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総務委員長報告

 

 総務委員長報平成26年11月定例会(12月16日)

 

 総務委員長報告をいたします。

 

 今定例会で総務委員会に付託された議案のうち、既に12月5日に報告いたしましたものを除く議案の審査結果等について報告いたします。

 

 本委員会に付託された議案は、「平成26年度島根県一般会計補正予算(第3号)」の予算案1件、「島根県水と緑の森づくり税条例の一部を改正する条例」など条例案4件、「公の施設の指定管理者の指定について」など一般事件案3件であります。

 これらの議案について執行部に説明を求め、慎重に審査いたしました結果、いずれの議案も全会一致をもって、原案どおり可決すべきとの審査結果でありました。

 

 次に、請願の審査結果について報告いたします。

 このたび新規に提出された請願3件及び継続審査中の請願8件について、慎重に審査いたしました。

 その結果を申し上げます。

 

 まず、新規の請願第40号「登記の事務・権限等の地方への移譲反対について」であります。

 この請願については、全会一致で「採択」とすべきとの結果でありました。

 なお、この請願にかかる意見書については、後ほど山根副委員長から提案理由を説明いたしますので、ご賛同いただきますようお願いいたします。

 

また、新規の請願第41号「私学助成政策の抜本的拡充を求める請願書」は、私学助成の増額を求めるものであります。本請願については、国の制度の動きもあり、県の財政状況も踏まえ、慎重に検討を行う必要があることから、「継続審査」とすべきとの審査結果でありました。

 

 また、同じく新規の請願第43号「平成25年6月26日付で決議された"日本軍「慰安婦」問題への誠実な対応を求める意見書"の撤回決議、並びに国に対し「慰安婦」問題に関する適切な対応を求める請願」についてであります。

 委員からは、朝日新聞の誤報を認める記事がでたことで、他市議会で意見書を撤回するなどの動きが出ている。「河野談話」を認めるということは、強制連行という国家犯罪があったとするものであり、それは重大な認識の誤認であった。間違いを認め、改めて適切な対応を国に求めるべきと考える。との意見がありました。

 また、他の委員からは、歴代の内閣が、河野談話を否定していない。現在の安倍内閣においても、朝日新聞の報道が撤回された後も、あらためて見直しはしないと表明している。内閣の見解をもって地方議会としてどういう側面から採択したかといえば、女性の人権という側面から、二度と繰り返されることがあってはならないということである。などの意見がありました。

 最終的には、挙手による採決の結果、「不採択」とすべきとの審査結果でありました。

 

 その他、継続審査中の8件の請願については、いずれも結論に至る状況にないことから、引き続き「継続審査」とすべきとの審査結果でありました。

 

 次に、陳情の審査結果について報告いたします。

 このたび新規に提出された陳情5件及び継続審査中の陳情6件について、慎重に審査いたしました。

 そのうち、主なものについて結果を申し上げます。

 

 まず、新規の陳情第244号「平成27年度税制改正に関する要望」は、平成27年3月31日に期限が到来する軽油引取税の課税免除措置の期間延長、あるいは恒久化に向けて、国に対し意見書の提出を求めるものであります。

 この陳情については、全会一致で「採択」とすべきとの結果でありました。

 なお、この陳情にかかる意見書については、後ほど白石委員から提案理由を説明いたしますので、ご賛同いただきますようお願いいたします。

 

 また、新規の陳情第236号「慰安婦問題に関する陳情」及び陳情第237号「「河野談話」に関する貴議会の意見書について」であります。

 この2件の陳情は、請願第43号と同様、平成25年6月議会において議決した「日本軍「慰安婦」問題への誠実な対応を求める意見書」について、撤回、無効化を求めるものであり、採決の結果、「不採択」との審査結果でありました。

 

 次に、報告事項など、所管事項調査における委員からの質疑、意見等のうち主なものについて申し上げます。

 

