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総務委員長報告
総務委員長報告平成29年6月定例会
総務委員長報告をいたします。
総務委員会に付託されました議案の審査結果等について報告いたします。
今定例会において本委員会に付託されました議案は、「平成29年度島根県一般会計補正予算(第1号)」の予算案1件、「職員の退職手当に関する条例の一部を改正する条例」など条例案6件、「あっせんの申立てについて」など一般事件案3件であります。
これらの議案について、執行部に説明を求め、慎重に審査いたしました結果、第75号議案「島根県県税条例等の一部を改正する条例」の条例案1件及び第79号議案「中核市の指定に係る申出の同意について」の一般事件案1件については賛成多数により、また、その他の議案については全会一致をもって、原案どおり可決・承認すべきとの審査結果でありました。
全会一致とならなかった議案のうち、第75号議案「島根県県税条例等の一部を改正する条例」については、消費税の税率10%への引き上げを前提とする条例改正であることから反対との意見がありました。
また、第79号議案「中核市の指定に係る申出の同意について」は、県の事務が移譲されることで道州制導入の方向に進む懸念があるとの理由から反対であるとの意見のほか、住民により近いところでサービスの一元化が図られることはよいことであるとの意見や、住民に混乱や不利益が生じないよう準備を進めてほしいといった意見がありました。
議論を経て、最終的には挙手による採決を行ったところ、いずれの議案も賛成多数により、原案のとおり可決すべきとものとの審査結果でありました。
次に、議案の審査過程における執行部からの説明、委員からの質疑、意見等のうち、主なものについて報告いたします。
まず、地域振興部所管の第66号議案「平成29年度島根県一般会計補正予算(第1号)」の「萩・石見空港東京線利用促進緊急対策事業」についてであります。
執行部からは、7月から9月まで首都圏等からの誘客を強化する取り組み等について説明がありました。委員からは利用促進のために税金を投じていることを住民に示した上で事業を進めることが重要であるとの意見や、早期に効果をあげるための対応及び10月以降の対策について質問があり、執行部からは、議決後速やかに対応できるよう準備を進めており、10月以降も引き続き利用促進に取り組んでいくとの回答がありました。
次に、請願の審査結果について報告いたします。
このたび新規に提出された請願第18号については、公共サービスの質の確保と地方自治体の安定的な行財政運営を実現するため、来年度の政府予算、地方財政対策の検討並びに実行に当たっては、国と地方自治体が十分に協議の上、地方自治体の実態に見合った歳入・歳出を的確に見積もり、その財源の十分な確保が図られるよう、「地方財政の充実・強化」を求める意見書の提出を要請した内容であり、全会一致をもって「採択」とし、意見書を提出すべきとの審査結果でありました。
なお、この請願にかかる意見書については、後ほど田中明美議員から提案理由を説明しますので、ご賛同いただきますようお願いいたします。
また、同じく新規の請願第21号については、北朝鮮による度重なるミサイル発射と核開発の強行に抗議するとともに、この問題をめぐる国際的緊張の高まりを平和的に解決することについて、国への意見書提出を求めるものであります。本請願については、平和的な手段による解決が県民の安全安心につながるとの意見や、北朝鮮に対話を求めても応じてもらえない状況で日本政府が圧力を強化することは妥当だとの意見があり、挙手採決の結果、挙手少数により、「不採択」とすべきとの審査結果でありました。
なお、継続審査中の2件の請願については、いずれも現状に大きな変化がないことから、引き続き「継続審査」とすべきとの審査結果でありました。
次に、報告事項など所管事項調査における質疑、意見等のうち主なものについて申し上げます。
まず、広報部所管事項についてであります。
執行部から報告のありました「島根県の広報広聴基本指針(素案)について」、委員からは、新設された広報部の今後の予算執行及び事業展開に当たり県民には県政の取り組みや方向性をきちんと伝え、また県外に向けて島根の魅力をしっかりと情報発信していくことを強く求める意見がありました。
次に、地域振興部所管事項についてであります。
執行部から報告のありました「JR三江線を巡る状況について」では、委員から、県は鉄道資産の地元市町への譲渡をはじめ代替交通の確保等に主体的に取り組んでもらいたいとの意見がありました。
そのほか、特定有人国境離島の地域社会の維持に向けた取り組みはもとより、県の各施策を推進していくにあたり、島根県総合戦略の柱である「小さな拠点づくり」を意識して取り組んでもらいたいとの意見がありました。
次に、警察本部所管事項についてであります。
