の仇討ちができるように祈りました。すると岸辺に100匹余りの和鰐が1匹の和鰐を取り囲むように姿を現したので、まさかと思い鉾でその和鰐を突き殺したところ、他の和鰐たちは囲みを解いて去っていきました。殺した和鰐の体を切り裂いてみると、腹の中から娘の足のすねが出てきたので、この和鰐が娘の仇であることがわかりました。猪麻呂はこの和鰐をさらに切り裂いて串刺しにし、道の傍らにさらしたといいます。
現在も安来の夏の風物詩である「月ノ輪神事」は、猪麻呂の娘の慰霊祭が起源とされており、また、毘売塚古墳は猪麻呂の娘の墓であると言い伝えられています。
「毘売塚」の碑
安来市教育委員会提供
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史跡から出土した遺物等が展示されています
安来市立歴史資料館(外部リンク)
安来市の古墳、遺跡からの出土品など、古代から近世の歴史に関わる資料を展示しています。
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