総務部から報告のありました「県立大学大学院看護学研究科(修士課程)の設置について」であります。

 委員からは、県立大学大学院に学科を設置し、看護職に対応力、調整力など学力の向上を求めることも大切だが、島根県としてどのような人材、どのような医療を求めているかを考え、健康福祉部との連携をとりながら、人材確保の面も併せ学科設置のあり方を考えていくことが必要であるとの意見がありました。

 

最後に、本委員会では、「本県における再生可能エネルギーの活用推進」をテーマとした調査に取り組んでおり、この結果について報告いたします。

 

東日本大震災に伴う原発事故等を受け、各方面で再生可能エネルギーの利用促進等の検討が進められております。また、エネルギー政策の見直しの検討を進めてきた国は、本年4月、新たなエネルギー基本計画を閣議決定したところです。

エネルギーを取り巻く状況が大きく変化している中、本県においても各種の再生可能エネルギー施策に取り組まれているところですが、新たな視点も加え、さらに本県の地域特性に合った活用推進策を検討するために、県内外18カ所の実地調査と経済産業省からの参考人意見聴取を実施しました。

 

まず最初に再生可能エネルギー全体を捉えた報告です。

国の新たなエネルギー基本計画について、経済産業省大臣官房審議官から意見聴取いたしました。国の基本計画の中で再生可能エネルギーについては、2013年から3年程度、最大限導入を加速し、その後も積極的に推進する位置付けとなっています。しかし、具体的な目標数値については示されておらず、電源構成の目標を2、3年かけることなく示したいとの説明がありました。委員からの質問に対しては、分散型の地域エネルギーについても協力・支援をしていきたい、これから1年程度かけて様々な面で議論を重ねていきたい等の回答がありました。

電力会社からみる再生可能エネルギーについて、北海道電力株式会社を調査しました。特に太陽光、風力発電は自然状況によって出力が時々刻々変化するため、系統への負荷がかかること、発電方式全体での需給調整に苦心していることがわかりました。今後大容量の再生可能エネルギー導入に向け、大型蓄電池実証試験に取り組んでおり、4年後に結果が出るとの説明を受けました。

 

次に新しい視点での再生可能エネルギー活用についての報告です。

岐阜県次世代エネルギービジョンについて岐阜県庁を調査しました。2020年、2030年に期待される理想的なエネルギー利用の姿を前提に、これを実現するための様々な施策を展開していました。自然エネルギーの安定供給のために蓄電池や燃料電池と組み合わせる次世代エネルギーインフラを提唱し、6つのモデルについて実証・普及に努めていました。中でも防災モデルとして、道の駅「星ふる里ふじはし」では、大災害発生時の中山間地域集落孤立対策として情報提供機能や避難所機能を維持するため、太陽光発電・燃料電池・蓄電池を導入実証しており、節電対策や接続機器の選別などの課題はありましたが、有用性が認められ、今後の普及が見込まれました。

島根県内でも防災型の取り組みとして美郷町のまほろば福祉センターを調査しました。まほろば福祉センターは、町役場支所と診療所などの複合施設であり、旧大和村全体の防災拠点としての機能を果たすため、太陽光発電と蓄電池を導入していました。こちらも節電対策や機器類更新経費などの課題はありましたが、地域防災拠点機能維持と災害時の医療用電源確保に有用と認められました。

 

最後に、発電方式別の報告です。

太陽光発電については、浜田市の遊休地に設置する事例と安来市の調整池に浮かべるフロート型の事例を調査しました。固定価格買取制度にて単価の高い時期に導入したこと、送電網への接続が容易な場所に設置したことなどから十分採算の見合う開発事例でした。安来では干拓地内の調整池に設置したことから、調整池使用料としての収入を干拓地利用者の用水使用料割引に充てるといった取り組みをされてはいましたが、太陽光発電では、設置後に地域の雇用や経済への貢献に多くを期待することはできない状況にありました。また、発電量が天候に左右されることや、固定価格買取制度における今後の買取価格の動向など、導入の飛躍的拡大に向けては不透明感もありました。

