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建設環境委員長報告

 

 建設環境委員長報平成26年11月定例会(12月16日)

 

 建設環境委員長報告をいたします。

 

 建設環境委員会に付託されました議案のうち、12月5日に報告いたしましたものを除く議案の審査結果等について報告いたします。

 

 定例会において建設環境委員会に付託されました議案は、予算案1件、条例案2件及び一般事件案9件であります。

 

 これらの議案について、執行部に説明を求め、慎重に審査いたしました結果、一般事件案第136号議案及び、第145号議案から第147号議案は賛成多数により、その他は全会一致をもって、原案どおり可決すべきとの審査結果でありました。

 

 全会一致とならなかったのは、いずれも「公の施設の指定管理者の指定について」であり、一般事件案第136号議案、第146号議案及び第147号議案は、委員から、営利を目的とする民間会社に代行させるのは県民サービスの向上につながらないとの考えで、また第145号議案は、公共サービスを維持・向上する上で安定的な雇用制度は不可欠であるが、指定候補者において労働法令の遵守について問題があると認識しており、それぞれ反対であるとの意見がありました。

 議論を経て、最終的には挙手による採決を行ったところ、賛成多数により、原案どおり可決すべきとの審査結果でありました。

 

 次に、議案の審査過程における執行部からの説明、委員からの質疑、意見等のうち主なものについて報告いたします。

 

 まず、一般事件案第136号議案であります。

 委員から、文化施設には業務の専門性や継続性が必要であり、その指定管理者については、労働法令等の遵守が求められるが、このたびの営利企業からの申請について、その点を踏まえた指定管理候補者の選定がなされているか、との質問がありました。

 これに対し執行部から、指定管理候補者の選定に当たっては、募集要項で指定管理業務は地方自治法その他の関係法令等に従って実施しなければならない旨を明記するとともに、いずれの提案についても選定委員会における審査の過程で、指定管理候補者からは労働法令を遵守して指定管理業務を実施することや、職員にとって働きやすい職場環境づくりに努めることなどを確認している、との回答がありました。

 次に、一般事件案第145号議案について、委員から、指定管理候補者は過去に労働審判にいたる行為があったが、今回指定管理者として施設運営するにあたり、法令遵守がしっかりなされるのかをどのように確認したのか、との質問がありました。

 執行部からは、法令違反はないと認識しており、選定段階において法令遵守の意思を確認したこと、今後も継続して調査・確認していくとの回答がありました。

 委員からは、不公正な運営があった際には県は、機敏に実地調査するとか、必要な指示をするとかしっかり行うよう要望がありました。

 

 次に、報告事項など所管事項調査に関連したものについて申し上げます。

 企業局から、江の川工業用水道の供給について、新たな企業進出が2社あり、また、既存企業の使用量が増加することから、平成27年3月以降の売水率が26.0%から54.7%に上昇し、収支が改善する見込みであることが報告されました。

 

 環境生活部から、芸術文化センター「グラントワ」が平成27年度に開館10周年を迎えるため、石見地域の仏像を中心に展示する「祈りの仏像展」など石見美術館での多彩な企画展や、県民で創る「第九」コンサートなど様々なホール事業による記念事業を実施し、多くの方々に親しんでいただける機会を提供するとの報告がありました。

 

 土木部から、入札契約制度について、公共工事の品質の確保及びその担い手の中長期的な育成・確保のための見直しを進め、技術力における評価方式を、より実態に即した方式へ変更することなどの報告がありました。

 

 次に、本委員会が、平成25年度及び26年度に取り組んでまいりました調査テーマ「地域づくりと連携した文化施設のあり方について」及び「技術力と創意工夫で地域に貢献する建設産業対策について」に関する調査結果を報告します。

 

 まず、「地域づくりと連携した文化施設のあり方について」です。

 文化芸術の振興の拠点である島根県民会館、島根県立美術館、島根県芸術文化センター「グラントワ」においては、それぞれの特色を生かしながら、地域と連携しつつ文化芸術の振興を通じて地域全体の活力を高めていくことが求められているところです。

 そこで、本委員会は、地域づくりと連携した県立文化施設のあり方を明らかにするため、県立文化施設が地域づくりにどのような役割を果たしていくべきかについて、調査・検討を行ってきました。