執行部から報告のありました「懲戒処分の実施について」では、報道発表においては広く県民に説明する必要があるので、適切な対応を望みたいとの意見がありました。テロ等準備罪に関連して本県のカメラやGPSを使用した捜査について質問があり、執行部からは判例や警察庁の通達に基づき適正に対応しているとの回答がありました。
次に、防災部所管事項についてであります。
執行部から報告のありました「航空自衛隊美保基地におけるC−2輸送機の滑走路逸脱事案について」では、委員から、地元住民への丁寧な説明はもとより、多くの住民が説明会に参加できるような対応を求める意見や、機体のシステム改修が完了するまでは試験運用を含め運用再開を止めるべきではないか、との意見がありました。また、地元からの声は、防衛省等関係機関に対し引き続きしっかりと伝えてもらいたい、との意見がありました。
次に、本委員会の調査テーマについてであります。
本委員会は「移住・定住先として選ばれるしまねに向けた県と市町村との連携のあり方について」を調査テーマに設定いたしました。
人口減少問題を抱える本県においては、移住・定住に力を入れることは喫緊の課題であります。近年の田舎暮らしやふるさと回帰志向の高まりを移住・定住に結びつける好機ととらえ、先進地域の取組状況を調査し、支援策や支援体制、県と市町村との連携のあり方について検討することが必要と判断いたしました。
今後、このテーマに沿って調査を行い、本委員会としての意見等を集約してまいりたいと考えております。
最後に、島根原子力発電所1号機の廃止措置計画に係る事前了解に関する本委員会の調査結果について報告いたします。
まず、5月17日に開催しました本委員会において、執行部から原子力規制委員会が廃止措置計画を認可した旨の報告を受けました。
委員からは、中国電力は、県民に対して、自ら出かけ、しっかり廃止措置計画を説明すべきである、との意見がありました。
5月25日に開催しました本委員会では、中国電力及び原子力規制庁から参考人を招請し、島根原発1号機の廃止措置計画の概要及び審査結果について、聴取いたしました。
中国電力からは、廃止措置計画の全体概要、解体工事準備期間(第1段階)に行う具体的事項及び廃止措置に伴い発生する固体廃棄物について、説明を受けました。
委員からは、使用済燃料が、長期間1号機のプールに保管されることになるが、安全に保管できるのか。青森県の六ヶ所再処理工場が2018年度上期に予定どおり竣工し、使用済燃料は計画どおり原子炉本体等解体撤去期間(第3段階)の前に搬出を完了するのか。また、再処理工場が安定稼働しなかった場合はどのように対応するのか。核燃料サイクルが不確実な中で廃止措置を進めることについて、どう考えるのか。また、使用済燃料を搬出するためにはプルサーマルを進めないといけなくなるのではないか、との質問や、廃炉作業は中国電力にとって初めてのことなので、安全安心に十分配慮して欲しい。エネルギー政策は国家論であり、中国電力は、高レベル放射性廃棄物の最終処分や核燃料サイクルに課題があることについて国に対応を求めるべき、との意見がありました。
また、委員外議員からは、六ヶ所再処理工場が2018年度に稼働しなかった場合はどのように対応するのか。六ヶ所再処理工場が稼働しない場合などにより計画が第1段階から行き詰まれば、計画全体を見直さなければならないのではないか、との質問がありました。
これに対し、中国電力からは、使用済燃料を保管している燃料プールについては、コンクリートのピットにステンレスを内貼りしたものであり、保管が長期になっても健全性に問題はないと考えている。また、冷却水の瞬時全喪失という厳しい状況を想定しても、燃料の健全性は保たれると評価している。核燃料サイクルについては、使用済燃料を再処理し再利用するという国の基本方針に沿って進めていく。利用目的のないプルトニウムをもたないようにするため、国は、プルサーマルという形でプルトニウムを活用する方針を定めている。使用済燃料については、原子炉本体の解体が開始される2030年度の前までに全量搬出する。また、計画の変更が必要になれば適切に対応を行うが、「第3段階」が開始するまでの期間内で対応できると考えている、との説明がありました。
次に、原子力規制庁からは、廃止措置計画の審査結果について、説明をうけました。
委員からは、過去に不適切な事案を繰り返してきた中国電力が廃止措置を実行できる事業者であるかどうか審査されたのか。使用済燃料の譲渡しや放射性廃棄物の処分について、六ヶ所再処理工場の安定稼働や放射性廃棄物の処分先が未定など不確実な課題がある中、計画が適切であると判断した根拠は何か。燃料落下の評価について、燃料プール内での落下以上の厳しい事故想定はされないのか、との質問や、使用済燃料や放射性廃棄物の課題は、国が省庁の縦割りを超えて進めていかないといけない、との意見がありました。
また、委員外議員からは、2018年度に六ヶ所再処理工場が稼働しない場合、計画認可の前提が崩れるため、原子力規制庁から中国電力に計画の変更を求めるべきではないか、との質問がありました。
