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建設環境委員長報告

建設環境委員長報平成29年2月定例会

 

 建設環境委員長報告をいたします。

 建設環境委員会に付託されました議案の審査結果等について報告いたします。

 

 今定例会において本委員会に付託されました議案は、「平成29年度島根県一般会計予算」など予算案17件、「使用料及び手数料の額の改定等に関する条例」など条例案3件、「宍道湖流域下水道の維持管理に要する費用の市負担について」など一般事件案4件であります。

 

 これらの議案について執行部に説明を求め、慎重に審査いたしました結果、第2号議案「平成29年度島根県一般会計予算」及び第18号議案「平成29年度島根県水道事業会計予算」の予算案2件については賛成多数により、その他は全会一致をもって、原案どおり可決すべきとの審査結果でありました。

 

 全会一致とならなかった議案のうち、第2号議案「平成29年度島根県一般会計予算」については、県の行う建設事業に対する市町村負担は、市町村に過大な負担を求めるものであることなどの理由から反対であるとの意見がありました。

 また、第18号議案「平成29年度島根県水道事業会計予算」については、料金低減のための資本費負担引き下げの措置がなされていないとの理由から反対であるとの意見がありました。

 議論を経て、最終的には挙手による採決を行ったところ、いずれの議案も賛成多数により、原案どおり可決すべきとの審査結果でありました。

 

 次に、議案の審査過程における執行部からの説明、委員からの質疑、意見等のうち主なものについて報告いたします。
環境生活部所管の「しまねの自然公園満喫プロジェクト推進事業費」についてであります。

 委員から、島根県満喫プロジェクト地域部会の構成員の男女比は半々に、年齢構成は幅広にすべきであるとの意見、別の委員からは、地域で実際に観光客と接している人たちの意見を取り入れ実行に移すべきであるとの意見があり、執行部からは、構成員について、意見を踏まえ関係市町村、関係団体等と調整するとの回答がありました。

 

 次に、報告事項など、所管事項調査における質疑、意見等のうち主なものについて申し上げます。

 土木部所管事項についてであります。

 委員から、下水処理の際発生する汚泥の利活用について、常に最新の知見を用いて最良の利活用を模索すべきで、多額の費用をかけて場外搬出せずとも、業者に場内用地を賃貸した場内処理も可能な状況と考えられるので、他部局とも連携し、流域下水道事業の企業会計化に向けて、県有地を含めた県の資産の有効活用により一層傾注するよう意見がありました。

 執行部からは、当初は県内業者の育成を考えていたが、引き受け量がわずかであることなどから、安定的に大量の受け入れが可能な県外のセメント業者に大半の処理を委託することとした。その後の状況変化もあるので、最良の方法を模索したいとの回答がありました。

 また、委員から、公共建設工事の発注・受注、施工の平準化について、従来9月から11月にかけての発注が多く、12月、1月に繁忙となるが、5月から8月は比較的閑散となる状況であった。県はゼロ県債や繰り越し等の対応により平準化に努めているが、年間での変動はまだ大きく、発注の平準化と仕事の平準化により労働力の平均化を図るべきである。天候が悪い冬期は利益も上がりにくいので準備期間とするなど、うまく調整していただきたいとの要望がありました。

 執行部からは、議会のご理解をいただく中で、発注平準化のためのゼロ県債の活用や予算の繰り越し承認の前倒しにより、年度末を待たずに翌年度にまたがる工事の発注が可能となりました。今後は、冬場の稼働件数を前後に分散させていくため、発注件数の少ない上半期の契約件数の底上げや、債務負担行為制度等を活用し会計年度をまたぐ工事を適時発注するなどの対応により、更なる平準化が図られるのではないかと考えているとの回答がありました。

 委員からは、年度当初は人事異動があるが、それを見越して必要な対策を実施し、発注件数の平準化に向けて更に善処されたいとの意見がありました。

 別の委員から、満足のいく平準化に取り組んでいる事務所もあれば、そうでないところもあるようなので、地域特性等を考慮しつつ、統一的に取り組んでいただきたいとの意見がありました。

 

 さて、本委員会では、昨年度から「県民の安全・安心の推進について」及び「省資源・循環型社会の推進について」をテーマに調査に取り組んでまいりました。その結果について報告いたします。

 

 初めに、「県民の安全・安心の推進について」です。

 本委員会では、安全で安心な県民生活を推進するため、インフラ老朽化対策や土砂災害対策を行政・住民・企業等が連携して取り組む事例について県内外の調査を実施しました。

 

 まず、インフラ老朽化対策についてです。

 長崎県では、厳しい財政状況の中、インフラの点検を進めるため、県技術者OBの技術力活用や「道守」による独自のボランティア点検を行っています。

 「道守」とは「道守養成ユニット」により認定された道路構造施設の維持管理に携わる技術者であり、「道守養成ユニット」とは、不足している道路インフラ施設の長寿命化にかかわる人材を養成する教育プログラムで、具体的には、長崎県と長崎大学が連携し、県内自治体職員、建設業、コンサルタント業、NPO、地域住民を対象として、道守から道守補助員までの4つのレベルに応じた内容を段階ごとに学習するプログラムであります。