 

 県外調査では、岐阜県の可児市文化創造センター、愛知県の愛知芸術文化センター、石川県の金沢21世紀美術館を訪問しました。

 このうち、可児市文化創造センターでは、学校や地域に出向いて公演等を行うアウトリーチ活動について積極的に展開されていました。

 また、金沢21世紀美術館では、学校教育との連携や県外からの誘客などについて取り組んでいました。

 一方、県内調査では、県立美術館とグラントワを訪問しました。県立美術館では、地域との連携や、来館することが困難な方への取り組みを中心に調査を行いました。

 また、グラントワでは、地域の様々な主体と一体となった取り組みや、学校教育との連携等を中心に調査を行いました。

 

 以上の調査に基づき、地域づくりと連携した文化施設のあり方について、本委員会としての意見をとりまとめましたので、要望するものです。

 

 県立美術館には、県外からも観光客が来館されており、観光・縁結びスポットとしても注目されている。観光客の誘客に向けて営業活動を積極的に行う必要があり、地元と連携したイベントも工夫しながら、美術館を観光コースに組み入れてもらうなどの取り組みに努めること。

 加えて、子どものころに優れた美術品を鑑賞する機会があると、内面の形成や心の成長にもつながるとともに、将来の鑑賞者や創作者が育成され、文化芸術のすそ野が広がる面も有している。そのためにも、多くの児童・生徒に県立美術館に来てもらうことが大事であり、学校教育との連携により団体での鑑賞が進むよう利用を促すこと。

 なお、こどもと一緒の鑑賞優先時間「かぞくの時間」などの取り組みは高く評価できるものであり、今後も他館に先駆けた取り組みを期待するものである。

 次に、グラントワでは、毎年度、圏域内すべての小・中学校や高校、特別支援学校、幼稚園・保育所や公民館等に対する営業活動を行うなど、学校教育や地域との連携に積極的に取り組んでいた。

 また、多くのボランティア組織と協働するとともに、地元の益田市、津和野町、吉賀町などと「芸術文化とふれあう協議会」を組織し、圏域が一体となってグラントワの利用促進を図っていた。

 こうした取り組みにより、昨年度は益田の圏域人口の5倍を上回る約35万人の方々が県内外から来館されるなど、石見地域の振興にも大きく寄与している。

 そのグラントワが来年度、開館10周年を迎えることから、これを契機に美術館と劇場との複合施設という特色を生かした取り組みの一層の充実が期待される。

 ついては、地元市町村をはじめ、地域のあらゆる主体と一体となった「地域密着型」とも言うべき取り組みを引き続き展開するとともに、西日本有数の優れた施設としての存在感を積極的に発信し、交流人口の拡大に寄与すること。また、益田圏域以外へのアウトリーチ活動にも積極的に取り組むことにより、石見地域全体の文化芸術振興の拠点としての役割を強化すること。

 このように、それぞれの文化施設が特色を活かしながら地域づくりに寄与し、県民や地域にとって必要不可欠とされる、魅力ある施設づくりを目指してもらいたい。

 

 以上、本委員会の調査テーマ「地域づくりと連携した文化施設のあり方について」に関する調査結果の報告とします。

 

 次に、「技術力と創意工夫で地域に貢献する建設産業対策について」です。

 県民が安全で安心して生活できる地域を維持するためには、社会資本の整備と維持管理が不可欠であり、その担い手として優良な建設業者の存続が必要です。さらに地域づくりの担い手としても建設業者は重要な役割を担っています。

 そこで、本委員会では、安全で安心な県民生活を維持し、活力のある個性豊かな地域を目指すためには、建設業者がどのような取り組みが可能なのか、そのためには建設産業へどのような支援が必要なのか把握するため実地調査を行いました。

 

 県外調査は、新潟県及び石川県の行政機関並びに建設業団体を訪問しました。

 行政機関の支援としては、新潟県では、公共投資の減少により、業者数・就労者数が減少したため、「新潟県中小企業者の受注機会の増大による地域産業の活性化に関する条例」を制定するなど先駆的な建設産業支援施策を講じていました。

