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総務委員長報告

 

総務委員長報

平成30年6月定例会

 

 総務委員長報告をいたします。

 総務委員会に付託されました議案の審査結果等について報告いたします。

 

 今定例会において本委員会に付託されました議案は、「平成30年度島根県一般会計補正予算(第2号)」の予算案1件、「専決処分事件の報告及び承認について」など一般事件案2件であります。

 

 これらの議案について、執行部に説明を求め、慎重に審査いたしました結果、いずれの議案も全会一致をもって、原案どおり可決・承認すべきとの審査結果でありました。

 

 次に、議案の審査過程における執行部からの説明、委員からの質疑、意見等のうち、主なものについて報告いたします。

 承認第4号議案「平成30年度島根県一般会計補正予算(第1号)についてであります。

 委員から「萩・石見空港路線維持事業」における4月9日に発生した地震による風評被害対策への支援の効果について質問があり、執行部からは、4月の団体旅行の実績は前年同月比89.4%と落ち込んだが、追加支援策の効果もあり、5月は120.2%と回復したとの回答がありました。

 また、委員から「震災・風水害等災害対策事業」において、「被災者生活再建支援制度」により支援の対象が一部破損にまで拡充されたことは評価するが、支援の対象とならなかった方々の状況を把握し、更なる対策を検討して欲しいとの意見がありました。

 

 次に、請願の審査結果について報告いたします。

 このたび新規に提出された請願第28号については、島根原子力発電所3号機の新規制基準適合性申請の提出を了解しないことを求めるものであります。本請願については、この審査は稼働が前提であるため、まずは、しっかり調査し、様々な角度から総合的に慎重に議論すべきで、拙速に申請を認めるべきではないので採択すべきとの意見や、原発は安全性が最優先であるため、まずは、早く厳しい審査を受けて、安全が担保されたものについて、しっかりと議論していくべきであるので不採択とすべきとの意見、委員会として独自に調査をして判断をするものであるので不採択とすべきとの意見があり、挙手採決の結果、挙手少数により、「不採択」とすべきとの審査結果でありました。

 また、同じく新規の請願第29号については、地方自治体の実態に見合った歳入・歳出を的確に見積もり、その財源の十分な確保が図られるよう、地方財政の充実・強化を求める意見書の提出を要請した内容であり、全会一致をもって「採択」とし、意見書を提出すべきとの審査結果でありました。

 なお、この請願にかかる意見書については、後ほど田中明美議員から提案理由を説明いたしますので、ご賛同いただきますようお願いいたします。

 また、同じく新規の請願第30号については、行政サービスの質の確保と臨時・非常勤職員の待遇改善、雇用安定を図る観点から、一般職非常勤職員の処遇改善や雇用安定に必要な財源の確保を求める意見書の提出を要請した内容であり、全会一致をもって「採択」とし、意見書を提出すべきとの審査結果でありました。

 なお、この請願にかかる意見書については、後ほど須山議員から提案理由を説明いたしますので、ご賛同いただきますようお願いいたします。

 なお、継続審査中の請願については、いずれも現状に大きな変化がなく、結論に至る状況にないことから、引き続き「継続審査」とすべきとの審査結果でありました。

 

 次に、報告事項など所管事項調査における質疑、意見等のうち主なものについて申し上げます。

 総務部所管事項についてであります。

 執行部から報告のありました「県有施設等のブロック塀の緊急点検について」では、委員から、明らかに危険だとわかっているものについての対策はとられているかとの質問があり、執行部からは、現時点で危険であると判断されたものについての報告はないが、今後見つかれば、一時的には近づかないような措置をとり、速やかに撤去等するとの回答がありました。

 

 最後に、島根原子力発電所3号機の新規制基準適合性申請に係る事前了解願いに関する当委員会の調査結果について報告いたします。

 

 まず、5月22日に中国電力から島根県及び松江市に対して安全協定第6条の規定に基づき、島根原発3号機の新規制基準適合性申請に係る事前了解願いの提出があったことを受け、6月14日に島根原子力発電所において実地調査を行い、3号機の施設や安全対策などについて確認いたしました。

 

 また、同日開催いたしました本委員会においては、中国電力を参考人として招請し、新規制基準適合性申請の内容について聴取いたしました。

 委員からは、中国電力に対し、「多くの住民の方々が原発に反対していることを中国電力はどう受け止めているのか」、「原発のコストは、福島原発事故の処理費用を含めると高くなるのではないか」、「廃止する老朽火力発電所を明確にすべきではないか」、「震災前に比較してエネルギー自給率や電力コスト、CO2の発生量はどうなっているのか」との質問がありました。

 これらに対し、中国電力からは、「原発に対する反対意見は真摯にお聴きする」、原発コストについては、「国においては福島原発事故の処理費用が原発のコストに与える影響の度合いも含め、試算がされている」、廃止する老朽火力発電所については、「様々な角度からの検討が必要であり、現段階では未定である」、震災前とのエネルギー自給率等の比較については、「自給率は最新の情報で8%、電力コストは家庭用、産業用でそれぞれ2~3割以上の上昇、CO2排出量は2割増加している」との回答がありました。

 

 また、委員から、「エネルギーについては世界情勢を踏まえ、長期的な視点で現実的に議論をすべきである」との意見や、「原発の稼働に関する議論は、原子力規制委員会の審査で新規制基準に適合した原発に対して行うべきであり、原子力規制委員会への申請を認めるのは当然である」との意見がありました。

 また、委員外議員からは、「国のエネルギー基本計画は、全国で30基の原発の稼働を前提にしており、2号機、3号機も含まれていることから、国の計画自体に反対すべきである」との意見がありました。