風力発電については、北海道久遠郡せたな町にある国内初の洋上風力発電所を調査しました。陸上に比べ風向・風量が安定していることから、設備利用率は陸上の約2倍となる41%と効率の良い発電状況にありました。また、陸上型の民間風力発電事業所の誘致にもつながり、雇用の増加や固定資産税の納入にも繋がっていました。しかし、洋上設置は、工事に係る経費や期間、また、塩害対策がネックとなっていました。その後、国内においても同タイプの洋上風力発電所がほとんど設置されておりません。洋上風力は、自然エネルギーとしてのポテンシャルが高いことから、フロート型発電などの新技術開発が期待されるところでした。

水力発電は、維持流量を活用した岐阜県高山市の丹生川ダム、江津市の八戸川第三発電所を調査しました。また、小水力型として美郷町の都賀・角谷両発電所も調査しました。水力発電には流量と落差が必要となります。そもそも適地が限られること、新規に設置する場合の投資額が大きいことが課題ではありますが、県内の既設ダムにおける維持流量発電の導入など、費用対効果を勘案しつつ、資源の有効活用に向けた検討が進められるよう期待するものであります。

木質バイオマス発電については、松江市の松江バイオマス発電株式会社を調査しました。太陽光や風力と異なり昼夜を問わず出力が安定すること、林地残材の有効活用やCO2の発生抑制などが利点です。燃料となる木材の調達にあたり、新たな雇用創出が見込まれること、また、適切な森林管理につながることから、災害発生予防や水土保全などの効果が期待されます。来年4月からの操業に向け、林地残材や燃料チップの安定供給体制を整備中であり、大いに期待ができる発電方式であると考えられました。

なお、再生可能エネルギーの買取りに関し、電力会社が接続申込に対する回答を保留するといった動きが出てきております。現在国においては、これら系統問題に関する議論が進められており、こうした国における議論の状況や政策展開を充分注視していくことも不可欠であります。

また、再生可能エネルギーは、発電のみならず給湯や暖房等に直接熱利用する方法もあります。今後、熱利用についても調査・検討を進めることが必要と考えます。

 

以上の調査結果を踏まえ、先に述べた個々の意見も含め、本委員会としての総括的な意見、要望を申し述べます。

 

本年4月、国の新たなエネルギー基本計画が閣議決定されました。しかしながら、この基本計画には、将来の日本のあるべき産業構造や人口を基にした電力の需給予測や再生可能エネルギーを含めた各エネルギーの出力目標や割合が示されていないなど、これからのエネルギー政策は未だ不透明な状況下にあります。

しかし、我が国は、東日本大震災、福島原発事故を経験しました。再生可能エネルギーの導入、開発は不可欠であり、これを推進しなければならないことは異論のないところであります。

また、最近の報道にもあるように、複数の電力会社が再生可能エネルギー発電設備の新規系統連系を保留にする動きが出てきていることから、再生可能エネルギーについては、発電のみならず直接熱利用する方法も推進が必要と考えます。

執行部におかれては、発電・熱利用の両方式による再生可能エネルギー活用推進が今後の経済成長の一翼を担う可能性もあることを考慮しつつ、本委員会として次の5項目を提案します。

 

再生可能エネルギー新技術の情報収集と調査研究の推進

島根県の地域特性にあった再生可能エネルギー導入の推進

産業振興、雇用対策など地域経済へ波及効果のある再生可能エネルギーへの施策の充実強化

防災機能強化や地域振興などに資する再生可能エネルギーシステム導入の推進

県民への啓発活動の推進

 

以上が、本委員会の調査テーマに関する調査結果の報告であります。

 

以上、総務委員会における審査の概要等を申し述べ、委員長報告といたします。


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