宍道湖・中海の湖底貧酸素化現象について
湖の下層に形成された貧酸素水塊は、いつもじっとしているとは限りません。湖の水の動きに影響されて移動したりします。
とくに、影響が大きいのは湖面を吹く風の作用です。強い風が吹くと上層の水は風下方向に移動します。すると下層の水は、その反作用で風上の方向へと移動し、塩分躍層の面も大きく傾いていきます。
図8風による貧酸素水塊の動き
風によりいったん一方向に移動した貧酸素水塊は、今度は湖の中で振動を始めます。これは、水の入ったバケツの一端を傾けた後、元に戻すと、水面は左右に振動を開始する原理と同じで、湖でも同じような振動が発生します。(図8)
この振動は、波となって伝わり、地球の自転の影響を受けて反時計回りに旋回することが知られています。従って、風は一定方向に吹いているのですが、貧酸素水塊の這い上がり現象は風上から始まり、振動して旋回することによって、湖全域に広がっていくということになります。(図9)
図9貧酸素水塊が旋回する様子
塩分躍層の大きい湖では、水面の上下変動がわずか0.2〜0.3mでも、塩分躍層の上下変動幅は2〜3mと大きなものとなります。この現象によって、湖の深部に停滞していた貧酸素水塊が湖底をはうようにして浅い水域まで移動してくることがあります(貧酸素水塊の這い上がり)。
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