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定置網漁業者が活〆を体験

 

 平成23年3月23日、西ノ島町浦郷に隠岐島前・島後で定置網漁業を営む5つの経営体の方々等が集まり、活〆実習会が行われました。

 この実習会は、水産局にとある定置網漁業者の方から「最近色々なところで"活〆"という言葉を聞くけど、どうやってやるの?本当に良いの?自分たちにもできる?」というような相談があったことがきっかけとなり、開催されたものです。

 ここ数年注目度の高まっている技術ですので、皆さんも各種メディア、飲食店やスーパーなどで「活〆」という言葉を見聞きする機会が増えているのではないでしょうか。一般的に、この活〆という技術を使って魚を処理すると、普通の処理をした魚に比べて旨みが増すなど品質が良くなる上に、より長時間その品質を保持することができると言われています。

 活〆と一言で言われますが、そのやり方は地域や漁業種類によって様々に違っております。今回は、水産庁の上田勝彦氏が紹介している活〆のやり方を学びました。

 

 I.活け越し

  暗い水槽で1晩程度飼育します(給餌はしない)。釣ってきたばかりの魚の筋肉中には疲労物質がたまっています。水槽内でゆっくりリラックスさせてやることで、その疲労物質を分解させます。そうすると旨み成分のもとが増加するのです。また、消化管内のエサを消化吸収・排泄させることで、臭みが生じるのを防ぐという効果もあります。

  今回の実習では、蓄養していたサバを用いました。

 

 II.即殺

  活け越しによって休ませた魚体が暴れて再疲労しないように、脳を破壊します。魚を傷めないように、下には海水でぬらした厚手のマットなどを敷きます。また、手には軍手をつけるなどし、素手で魚体を触れないようにします。(魚体を素手で触れないのは全ての行程共通)

即殺1  即殺2

 

 III.放血

  生臭みの原因、細胞の分解を進める酵素の供給源である血液を適度に抜いてやります。エラの付け根1箇所だけを切り、活け越しの時と同じ水温の海水に漬けて放血を促します。

放血1  放血2

 

 IV.神経抜き

  脳を壊しても、神経が残っていると神経から細胞の分解を進める物質は出続けます。即殺のときにあけた穴にワイヤーやピアノ線などを突き刺し、背骨に沿って走っている神経を壊してやることで、その物質の供給を止めます。

神経抜き1  神経抜き2


 V.保冷

  季節とその魚種に適した温度で保存します。発泡の底に海水でぬらした新聞紙を敷き、魚体の表面にパーチをかけ乾燥を防ぎます。氷は魚体に直接触れないように注意します。温度を下げすぎると硬直を早めるので注意が必要です。

保冷1  保冷2

 

 以上のI〜Vが上田式の活〆の具体的な手順になります。参加者全員に実際に活〆を体験してもらい、やり方を覚えていただきました。

 最初はなかなか神経抜きのワイヤーが入らない人もいましたが、最後には皆さん手際よく神経を壊すことができるようになっていました。

 他の魚ではどこに穴を開ければやりやすいか等の質問が出たりと、皆さん大変意欲的に取り組んでくださいました。

 

 参加者のみなさまには、実際に活〆したサバと、活〆せずに氷〆したサバを持って帰ってもらい、自分たちの目と舌でその違いを感じていただきました。

 後日その感想を聞き取ったところ、活〆をするのとしないのとでは全くその身の質が違っていたとのことで、活〆の効果を実感されたようでした。

 

 近年、全国津々浦々で活〆を使って高品質の水産物を出荷し、ブランド化を図る取り組みがすすめられるようになっております。中でも成功事例の1つとして知られるのが、JFしまね福浦出張所の「福浦さわらの会」による「美保関産活〆さわら」の出荷の取り組みです。活〆をはじめとする鮮度保持・品質管理の取り組みが市場で高く評価され、全国的に名の知られるブランドになりつつあります。

 活〆をしたからといってすぐに「美保関産活〆さわら」のように市場の評価が高まり、単価があがるわけではありません。取組を根気良く続けること、その取組を上手くPRすること、活〆した魚の価値を評価してくれる販路を開拓することではじめて魚価の向上に繋がります。

 我々水産局としましては、今後も漁業者の皆さま、漁業協同組合の皆さまと連携をとりながら、付加価値をつけ、魚価の向上を目指す取組を進めてまいりたいと思っています。

 


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