第12回賢明な利用を語る会
テーマ:「宍道湖・中海の観光振興」
「陸の孤島」と呼ばれた人口2,000人足らずの小さな村「沖縄県東村(外部サイト)」で、エコ&グリーンツーリズム事業を仕掛け、年間26万人もの観光客を呼び込むことに成功した、Mr.ヤンバルこと山城定雄さんをお招きし、成功へのノウハウや裏話を交えてお話しして頂きました。
山城さんのお話しをもとに、今後「宍道湖・中海」を中心とした地域でエコツーリズムを成功させていくには何が必要かなどを参加された方々とともに考えました。
1.テーマ:「宍道湖・中海の観光振興」
2.実施日:平成21年7月12日(日)午後1時15分〜午後3時15分
3.参加者数:54名
4.会場:ホテル白鳥白鳥の間(松江市千鳥町20)
5.内容
◎講演「エコ&グリーンツーリズムによる村の活性化〜沖縄県東村の取り組み〜」
発表者:沖縄県東村役場振興事業推進室室長山城定雄氏
◎報告「着地型観光の現状」
発表者:一畑グループ観光企画部次長藤原久男氏
◎情報交換会
テーマ:「今後島根県でエコツアーを成功させるには」
進行:野津登美子(ホシザキグリーン財団普及啓発課長)
話題提供:「島根県のエコツアーの状況」発表者:島根県自然環境課手銭真治氏
6.概要
☆【講演:東村役場振興事業推進室室長山城定雄(やましろさだお)氏】
□プロフィール
・1979(昭和54)年東村役場に就職
・2002(平成14)年企画観光課長
・2005(平成17)年東村ふるさと振興株式会社派遣代表取締役専務
・2007(平成19)年振興事業推進室長「総合農産物可能施設建設プロジェクト」
・村内外の方々と人脈をつくりながら、エコツーリズムやグリーンツーリズムなどの足元の地域資源の付加価値を高める取り組みや体験滞在型観光などの人材育成にも力を入れ、感動と勇気を与える「地域おこし」を行い、成功を収めている。
□表彰
※エコツーリズムなど自然を活かした地域おこしが全国レベルで評価され受賞。
・2003年1月地域づくり総務大臣表彰(沖縄県東村)
・2006年5月内閣府沖縄総合事務局沖縄振興功績者表彰(個人)
「陸の孤島」と呼ばれた人口2,000人足らずの小さな村「沖縄県東村(外部サイト)」で、エコ&グリーンツーリズム事業を仕掛け、年間26万人もの観光客を呼び込むことに成功した、Mr.ヤンバルこと山城定雄さんをお招きし、成功へのノウハウや裏話を交えてお話しして頂きました。
山城さんのお話しをもとに、今後「宍道湖・中海」を中心とした地域でエコツーリズムを成功させていくには何が必要かなどを参加された方々とともに考えました。
1.テーマ:「宍道湖・中海の観光振興」
2.実施日:平成21年7月12日(日)午後1時15分〜午後3時15分
3.参加者数:54名
4.会場:ホテル白鳥白鳥の間(松江市千鳥町20)
5.内容
◎講演「エコ&グリーンツーリズムによる村の活性化〜沖縄県東村の取り組み〜」
発表者:沖縄県東村役場振興事業推進室室長山城定雄氏
◎報告「着地型観光の現状」
発表者:一畑グループ観光企画部次長藤原久男氏
◎情報交換会
テーマ:「今後島根県でエコツアーを成功させるには」
進行:野津登美子(ホシザキグリーン財団普及啓発課長)
話題提供:「島根県のエコツアーの状況」発表者:島根県自然環境課手銭真治氏
6.概要
☆【講演:東村役場振興事業推進室室長山城定雄(やましろさだお)氏】
□プロフィール
・1979(昭和54)年東村役場に就職
・2002(平成14)年企画観光課長
・2005(平成17)年東村ふるさと振興株式会社派遣代表取締役専務
・2007(平成19)年振興事業推進室長「総合農産物可能施設建設プロジェクト」
・村内外の方々と人脈をつくりながら、エコツーリズムやグリーンツーリズムなどの足元の地域資源の付加価値を高める取り組みや体験滞在型観光などの人材育成にも力を入れ、感動と勇気を与える「地域おこし」を行い、成功を収めている。
□表彰