 このように、インフラ老朽化対策のためには、技術力の確保や人材の育成が重要であり、産学官連携は有効な手段であると感じたところであります。

 

 次に、土砂災害対策についてです。

 熊本県では、土砂災害特別警戒区域(レッドゾーン)内にある住宅の移転を促進するため、既存制度である区域外への移転補助の「がけ地近接等危険住宅移転事業」と併用し補助金が上乗せできる「土砂災害危険住宅移転促進事業」を全国初で創設されています。移転補助という住宅行政と連携したこの事業は、移転促進による県民の安全な暮らしの確保と同時に、対策が必要な箇所が減ることによりハード対策費用の縮減が図られます。

 長野県では、土砂災害警戒区域(イエローゾーン)の指定により市町村が作成配付したハザードマップを基に、地区固有のリスク情報を盛り込んだ手作りマップの作成や避難訓練を住民自ら行うための指導者養成講座が県により開催されています。また、福祉部局と連携し、知事の許可が必要な特定開発行為の対象とならないイエローゾーンに新規立地する福祉施設など要配慮者利用施設に対して、施設建設の際に交付される補助金の審査基準に避難計画策定等を盛り込むなど、県独自の取り組みが行われています。

 これらのように、土砂災害防止法による区域指定を契機として、関係部局が連携を強化し、行政と住民が協働してソフト対策に取り組むことが重要であると感じたところであります。

 

 これまで述べてきたことを踏まえ、県民の安全・安心の推進について、次の3項目を提案します。

インフラ老朽化対策における点検・診断においては、関係機関との連携等により、県職員、市町村職員等の技術力向上、人材育成を推進すること。

 また、今後は点検費用を抑制し、インフラの維持管理・更新等を計画的に実施するとともに、維持管理に係る施設情報のデータベース化や維持管理システムの構築に取り組み、情報の共有化、業務の効率化に努めること。併せて、地元業界団体の育成に努めること。

「土砂災害防止法」に基づく基礎調査と区域指定を促進するとともに、要配慮者利用施設等の避難体制の整備など関係部局が連携を強化し、指定の効果が最大限発現出来るようソフト対策を推進し、避難所対策などのハード対策とあわせて総合的かつ効果的な土砂災害対策を推進すること。

 また、近年、多発化・激甚化する土砂災害に対して、より一層市町村と連携し、行政と住民が協働で警戒避難体制の充実・強化を図るよう努めること。

平成28年5月に邑南町内の県道で発生した落石事故を受け、「落石に係る道路防災計画」を策定されたところである。今後、このような事故が再発しないよう、計画に沿った、安全対策に全力で取り組むこと。

 

 次に、「省資源・循環型社会の推進について」です。

 本委員会では、省資源・循環型社会を推進するために、リサイクルの質の向上と取り組みが遅れているリデュース・リユース(2R)の推進強化に向けた地域性に合う取り組み事例や、それらの取り組みによるごみ削減・温室効果ガス排出削減の効果等について県外の調査を実施しました。

 

 まず、国が認定するエコタウン事業承認地域である、水俣市についてです。

 水俣市では、大学や行政、JAや漁協が協力し、地場企業等が行うリサイクル関連の相談業務や、新規事業展開、販路開拓等の支援業務を行うことにより、雇用の場の創出に向けた取り組みを実施していました。エコタウン内にある、びんの再利用事業者では、南九州において900ml茶びんの統一リユースモデル事業を実施していました。

 これらのように、リサイクルの質の向上と2Rの推進強化のためには、地域の産業振興を視点に入れた、産学官の連携の取り組みが重要であります。

 

 次に、イベントにおけるリユース食器使用の取り組みについてです。

 京都市では、祇園祭でのリユース食器を活用したごみゼロ活動の取り組みなどに、行政、NPO法人、協賛企業、ボランティア、市民の方々等、多様な人が参画することで、2Rをキーワードとした環境配慮型のまちづくりにつなげていました。

 これらのように、2Rの取り組みの強化のためには、環境に配慮した行動の必要性について県民の意識が向上する取り組みの普及が重要であります。

 

 これまで述べてきたことを踏まえ、省資源・循環型社会の推進について、次の3項目を提案します。

地域での循環型社会づくりを進めるためには、既存のリサイクルの仕組みに加え、流通、加工、利用の各段階で工夫した取り組みが必要で、地域の産業振興の視点で、商工施策と連携した循環産業への支援など、地域が活性化する取り組みを推進すること。

リユース可能な製品の普及に努め、リユース品の流通を担う産業を育成すること。

 また、県民の環境に配慮した消費行動促進の一つとして、リユース品の積極的な推奨や、リユース食器の普及促進など、県民一人ひとりの環境配慮行動の意識が向上する取り組みを広げていくこと。

リユース食器の使用にちなんだ学習活動など、次世代を担う子どもたちが、環境問題に対する正しい知識を身につけ、実践できるように、教育委員会との連携も図りながら、環境教育の推進を図ること。

 

 以上が、本委員会の調査テーマに関する調査結果の報告であります。

 

 以上、建設環境委員会における審査の概要等を申し述べ、委員長報告といたします。


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