政策提言「投資的事業の在り方と生産者利益の確保に関する提言」(平成21年3月12日)
農水商工委員会では、「投資的事業の在り方と生産者利益の確保」をテーマとし、県農林水産部、商工労働部における行政投資が、実際の生産活動、企業活動に対し、どのような効果をあげているのか、また、本県の農林水産業や商工業の振興に、今後、どのような投資を行っていくことが有効なのかということについて、県内外の現地調査を行い、議論を重ねてきた。
現下の厳しい財政状況の中で、非常に厳しい環境に置かれている農林水産業と商工業の一体的な振興を図っていくためには、より効果的な行政投資が求められており、こうした観点から県の施策に対して提言を行うこととした。
執行部においては、この提言の趣旨を踏まえ、積極的な施策が展開されるよう要望する。
平成21年3月12日
島根県議会農水商工委員会
委員長園山繁
副委員長藤間恵一
副委員長中島謙二
委員角智子
委員石倉俊紀
委員岡本昭二
委員五百川純寿
委員成相安信
委員浅野俊雄
I.農林水産業について
農山漁村が混住化している現在、農林水産業政策は、産業政策と地域政策、福祉政策、環境政策的な部分とを併せ持っているが、以下、産業政策を中心に提言を行う。
1.本県の農林水産業政策における産業政策を見ると、目標を達成するための事業ではなく、事業をすることが目的となっている状況が見受けられる。
このため、産業政策については、その狙いや政策目的とそれに基づく投資を明確に整理し、そして、それが目的を達成するためのものであり、そのための投資であることを徹底していくことが必要である。
○産業政策として、その狙いや政策目的及び投資を明確に整理すること
2.産業政策については、今後、県内各地域の特性を踏まえた産地形成と産品の有利販売などを進めることにより、意欲のある農林漁業者が、今後とも経営を持続できるような投資戦略が、今後ますます必要となってくる。
その上で、戦略に基づく具体的な施策の展開が行われるとともに、投資費用に対する効果のチェックも厳密に行われるべきである。
○経営を持続できる戦略を立て、投資対効果のチェックを厳密に行うこと
3.これまでの農林水産業政策は、規模拡大等に伴う初期投資への支援が中心であり、農林水産業者へのトータルでの経営に対する支援が不足している状況である。
このため、経営継続へのフォローアップ、付加価値を高めるためのマーケティング手法、さらには経営不振となった場合のサポート体制の充実など、より幅広く柔軟な考え方に基づいた支援策を講じられたい。
○経営へのフォロー、マーケティング、サポート体制など、トータル支援を行うこと
4.産業政策を推進するにあたっては、農林水産業に従事する者の利益をより一層高めるため、消費者・市場関係者・生産者等様々な現場の情報をリアルタイムにキャッチし、施策に反映されたい。
○現場の情報をリアルタイムに捉え、施策に反映すること
5.一方、農山漁村で県民が生活していくためには、地域社会の維持や農地、森林などの持つ多面的機能の維持などが必要不可欠である。
このため産業政策に加えて、地域政策・福祉政策・環境政策的な取り組みについても、引き続き実施されたい。
○農地、森林などの持つ多面的機能にも配慮した政策を行うこと
II.商工業について
1.昨年秋からの急速な景気後退に見られるように、経済情勢の変化のスピードは非常に速くなってきている。
このため、企業支援策は、経済・消費動向等を常に注視し、変化に機動的・弾力的に対応していくことが必要である。
また、既存制度があってそれを企業に適用するのではなく、企業の状態を見ながら、企業にとって何がメリットが大きいかをまず考えて支援策を講じる必要がある。
さらに、成果の上がっていない投資的事業などを再度検証し、使いやすい制度へ見直すことも必要である。
○企業支援は、機動的、弾力的に行うこと
2.本県の産業支援について見ると、例えば、地域産業への支援等においては、販売やマーケティングなどへの支援が不足しているように見受けられる。
今後は、前例や既成概念などにとらわれることなく、製造から販売までに至る総合的な支援策を講じられたい。
○製造から販売に至る総合的な支援を行うこと
3.産業振興・投資的視点から、今後、例えば、商業・流通に対する施策展開やその支援体制、中小企業の人材を育成するためのシステムの構築、県の直接投資による支援策などの施策等について、検討されたい。
○商業・流通に対する施策、人材を育成するシステム構築、県の直接投資による支援等を検討すること
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