※エコツーリズムなど自然を活かした地域おこしが全国レベルで評価され受賞。
・2003年1月地域づくり総務大臣表彰(沖縄県東村)
・2006年5月内閣府沖縄総合事務局沖縄振興功績者表彰(個人)
□講演内容
1.♪「沖縄県東村(外部サイト)」ってこんなところです♪
・やんばる「山原」と呼ばれる沖縄県本島北部の東海岸に位置する。
・総面積は81.79km2(県下6位)。うち33.46km2(43.4.%)が米軍演習場。
・人口は、平成17年国勢調査で1,825人(本島内で最も小さな村)。過疎化、高齢化。
・林業依存の村からパインアップルを中心とする農業の村へ転換。
・これといった観光資源もなく、県内における知名度も低かった。
・村出身の著名人→島袋正雄(人間国宝)、宮里三兄弟(プロゴルファー)
・農業の再生を図ることが課題となっている。
2.1990年代初頭の村を取り巻く状況〜存亡の危機に直面〜
・基幹作物のパインアップルの輸入自由化「1990(平成2)年4月」
・バブル崩壊→リゾートに「村の未来を託した夢」頓挫
・輸入自由化、バブル崩壊のダブルパンチを受けて、村は存亡の危機に直面した。
・そこで、身の丈にあった村づくり、村の自然資源を活かした村づくりを模索し始めた。
3.21世紀ビジョンの策定〜農業一辺倒の村づくりの見直し〜
・「自然との共生」「都市との交流」をキーワードにした村づくり。
・足元の自然を「資源」と捉え、豊かな自然資源に付加価値を高める。
・県内では初めてエコツーリズム&グリーンツーリズム等の体験型観光の推進を基本目標とする。
・地域の方々が主体の地域づくり、東村の里山・里海を使っての体験学習を実施し、人に来てもらって、地域でとれた食べ物を食べてもらうことを目ざす。→農業の活性化につながる。
4.交流拠点づくりのための主要プロジェクト
【ハード事業】
・ふれあいヒルギ公園の整備(H9〜H11)
・村民の森「つつじエコパーク」の整備(H9〜H13)
・沖縄国際大学セミナーハウスの誘致(H11〜H12)
・山と水の生活博物館の整備(H11〜H14)
・福地ダム自然観察船の整備(H13〜H15)
【ソフト事業】
・私たちマングローブ、自然ガイドブック等の冊子の刊行
・人材育成事業「インタープリター(ガイド)、インストラクターの養成」
・受け皿となる組織の設立「エコツーリズム協会など、行政と民間が一体となって設立」
・情報の発信、広報宣伝「メディアを使い、東村の素晴らしさを全国へ発信」
※地域の方々と一緒に汗をかきながら実施した。
5.足元の地域資源に付加価値を高める体験型観光の取組み「ゼロからの挑戦」
・住んでいる人たちにとっては当たり前の資源が、訪れる人には「価値」があるものであるとの気づき。
住んでいる人は地域の悪い所をいっぱい知っているが、訪れる人は良い所をいっぱい発見する。
「地域に普段埋もれている素晴らしい資源を見つけ出し活用する。地域にはダイヤモンドの原石がたくさん落ちている。」
・地域のお年寄りたちが共同で農産物などの売店を運営。→お年寄りの生きがい。
・H10年度の交流人口5万4千人→H19年度32万人(約6倍に増加)
・H10年度修学旅行1校→H19年度327校
・「泊まる。遊ぶ。学ぶ」体験滞在拠点「つつじエコパーク」のオープン
この施設の予算は、町の年間予算を上回るものであり、失敗したらどうするのかという反対意見もあったが、リスクのない事業はなく、リスクがあるからこそ行政が行うと主張し事業を進めた。
・農業体験「農村体験・グリーンツーリズム」。パイン等の収穫体験。
6.課題と展望
・一人当たり村民所得。2003年38位→2004年20位→2005年4位→2006年3位
・「子どもたちの生きる力を養う」セカンドスクールの受入れ(農業体験・漁業体験・自然体験等)
→2008年総務省・文部科学省・農林水産省の3省が「子ども農山漁村交流プロジェクト」がスタート
※田舎が見直される時代。チャンスと捉えるか?