これに対し、原子力規制庁からは、申請された廃止措置計画は、災害防止上支障がないとして認可した。また、廃止措置が計画どおり適切に実施されているかについては、現地の保安検査官が適宜確認するなど、厳正に確認していく。使用済燃料については、譲渡し先が明確であり、搬出までの間は適切に管理できることを、低レベル放射性廃棄物については、搬出までの保管が適切に管理できることを確認し、計画を認可した。燃料落下の評価については、燃料同士が当たって破損するという厳しい条件で評価されている。計画変更の必要があれば、事業者から認可申請があると考えている、との説明がありました。
6月30日の本委員会において、島根原発1号機の廃止措置計画に係る事前了解について、執行部からは、これまでの主な経過、周辺自治体の考えとして、中国電力が廃止措置を実施することについて了承したこと。島根県の方針案として、中国電力が原子力規制委員会が認可した廃止措置計画に基づき廃止措置を実施することについて了解すること。了解に当たって中国電力及び国に対して適切な対応を求める事項について要請を行うこと。また、周辺自治体の意見については、県の回答書などに添付して要請すること、との説明がありました。
また、中国電力への要請事項としては、住民の安全確保及び環境の保全を図ることを最優先に、廃止措置を適切に実施すること。関係自治体などに対して、引き続き、丁寧な情報提供を行うこと。使用済燃料の全量搬出・譲渡しの適切な実施や廃止措置に伴い発生する放射性廃棄物の確実な処分のための具体的な検討を進めることなど。原子力規制委員会、経済産業省及び内閣府への要請事項として、住民の安全確保及び環境の保全の観点から厳格に確認を行うこと。使用済燃料の搬出や譲渡しが確実に行われるよう国が前面に立って取り組むこと。放射性廃棄物の処分の円滑な実現に向け、国として取組みを進めることなどの説明がありました。
これらの説明に対し、委員からは、核燃料サイクルが未確立な状況において、使用済燃料や低レベル放射性廃棄物など課題がある中で廃止措置を実施することに対する県の見解。使用済燃料の搬出の確実性に疑問や不安があることから、県は中国電力に対応を具体的に明示させる必要があるのではないか。中国電力に対する要請事項について県は回答を求めるのか、との質問がありました。
これに対し、執行部からは、課題は認識しており、核燃料サイクルについては、国が責任をもって対応すべき事柄であるので、国の取り組みを注視し、必要があれば、国に対して適切に対応するよう求めていく考えであること。県民の不安への対応については、丁寧な情報提供を行ったり、原子力規制庁は保安検査などを通じて適切に確認を行ったり、県は安全協定に基づいてチェックを行っていくこと。中国電力への要請事項については、県は安全協定に基づき、要請事項への対応を確認することにより回答を求めたい、との説明がありました。
また、委員からは、住民の安全確保を大前提に廃止措置を実施するよう中国電力に要請し、原子力規制委員会には厳格に確認するよう要請すること。併せて、県は適時情報収集を行い、中国電力や原子力規制委員会に対し、適切な対応を求めていただきたい。廃止措置計画は賛成であるが、使用済燃料の全量搬出・譲渡しが確実に行われるのか不安である。原子力規制委員会には厳格に確認するよう要請し、経済産業省には再処理等を前面に立って取り組むよう要請すること。低レベル放射性廃棄物の処分について具体的な検討を進めるよう中国電力に要請し、原子力規制委員会には規制基準の早急な確立を要請し、経済産業省には処分の円滑な実現に向けた取組みを進めるよう要請すること。原発の廃炉は賛成であるが核燃料サイクルの確立が前提となっているので、廃止措置計画には賛同できない。併せて、核燃料サイクルが確立しない中での原発を稼働することは、使用済核燃料やプルトニウムがたまり続けること、高レベル放射性廃棄物の最終処分の道筋が確立していないことから原発再稼働は論外であるなどの意見がありました。
これらの調査結果及び執行部の考え方を踏まえ、廃止措置計画に関する総務委員会としての判断を協議しましたので、その結果を申し上げます。
今回知事から提案のあった最終的な事前了解の取扱いについては、中国電力が、認可された島根原発1号機の廃止措置計画に基づき廃止措置を実施することを、賛成多数をもって了承することといたしました。
その上で、県から中国電力、原子力規制委員会など国の関係機関に対して必要な事項を要請することについても、了承することといたしました。
以上、総務委員会における審査の概要及び調査の結果を申し述べ、委員長報告といたします。
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島根県議会
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