 

 次に、6月29日に開催いたしました本委員会において、執行部からは、知事から議会に対してこの3号機の新規制基準適合性申請を認めるかどうかの意見を求めることについて、あらためての説明があり、県が開催した安全対策協議会や顧問会議、議会や住民説明会等で示された意見などについて、報告がありました。

 内容としては、「安全性を確認するためにも、原子力規制委員会に審査してもらうべきである」といった意見があった一方で、「原子力規制委員会の審査に合格しても原発に100%の安全はなく、不安は払しょくできない」といった否定的な意見が多くあったというものでした。

 

 本件については、関連する新規の請願1件、陳情4件の審査も踏まえ、委員から出された意見を整理すると、次のとおりとなります。

 

 まず、申請を認めるべきではないという立場から、「原発を動かさないということにすれば、審査を受ける必要はない」といった原発の稼働自体に反対する意見がありました。

 また、同じく申請を認めるべきではないという立場から、「原子力規制委員会の審査は稼働のための審査であり、申請を認めることは稼働に向けた第一段階を認めることになるので、時間をかけて判断すべき」といった意見があり、また同様に、「安全性がどうなのか、必要性がどうなのか、避難計画がどうなっているのか、避難のために十分な対策がとられているのか、県民の合意はあるのかなど、様々な角度から議論をするべき」、「原子力規制委員会は審査に合格したからといって絶対の安全はないと明確に言っている」、「中国電力の適格性という観点からも了解できない」、「必要性について県として検証すべき」といった意見のほか、「反対意見が多く理解が進んでいない」、「知事の判断基準が明確でない」、「中国電力から再度説明を聴くべき」、「周辺市の意見を聞いた上での議論が必要」、「30キロ圏内の周辺自治体に権限がないのは理不尽である」といった意見がありました。

 

 これに対し、執行部から、「資料に記載した意見のほか、周辺自治体に覚書に基づき意見照会をしているが、安来市、出雲市からは、申請について了承するとの回答をいただいている」、「安全性について、原子力規制庁は、福島原発事故のように放射性物質の大量放出に至るような事故の発生可能性は極めて低く抑えられるものと考えられるが、事業者においては、この基準を超えて、しっかりと安全を追求する姿勢が極めて重要と考えていると説明している」、「中国電力は、過去の不適切事案やトラブル事案を踏まえた再発防止対策をしっかり行い、教訓が風化しないよう意識面の取組等を継続して行うことが必要。原子力規制委員会は、そうした人的な面からも、事業者を厳しく指導すべきである」。また、「安全協定は中国電力と自治体間のもので国とは関係ないものだが、原子炉施設の立地は国の制度によるもので、その制度では立地自治体と周辺自治体の間に差異がある。安全協定の話と国の制度の話は、どこかでは関係してくる。県が調整できる範囲ではこれ以上難しいところがあり、覚書により対応していく」との説明がありました。

 

 また、「このタイミングで議会に意見を求めるのは拙速ではないか」という意見に対しては、委員から、「本日、初めて意見を求められたとは思っていない。本委員会では、中国電力から了解願が提出された後、現地調査や参考人招請等調査を行い、また、本会議においても議論が行われている」といった意見が出されました。

 

 次に、申請を了とすべきという立場の委員からは、「原発は安全性が最優先なので、まずは、原子力規制委員会に安全性について確認してもらうことが必要ではないか」といった意見や、「執行部から意見を求められているのは、原子力規制委員会に安全性について審査してもらうかどうかということで、稼働させるかどうかについてではない」。また、「最終的な稼働の判断にあたっては、エネルギー政策や、原発の安全性、住民の避難対策、核燃料サイクル等について、住民への丁寧な説明が必要であり、国に対し責任ある対応を要請すべき」といった意見がありました。

 

 その上で、同日、結論を出すかどうかの挙手採決を行い、賛成多数により結論を出すことに決定しました。

なお、委員外議員から「本日、結論を出すことは拙速である」といった意見もありました。

 

 これらの議論の後、今回、知事から意見を求められた島根原発3号機の申請了解に係る取扱いについては、最終的に挙手による採決を行った結果、賛成多数により、中国電力が原子力規制委員会に申請することを了とすることを、総務委員会として決定することといたしました。

 

 その上で、今回の議論を踏まえ、中国電力のほか、原子力規制委員会、経済産業省、内閣府など国の関係機関に対し、県から次のとおり要請を行うよう求めることを決定いたしました。

 中国電力に対しては、「過去のトラブル事案の教訓を踏まえた、安全確保のための取り組みを継続すること」、「関係自治体に対し、誠意をもった対応をすること」。

 原子力規制委員会に対しては、「中国電力の組織体制など、人的な面の対応も含め、安全性について厳格な審査を行うこと」、「重大事故対策の有効性など、審査結果について、住民に対し、十分な説明を行うこと」。

 経済産業省に対しては、「原発の必要性について、住民に対し、十分な説明を行うこと」、「核燃料サイクルの課題に責任を持って取り組むこと」。

 内閣府に対しては、「避難対策に必要な支援を行い、住民に対し、十分な説明を行うこと」であります。

 

 最後に、知事は、島根原発3号機の事前了解願いについて「県議会や関係自治体などの意見を聴いて、判断する」とされたが、今後、最終判断される際には、知事自らがその判断に至った論拠、考えについて、県民にわかりやすく示すことを、この審査・調査をとおして議論を重ねた総務委員会一同として、知事に対し強く求めるものであります。

 

 以上、総務委員会における審査の概要及び調査の結果を申し述べ、委員長報告といたします。



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