 また、県内建設業者が開発した新技術のうち優れた技術を「Madein新潟プラチナ技術」として認定し、県工事の設計委託においては「新技術を含めること」を義務づけ、工事段階の評価の加点対象とするなど、新技術の活用・普及に向けた取り組みを実施していました。

 石川県では、新分野の進出、元請け・下請間のトラブルの解決など、建設業が抱える問題にワンストップで相談に応じるため、土木部監理課及び5土木総合事務所にサポートデスクを開設していました。

 一方、業界団体の取り組みとしては、石川県の建設業協会では、地元温泉の宿泊客減少に対し、観光協会と連携して修景技術を用いた温泉周辺整備を行い、その結果、空き店舗への新規入店など活性化の機運が高まり、協会の技術力が発揮されることで地域の活性化につなげようとしていました。

 新潟県及び石川県の建設業者においては、新技術の開発や農業参入の取り組みがなされていました。

 農業参入については、公共事業が減る中、地域活性化の観点から耕作放棄地の解消を地域の一次産業を支える重要な役割として位置づけ、収穫できるところまで到達していました。人材確保と生産地から消費地への流通コスト差の解消が今後の課題であるとのことでした。

 

 県内調査では、浜田市及び江津市において建設関連業者3社を訪問しました。

 規格外瓦の活用策として、粉砕した瓦を骨材として再利用するアスファルト舗装や、砂利として使用する取り組みが実施されており、これを骨材としたコンクリートがインターチェンジに利用されるなど、より一層の利用拡大が期待されているところでした。一方でアスファルト舗装の施工対象拡大など、さらなる利用に向けた研究についても進められていました。

 また、県産業技術センターと共同開発した照明技術が特許となり、トンネルやスーパーマーケットにおいて導入されていました。拡販する営業力が大手メーカーに劣ることから、ここをいかに解決していくかが課題とのことでした。

 

 以上の調査に基づき、技術力と創意工夫で地域に貢献する建設産業対策について、本委員会としての意見をとりまとめたので、要望するものです。

 

 建設産業は、社会資本整備の重要な担い手であるとともに、昨夏の県西部豪雨災害や今年8月の広島の土砂災害をはじめ、近年繰り返される大災害における初動体制も含め、地域社会における位置づけはますます高まっていることから、県として必要な公共事業を継続するとともに、幅広い支援を行いながら建設産業の安定化を図っていく必要がある。

 そのため、公共事業の急激な減少により、建設産業の経営が悪化する中、本県では、建設業者が新分野進出のための調査・研究、設備投資に対する助成、異業種等との連携をコーディネートする専門職員の配置やしまね・ハツ・建設ブランド登録制度の創設など、経営の革新及び新技術による受注機会の拡大のための施策を展開している。

 今後も引き続き支援するとともに、地域が抱える課題や建設産業を取り巻く課題を踏まえ、今後本格化する施設の維持管理に必要な新技術の開発や販路拡大などより的確な支援を推進すること。

 また、バリアフリー化など住宅リフォームにかかる助成など、民間投資を呼び込む施策は、直接的な効果に加えて波及効果を含めた総合効果は非常に大きいことから、引き続き推進していくこと。

 次に、近年の重要課題である「担い手の確保」については、特に将来の担い手である若年者の入職と定着が急務である。そのために、建設産業のイメージアップと建設労働者の処遇改善が求められている。

 現在、本県においては、行政と業界が連携し、フェイスブックの開設や合同就職説明会の開催など、建設産業の魅力発信と若者の入職・定着に向けた取り組みなどを始めている。

 今後、ますます高まっている地域における建設産業の役割を県民に十分かつ正しく伝えるとともに、イメージアップの取り組みや処遇改善に向けた環境づくりに関する取り組みについても充実させること。

 特に中学生、高校生及び大学生等に対しては、教育機関と建設業界が必要とする人材について共通認識を持ちながら、現場見学会などを実施し、キャリア形成につなげていくこと。

 

 以上が、本委員会の調査テーマ「技術力と創意工夫で地域に貢献する建設産業対策について」に関する調査結果の報告とします。

 

 以上、建設環境委員会における審査の概要等を申し述べまして、委員長報告といたします。

 

 

 


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