・「見る。食べる。遊ぶ」の観光から→「体験する。感動する。学ぶ」体験型観光へ
・付加価値を高める取り組み「東村の水。パインのブランド化。自然観察船など」
・ゴミを落とさず、お金を落とさせる仕組みづくり「地域経済への効果」
・地域資源の付加価値を高める取り組みが全国レベルで評価される。
・「自然保護」と「地域振興」が両立する持続可能な地域づくり。
7.むすび
・身の丈にあった地域づくり、地域の方々が主役の地域づくり
・外部からの目線を大切にして、地域に埋もれている資源をダイヤモンドに変える。
・人材育成〜キーパンソンをどう育てていくのか〜
・ハード(農業農村基盤整備等)とソフト(地域の人材等)を絡ませ地域の活性化。
・古酒(クース)と地域づくりは、コツコツと手間暇かけて熟成させよう。
・本物体験。感動体験。
・キーワード:「夢」「戦略」「信念」「情熱」
以上のように、東村ではどのようにして現在のようなエコ&グリーンツーリズムによる観光振興を定着させていったのか、約30年にわたる取り組みを紹介し、行政の取り組みのあり方について講演された。
特に東村で特徴的なのは行政がハードの整備で終わらず、ソフト整備から受け皿の整備まで行ったことである。
最後に宍道湖・中海においてエコ&グリーンツーリズムを導入し、推進していくためのポイントについてお話しされた。
住んでいる人にとっては当たり前のものでも、訪れる人にとっては価値ある資源がたくさんある。地域の宝を見つけ、海・山・川をフィールドにして、何よりも地域主体で取り組むことが重要である。求められているのはホスピタリティーの心、笑顔の数だけ感動があるとして講演を締めくくられた。
☆【報告:一畑グループ観光企画部次長藤原久男氏】
・「出雲空港観光コンシェルジュ事業」により、出雲空港に観光トラベルカウンターを設け着地型商品などを販売する予定である。
・ここで販売する商品は、空港から安い料金設定でタクシーを使って、2〜3時間で行かれる観光施設や温泉へお客様をお連れするというものである。
・出雲空港のトラベルカウンターを周辺の観光情報の集約施設とし、試験的に宍道湖や玉造の旅館にも協力してもらって販売を促進していきたいと考えている。
・宍道湖などの周辺施設やエコツアーなどの情報をトラベルカウンターへ持ってきてほしいと話された。
☆【意見交換会進行:ホシザキグリーン財団普及啓発課長野津登美子】
急遽島根県自然環境課から島根県のエコ&グリーンツーリズムの現状について話題提供があった。
☆【話題提供:島根県のエコツアーの状況島根県自然環境課手銭真治氏】
・島根県では現在、業者主催のエコツアーと、市民団体の誘致によるエコツアーを行っている。
・エコツアー候補地で動機付けの勉強会や、エコツアーガイドの養成研修も開催している。
・エコツアーの課題として、応募が少なく催行できないことが多かったことがある。これは、新聞公募や募集チラシでは顧客に伝わりにくく、事業規模も小さく大規模なPRができないことによると考えられる。
・エコツアーは、参加して初めてその良さが分かるものなので、今後は最少催行人数に達しなくてもできるだけ実施し、口コミで参加が増えることを期待したい。
・これからも、業者企画のツアーと有志団体のツアーの両輪で実施し、ツアーはモデルとして地元の街づくり担当者に提案し、地元が企画段階からかかわるようにしていきたい。
☆【情報交換会】
Q)地域の魅力を見つけ出すにはどのような視点で探せばよいのか、また効果的な情報発信はどのようにすれば良いのか?
A)(山城氏)初期の頃は、国や県の予算を使ってモニターツアーを実施した。お客さんから、あるいはエージェントから、学校からそれぞれの提案を受けて、少しずつプログラムができあがっていった。また、地元のシジミ採りの名人、タコ採りの名人、いろんな名人のリストを作ること。行政はリストを提示し、業者と協議して商品化できそうなものを見つけていった。
情報発信については、県や、国の事業としてどんどん情報発信を行ったことにより、そこから枝葉が広がっていった。そして何よりも東京に色々な人脈、ネットワークを持つことが大切。
Q)東村に人がたくさん訪れる理由と、どのように仲間づくり進めていったのか?
A)(山城氏)ガイドの魅力でかなり左右される。ガイドに必要なのは、感性と好奇心。そこにある自然に対してどう地域の人が関わってきたか、素通りしただけではわからない良さ、一歩足を踏み入れることでわかる良さを伝える。継続的に訪れてくれるリピーターは「あの人(ガイド)に会いたい」という気持ちで来てくれる。
仲間づくりについては、住民の目線で徹底的にやってきた。初期の頃は手取り足取りやることで、そこに共感が生まれ、信頼関係ができあがってくる。
Q)どのように全体をコーディネートされているのか、またどのように補助金を活用されているのか?
A)(山城氏)月に1〜2回事業者と行政が様々な調整を行っている。補助金については、したたかに国と対峙し、いかに国のお金を使いながら事業を行うかが大切である。例えば3億円かけて整備をしたものが、最低でも1億円は住民にバックするような仕組みを作る必要がある。そして、小さな村のハードの整備については、財政的に負担をかけないようにして行政が行う必要性がある。
お問い合わせ先
環境政策課宍道湖・中海対策推進室
〒690-8501 島根県松江市殿町1番地
(事務室は、 松江市殿町128番地 県庁東庁舎4階 にあります)
TEL:0852-22-6445